【箱根駅伝】青学大が往路V「若の神」5区・若林宏樹が逆転激走で初区間新 大満足のラストラン

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2025年01月02日 21:45  日刊スポーツ

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箱根駅伝 往路 1位でゴールする青学大5区若林(撮影・垰建太)

<第101回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京−箱根(5区間107・5キロ)



青学大が2年連続7度目の往路優勝を飾った。歴代2位の5時間20分1秒を記録した。1区から首位を走った中大を、5区で若林宏樹(4年)が逆転。山登り3度目の挑戦で、区間新記録となる1時間9分11秒で初の区間賞を獲得した。4月から日本生命への就職が内定しており、競技の一線からは退く。最後の箱根で「若の神」が輝き、2位に1分47秒差をつけ、2年連続8度目の総合優勝へ優位に立った。


   ◇   ◇   ◇


倒れるまで、陸上人生の全てを出し尽くした。若林は標高差800メートル超の坂を走り抜き、ひざに手をついた。酸欠と脱水症状で立っていられず、仲間に担がれテントへ。それほどまで全力をかけた20・8キロ。しばらく休み、回復すると「大満足の記録」と笑った。3度目の挑戦で手にした区間賞に喜びがあふれた。


初めての展開だった。1区から先行され、3区で中大に2分24秒差を許した。原晋監督(57)は「レッドゾーンに入りかけた」と、連覇へ危険信号がともった。4区太田(4年)が差を縮め、若林へ。指揮官が「若林の5キロ付近で勝ちを確信した」と評するほどの圧倒ぶり。9・5キロで一気に抜き去った。過去2度は、首位で1分20秒以上のリードを受けての山登り。45秒を追っても“若の神”は崩れなかった。


精神面の成長が好記録を呼んだ。京都・洛南高ではパリ五輪3000メートル障害7位の三浦龍司(22)の1学年下。先輩たちに圧倒された。何か聞かれれば「はい」か「いいえ」。おとなしい高校生だったが、大学で変わった。1年時から箱根路を走り、自信を手にした。今大会は「1時間8分台」を課し、追い込んだ。結果は12秒オーバー。前回の山本唯翔(城西大)の区間記録を3秒更新し、初代“山の神”の今井正人(順大)の参考記録1時間9分12秒を超えても「8分台を目指していたので悔しい」と反省を忘れなかった。ただ「この記録を目標として入学して、山の神を目指してくれたらうれしい。足掛かりになれば」と、未来の後輩へ思いをはせた。


今回が“ラストレース”だった。4月からは日本生命へ就職し、競技の一線からは退く。3年時に「箱根以上に熱意をかけられるものがもうない。ダラダラするならここでやめよう」と決意した。今季は1万メートルで27分台をたたき出すなど、発展途上。惜しむ声もあるが「後悔はない」ときっぱり。今後は「自分自身が支えられてきたので、支える仕事をしたい」。3日には、その予行演習が待っている。「大手町で笑うのがチームの目標」。仲間をサポートし、有終の美を飾る。【飯岡大暉】


◆若林宏樹(わかばやし・ひろき)2002年(平14)9月3日、和歌山県生まれ。下津二中から洛南高へ進学。高3時の全国高校駅伝で1区3位。21年に青学大に進学し、1年時に箱根5区に抜てき。区間3位で往路優勝の立役者となり、原監督に「若さあふれる走りだった。『若の神』を与える」と絶賛された。2年時も5区配置も直前の体調不良で欠場、前回は区間2位。1万メートル記録は27分59秒53。好きな有名人は上白石萌歌。168センチ。

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