時の経つのが早すぎて困る。それは仕事に追われているからかもしれない。月曜になったと思えば、すぐに金曜になり、土日も過ぎてまた月曜になる。歳を取る毎に一年は早く経過するという事を、どこかで聞いた。
また西成へと向かった。暫くJALやANAのキャンベーンでチケットを取っていたのでキャリア利用が多かったが、今回は久々のジェットスター。成田空港から関西空港へと向かった。最近、プライオリティ・パスを入手したので、成田空港第三ターミナルでは「ぼてぢゅう屋台」の「大阪道頓堀セット」3,400円相当をテイクアウト、関西空港でも「ぼてぢゅう1946」のテイクアウトセットを、それぞれ無料でGETでき、それらを抱えて向かった。
インバウンド観光客も爆増中の昨今、空港にも南海電鉄の車内にも多くの外国人観光客が見受けられたが、新今宮駅を降りて横断歩道を渡れば、あいりん労働福祉センターのあったた建物の前には、相変わらずの光景が広がっている。JRを介した反対側には素敵な、OMO7大阪 by 星野リゾートが輝いているというのに、この対極的な光景に複雑な気分になる。何も変わらないどころか、物価が上昇し出して、却って困窮者が増加している感すら、ある。
今回は「YAMATO by DOYANEN」に宿泊した。センターのあった建物から南東方向。大通りから路地を曲がり、数分歩いた先だ。まさに西成ど真ん中なので、以前よりずっと安全になったとはいえ、特に夜は気を抜けない場所に位置する。こちらには、2020年3月に宿泊した事があった。当時はまだコロナ禍になる前で、やはりインバウンド観光客も増加傾向の時で、フロントは欧米人だった。その後に、一度ホテル名が「IKIDANE COZY HOTEL」に変わり、なぜかまた元に戻った。
到着は、午後8時35分。以前と同様に中央のドアを開けて中へ入ろうと思えば、すでにシャッターが閉まっている。よく見れば正面には前回には無かったQRコードが貼りつけてある。
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この類のチェックイン方法は、コロナ禍で海外渡航が禁止になる1週間前の2020年2月、シンガポールはTANJONG PAGARで経験した。もっとも、その時はQRコード読み取りでは無く、URLを打ち込むスタイルで、宿泊代の支払いが現地精算だったのでクレジットカードも登録したり、そのカードが使用不可で、別のカードでOKだったりと焦った。
今回は支払い済なので大丈夫だと安心しきって読み取れば、いきなり「チェックインコードを入力」などと出る。楽天トラベルで予約していたのでそのようなコードは無く、焦った。仕方なく、ホテルの電話番号に電話をかければ、男性の方が出て、丁寧かつ優しい口調でアドバイスしてくれた。それはコードが不明な方は予約名で良いらしいという事。後から張り紙をきちんと見れば、ちゃんと書いてあった。焦るとろくな事が無い。最終チェックインは22時と明記されているが、このQRコードシステムでホテル入口のパスワードをGETできたなら、それを過ぎてもチェックイン可能のようだ。
なにはともあれ、ドア開錠のパスワードも取得できて中に入れて、ほっとした。
フロントには誰もいなかったが、ロビーには以前と同様にテーブルと椅子、そしてソフトドリンクの自動販売機があった。洗濯機と乾燥機も一台ずつではあるが設置されていた。
唯一、全く違っていたのは、階段脇。
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一応、前回の写真も掲示するが、以前は自炊が出来るようなスペースやトースターなどがあったが、リフォームされて何も無くなっていたのが、少し残念だ。
ホテル上層へは階段とエレベーターで行ける。指定された部屋番号の扉へ向かえば、また四桁の番号を合わせるダイヤル式の鍵があった。開錠する番号も先程のQRコードから進んで教えてもらっているので、番号を合わせた。しかし、ドアは開かなかった。番号を間違えているのかと、何度か回して試すが、やはり開かずに焦る。
仕方なくまた電話をかければ、さきほどの男性がまた優しく教えてくれた。「入れたのですね!良かったです〜!部屋のドアのところのは番号を合わせたら、引っ張ったらボックスが開きませんか?」
何のことは無い。番号を合わせたら開錠するわけではなく、それはボックスで、開くと中にキーが入っているという、ある意味、原始的なシステムだった。「なるほど!開きました。お手数おかけしました!」と言い、電話を切った。
ちなみにこのやり方も、フロント辺りやフロアの廊下に掲示されていた。焦るとろくな事が無いとまた反省した。
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部屋は3畳一間程度の洋室で、とても清潔だ。
テレビと冷蔵庫、そして湯沸かしのポットもある。西成のホテルには珍しく、ティッシュペーパーまで。もちろん無料のWi-Fiも飛んでいる。
タオル&バスタオルはあるが、歯ブラシなどのアメニティは一切無いので、注意が必要だ。
あと、ハンガーが1本しか無いのも不便。できれば3本、せめて2本は、欲しい。
その後は、恒例の館内探検へと向かった。
各フロアには男女別のトイレがあり、ここも清潔感がある。トイレはもちろんウォシュレットタイプだ。
1階にはシャワールームがあり、数室設置されているのも嬉しい。
ドライヤーのほか、ヘアアイロンまで置かれていて、上質な雰囲気を醸し出している。ちなみに3階には女性専用のシャワールームもあった。
その後は、また部屋に戻り、ひとり呑み会となった。ホテルの立地が西成ど真ん中という事もあり、夜に通りを徘徊するのに躊躇したので、あらかじめコンビニでアルコールと氷を購入していた。それと、プライオリティ・パスでGETしたお好み焼き&たこ焼きなど。
いつしか、ひとり呑み会は終了したらしく、気がつけば朝になっていた。こればかりは運もあるが、夜中も静かで快適だった。これで1泊素泊まり2,400円(税込)。宿泊日の7日前から50%、前日から100%のキャンセル料がかかるが、西成ど真ん中という立地はあるものの、ホテル内の上質な空間を考えれば、自分的には十分に「あり」なホテルだと感じた。
チェックアウトは10時までだった。朝もフロントには誰もおらず、キーを1階のボックスに返却するだけで簡単だった。
西成の朝は、今回も晴れていた。大通りを歩けば、外国料理の店舗に遭遇した。西成もどんどん様々な多国籍の料理店が増えている。
■プロフィール
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊