新年を迎えたら旧年のお守りは処分するという人もいれば、古いお守りをずっと持っている人もいます。お守りに有効期限はあるのでしょうか? お守りはいつまで有効なのか、とっておいてもいいのかを解説します。
お守りの起源、歴史
お守りは、縄文時代に勾玉(まがたま)を身に着けて魔除けにしていたという説、道教のまじない符からはじまったという説など諸説あります。奈良時代末期の長岡京(784年〜794年)の旧跡から疫病を逃れるための「蘇民将来呪符木簡(そみんしょうらいじゅふもっかん)」が出土しており、お守りや御札は約1200年前にはあったと考えられています。
平安時代には、貴族の女性たちが社寺を詣でる「物詣(ものもうで)」に行く際、身を守るための「懸守(かけまもり)」を首にかけて、旅に出ていました。
鎌倉時代には、伊勢神宮の御師(おんし。さまざまな願い事を神様に取り次ぐ職務がある)たちが、1年かけて全国に配布した古い御札を回収し、新しい御札を授けていたそうです。
|
|
明治時代には、立体感のある形状の「守巾着(まもりきんちゃく)」や、長方形の守り袋ができ、現在に至ります。
お守りの有効期限は? お守りはいつ手放したらいいのか(いつ処分するのか)
お守りは、効力がある期間が決まっているわけではありません。お守りにはさまざまな種類があり、願い事の中身も違うからです。
基本的には「1年間」と考えますが、「願いがかなったとき」「役目を終えたとき」までのお守りもあります。
また、古いお守りをとっておくこともできます。以下で詳しく説明します。
|
|
有効期限は「1年間」のお守り
明確なゴールがあるわけではない事柄に対するお守りは、有効期間が1年と考えます。年に1度、初詣に行った際に旧年のものを返納し、新年用にかえる人が多いです。
・家内安全
・交通安全
・健康祈願
・厄除け
・金運上昇
・商売繁盛
・開運招福、など
「願いがかなったとき」「役目を終えたとき」までのお守り
結果がでるような事柄に対するお守りは、願いがかなったときや役目を終えたときまでと考えます。御礼参りをして返納する人が多いです。
・合格祈願
・就職成就
・心願成就
・恋愛成就
・安産祈願
・子宝祈願
・病気平癒、など
古いお守りをとっておく場合の注意点
古いお守りをとっておくこともできます。思い出深いお守りや大切な人にもらったお守りなど、とっておきたいものは手放さなくても構いません。ただし、大切にしてください。
返納するのが面倒だからといって放置するのはNG。自宅でごみに出すこともできるので、納得のいく方法で手放してください。
|
|
『お守りを読む―日本人は何を願ってきたのか』(鳥居本幸代著/春秋社)
(文:三浦 康子(暮らしの歳時記ガイド))