<第101回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京−箱根(5区間107・5キロ)
前回7位の早大が往路では7年ぶりとなる3位に躍進した。近年は中位が定位置になってきたが、花田勝彦監督(53)就任3季目で復活ののろし。5区では人気漫画「名探偵コナン」にちなみ「山の名探偵」と呼ばれる工藤慎作(2年)が2年連続の山登りで歴代3位の1時間9分31秒の力走で、6位から3位に順位を上げた。
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あれから1年。すっかり定着した愛称が、箱根の山に幾度もこだました。「名探偵!」。沿道の声援に、後方車の花田監督からも「山の問題を解決してくれ!」のげきが飛ぶ。名前にメガネ姿、そこに登りの強さが加わり、23年春の入部直後に決まった「山の名探偵」の呼称。前回区間6位で衝撃を残し、今年はさらに。「ずっと考えてて」という主人公コナンの決めポーズでゴールに飛び込んだ。
メガネはスポーツ用ではなく、中学時代から「普通」を愛用する。この日はその視界に次々と上位陣を捉えた。9キロ過ぎに国学院大、12キロ手前で駒大、15キロ過ぎに創価大を抜き3位に。「昨年のような中盤の失速がなくなった。100点です」と満点回答だった。
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その足元には特注した「山登り専用シューズ」が光っていた。夏以降にアシックス社と試作を重ね、箱根の山の平均傾斜に合わせて厚底のソールのかかとをより厚くして角度をつけ、上り坂でも平地を走るような感覚に近づけた。効率化を促して、最後まで足が回る工夫がなされ、“名探偵に金棒”だった。
優勝13度を誇る名門は、3冠達成の11年を最後に総合優勝から遠ざかる。22年6月に就任した花田監督は「いろいろ策は講じてきた」と説く。靴もその1つ。部員数の少なさを補いながら、層も厚くしてきた。この日は1区4位発進も、2区で11位に。ただ、3区で1年の山口竣が区間3位で5位に押し上げ、4区長屋も堅実に山へとつなげた。
「早稲田から世界へ」。名門に貫かれる信念だ。工藤のこの1年の成長も、「28年ロサンゼルスにマラソンで出る」と五輪を明確に描き、地道な体幹メニューなどを続けてきたからこそ。同監督も「体幹が弱くてひょろひょろしていたが、いまはしっかりして走りもスムーズになってきた」と目を細める。出雲で6区2位、全日本で8区3位と平地でも快走して勢いに乗り、チームも勢いづけた。
「真実はいつもひとつ」。コナンの名ぜりふと同様に、いまは名門だからこその「真実」を求める過程にある。復路にも精鋭がそろう布陣。「上位争いを楽しんで、3番以内を」と工藤。長年苦しんできた箱根路の難問解決も願った。【阿部健吾】
◆工藤慎作(くどう・しんさく)2004年(平16)11月10日生まれ、千葉県出身。三田中で陸上を始め、八千代松陰高へ。高3の全国高校駅伝3位に貢献。23年に早大に進学し、1年時は出雲は4区10位、全日本は4区13位、箱根は「自分で希望して」5区6位。自己記録は1万メートル28分31秒87。好きな有名人は元ロッテの里崎智也さん。前回大会直後に届いたサイン色紙は宝物。「対談などに呼んでもらえるには、結果を出していきたい」と意気込む。168センチ。
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