前回からの続き。俺はエイタ(28)。現在妻のサキ(28)と生後3か月のアオトと3人で暮らしています。俺たちは都心で暮らしていて、両親は新幹線で3時間ほどの距離に住んでいます。妻の両親は車で1時間の距離に住んでいますが、介護で大変らしくいつも忙しそう。サキはおだやかで、一緒にいて安らげるところが好きで結婚したのですが、出産後は人が変わってしまったようにいつもピリピリ。喧嘩になることも増えてきました。そんななかで弟の結婚式に1泊2日で出席して帰宅したのですが、サキの不満が大爆発。アオトを俺に託して部屋に閉じこもってしまいました。
恥ずかしいことにミルクを数回しか作ったことがなく、やり方もうろ覚えだったので、ネット検索しながらなんとかミルクを作ることに。アオトにあげると、とりあえず泣き止んでくれました。俺はミルクを作りながら、ぼんやりとアオトが生まれる前のことを思い出していました……。
結婚当初はあんなにおだやかで優しくて気が利いたのに、それが今では別人のようです……。
正直俺は、3か月近くたった今でも産前産後のサキの変わりっぷりに戸惑ってしまうところがあります。ちゃんと働いて、それなりに家事も手伝っているつもりなのに、いつもイライラピリピリ。何に不満があるのかまったくわかりません。そんなに顔に出すのなら、もっとハッキリと言ってくれればいいのに……。
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ゆっくり考える機会がなかったので今さらですが、アオトはここ最近よく笑うようになったなと思います。前までは表情も変わらずくにゃくにゃしていて触るのも怖かったですが、だいぶからだもしっかりしてきて、あやせば笑ったり表情も豊かになってきたような気がします。スヤスヤと眠るアオトを見て、純粋にかわいいなと思ったのはこのときがはじめてだったかもしれません。
自分のことやサキの手伝いをするばかりで、アオトの成長を一緒に喜ぶことをできていなかったような……。気が付けば一緒になって眠ってしまっていました。
出産したあとのサキはいつもイライラしていましたが、本人から直接文句を言われることがなかったので、何にそんなに不満があるのかわかっていませんでした。しかしまさか離婚を考えるくらい不満を抱えていたとは……正直ショックです。
自らではありませんでしたが、生後3か月となったアオトをゆっくり眺めてかわいいと思っていた矢先にこんなことを言われてしまうなんて。手紙を読んでしまうと仕事にならないかもしれないので、昼休憩のときに読もうと思いますが、読むのが怖いです。
【第4話】へ続く。
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