76歳で「マクドナルド」清掃員、75歳で「ビックカメラ」レジ係、働く70代“お達者ガールズ”たち

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2025年01月03日 08:00  週刊女性PRIME

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笑顔で接客する田巻さん。一緒に働く薬剤師さんは、田巻さんより1歳上だそう 撮影/矢島泰輔

 

 近年、65歳以上のシニア世代で、働く人が増え続けている。長い老後生活への備えや物価高、年金不安などから元気なうちに収入を得たい、社会で交流したいと考える人が多いのだ。2021年には法改正で70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となり、継続雇用も歓迎されるようになった。

 その一方で、高齢で働くことに不安を抱く人も多い。そこでシニア世代の仕事の実情を知るべく、2人の働くシニア女性に仕事への思いと、やりがいについて話を聞いた。

仕事での学びと人との交流が日々の楽しみ。80歳まで働きたい!

 家電販売店のビックカメラで、“スポーツ、お酒、くすり・日用品”エリアのレジ担当として働くのは、75歳の田巻とし枝さん。働き始めたのは42歳で、以来32年間にわたり、レジ一筋で勤め上げてきたベテランアルバイトだ。

「もともとは税理士事務所の経理事務をしていましたが、出産を機に退職。その後10年間は3人の子育てに没頭しました。末子が小学校に上がると時間に余裕が生まれたので事務系のアルバイトに応募したものの、なかなか採用に至らず。

 そんな中、ビックカメラのレジ担当というアルバイト応募を知って。経理事務で数字の扱いには慣れていたので、これなら私にもできると思いました」(田巻とし枝さん、以下同)

 店舗が自宅から電車でひと駅という近さも魅力だった。

とはいえ最初の数か月は、レジに慣れるまで大変でした。30年前はバーコードがなく、商品番号はすべて手打ち。出入金の計算も手動で、クレジット決済など操作を少しでも間違えば初めからやり直しでした。

 15年前にはレジもデジタル化され、全自動になったので作業効率は格段に上がりましたが、私の世代はパソコンの知識がないので一から勉強しなくてはいけなくて。

 若い人にも教えてもらいながら必死で習得し、今では彼らとレジで競うほど得意になりましたよ(笑)ポイントカードのアプリ化や電子マネーの導入など、覚えることは常にあるので日々勉強です」

 また32年の間にレジ担当として店舗内のさまざまなエリアを経験し、家電以外の商品にも多数携わってきた。

「意外なものだと、うもう布団などの寝具を扱う生羽工房など。家電販売店といってもビックカメラはさまざまな商品を扱っているので、商品を把握するのはなかなか大変。でも、学びが多くて日々充実していましたね」

 長年意欲的に仕事に取り組んできた田巻さんだが、初めは30年以上も働くなんてまったく予想していなかったそう。

55歳のころに夫が病気になり、経済面で続ける必要が出てきたんです。でも、何よりもたくさんの人と巡り合って刺激をもらえる楽しみがあったからだと思います。同僚のいいところを見習ったり、自分の知恵を伝えたり。

 いろいろな世代と交流できるのも喜びの一つ。最近は、20歳の中国人留学生と互いの国の文化の話で盛り上がりました」

 また、長年一緒に働いてきた同期4人の存在も大きいと話す田巻さん。

「私が65歳のとき、“海外に行けるのはこれが最後だね”って4人でイタリア旅行に行きました。同期を含め、いろいろな人に応援してもらったからこそ、ここまで続けてこられたと思います」

 高齢になり、体力的につらいと感じることはなかったのか。

「初めは1日7時間、週5日の勤務でしたが、60歳を過ぎて体力の変化を実感し、週3日勤務に減らしました。3年前には膝を痛めましたが、レジはほとんど歩かずにすむので休まず続けられました。

 もともと忙しいのが性に合っているので身体が元気な限りは、80歳まで働きたいですね。ビックカメラのパート・アルバイトは採用も勤務も年齢不問で、長く働く人が多いんです。

 これから高齢者になる皆さんはデジタル世代で、レジ一つとっても私たちよりスムーズにできるはず。心配せず働きに来てくださいね」

孫と娘が一緒だから頑張れる。目標は生涯マクドナルド!

 娘、孫と一緒に、親子3代でマクドナルドのアルバイトをしているのは、76歳の山崎りつ子さん。もともと飲食店で働いていて、結婚後は40代半ばから70歳手前まで約20年間、寿司屋さんの洗い場を担当していたそう。

「23歳で結婚し、子ども2人、孫6人、ひ孫1人に恵まれました。洗い場の仕事は楽しくやっていましたが、年齢が進むにつれて大きなお皿の配膳などの力仕事がつらくなり、退職を決意。

 そのとき、娘と孫がマクドナルドで働いていたので一緒に働きたいと思い、2017年からマクドナルドで働き始めました。自転車で10分という通勤時間の短さも決め手でしたね」(山崎りつ子さん、以下同)

 現在は、客席や厨房(ちゅうぼう)の清掃係と店舗駐車場の植栽のお世話を担当し、週3日、昼の時間帯に3〜4時間ほど働いている。70歳目前で新しい仕事を始めることに不安はなかったのか。

「接客業をしていたころの経験から不安や苦労は感じませんでした。それに、マクドナルドに行けば、近くに住んでいても会う機会の少ない孫や娘の元気な姿を見られるのが何よりうれしくて……。

 マクドナルドに来店する小さいお子さんとお話しするのも楽しみですね。日々、とてもやりがいを感じています

 そんな山崎さんの目標は、生涯マクドナルドで働くことだそう。

自分が元気な限り、娘や孫と一緒に働き続けたいです。シニア世代だからこそ、やりたいと思ったことはどんどんやるべき。何歳になっても挑戦していきたいですね

取材・文/井上真規子

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