日本では、初夢、初詣、初売り、初競りなど、新年最初の物事をとても大事にしてきました。日頃行っていることでも、正月ならではの「初○○」といえば特別に感じませんか。そこで、福を呼ぶ身近な「初○○」を3つご紹介します。
初水(はつみず)
「初水」とは、元日の朝に初めてくむ水のこと。若水、福水、一番水などとも呼ばれ、邪気を除く力があるといわれています。
昔は、元日の早朝に湧き水や井戸水をくみに行き、神棚に供えたあと、この水で口をすすいだり、お茶を入れたり、お雑煮を作ったりしていました。
今は、湧き水や井戸水をくむのはむずかしいので、元旦に初めてくんだ水道水や、新しいペットボトルの水でも構いません。ある程度たくさん初水をくんでおき、口をすすぎ、お茶をいれ、お雑煮を作ってみると、無病息災につながるでしょう。
初鏡(はつかがみ)・初化粧(はつげしょう)
「初鏡」とは、新年になって初めて鏡に向かって化粧をすることや、その鏡を指します。「初化粧」ともいいます。
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いつもはテキトーに化粧しがちですが、初化粧は丁寧にしてみてはいかがでしょう。仕上げには、ほほ笑んで。笑顔に満ちた幸多き1年になりますように。
初鏡、初化粧は人気の季語なので、俳人の句もたくさんあります。
「ドライヤー唸らせ吾娘の初鏡」(奈良文夫)
「初鏡明るき方に位置替ふる」(菖蒲あや)
「初鏡八方美人にはなりませぬ」(山崎彩)
「初鏡ふとした仕種母に似し」(永川絢子)
「美しく老いんと思ふ初化粧」(大橋もと女)
初門出(はつかどで)
「初門出」とは、新年に初めて家の門戸を出ること。「門出」はある目的に向かって歩み始めるという意味で、旅立ち、出発、スタートなどを指しますが、初がつく「初門出」は年が明けて初めて外出することを指しています。
初日を拝む、初詣に出掛ける、年賀のあいさつに出掛けるなど、初門出は新年にふさわしい外出がよいといわれています。
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(文:三浦 康子(暮らしの歳時記ガイド))