【アメフト】パナソニックQB荒木優也「人生初の日本一」ルーティンは夫人とのプレーコール確認

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2025年01月04日 15:35  日刊スポーツ

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富士通対パナソニック 第4Q、パナソニックQB荒木(左)が自ら走り込んでTDを決めて喜ぶ(2025年1月3日撮影)

<アメリカンフットボール日本選手権ライスボウル:パナソニック34−27富士通>◇3日◇日刊スポーツ新聞社ほか後援◇東京ドーム◇観衆1万7694人



パナソニックインパルスが、雪辱のライスボウル制覇を遂げた。3年連続で敗れていた富士通フロンティアーズとの4年連続同一カードで、リベンジ達成。34−27で9季ぶり5度目の日本一に輝いた。


社会人と学生の王者対決から、Xリーグ同士の優勝決定戦に変わって4季目で初の頂点。創部50周年の節目を飾った。MVPには、先月18日に第1子の男児が生まれたばかりの司令塔クオーターバック(QB)荒木優也(27)が輝いた。


手痛いミスから、逆転劇が始まった。第3クオーター(Q)残り2分15秒、パナソニックQB荒木が富士通LB山岸にサックを食らう。パスを投げようとしていた背後から襲われ、ボールをこぼし、リカバーされて攻撃権を喪失。難なくタッチダウン(TD)を献上して13−20とされた。


今年も…。過去3年の敗戦が嫌でも脳裏にちらつく中、本人は違った。


「ファンブルしたけど、相手のラッシュがすごかっただけで、何かエラーがあったわけじゃない。悪くないチャレンジだった。空いているWRがしっかり見えたし、次は通せる」


最終の第4Q。RB立川玄明の52ヤードランで大きく前進した後、自ら6ヤードのTDランで追いつき、名誉を挽回する。次の攻撃も30ヤード超のパスを2連発。RB立川からQBの自身へ戻し、RB藤本拓弥へ投げるスペシャルプレーでゴール前2ヤードまで。27−20と再逆転する道筋を立てた。


個人的にも燃えていた。パナソニックのマネジャーだった夫人との間に先月18日、第1子の長男が誕生。「自分の話になってしまうんですけど、子供が生まれて、日本一のパパになりたかったので。かなえられてうれしい。自慢できる選手に、大きくなった時に『パパは日本一になったんだよ』って言える選手に、なりたかった」。よりモチベーションを高めていた。


夫人とのルーティンも力になった。アスリート向けの調理など日常生活の支えはもちろん、出産、さらには試合前夜のプレーコール(作戦)合わせが生きた。


「QBの妻として、毎試合前、一緒にプレー合わせをしてもらったんです。最高の恩返しができました。ゲームシート、全てのプレーが書いてある紙があるんですけど、そのコールを読んでもらって、自分は聞いた瞬間に『このコールは、ここに通す』『3歩、下がって』と頭の中を整理するんです。例えば50プレーあったとして、それを全部、毎週。昨日も子供は母親に見てもらって(自身が上京していたので)電話で合わせてもらいました。40分間くらい」


チームの一員として、富士通へのリベンジを期したシーズン。過去3年連続で苦杯をなめさせられた、過去10年で日本一8度の富士通に借りを返す−。その思いに、家族への感謝を加えて夢をつかんだ。


「僕はアメフト人生15年で1度も日本一になれたことがなかったので、憧れていたし、去年まで3年間、勝てていない相手に何が何でも勝ちたいという思い、全てがかみ合いました」


立命館守山高から立命大を経て入団。荒木延祥、高山直也の新旧監督によって昨季から日本人QB体制になり、エースになった。併用されてきた石内卓也も昨季限りで引退。覚悟を決めることしかなかった1年の最後、体も張った。TDランも含め、チーム3位の7回も、自ら走った。


「石内さんのために、という思いもありましたし、支えてくれるOL、走ってくれるRB、捕ってくれるWR、守ってくれるディフェンス、全員のために。本当に年間ラストの試合だったので、今まで(リーグ戦から準決勝まで)してこなかったQBキープであったり、積極的に走ってゲインにつなげたりするところをやっていこう、と(攻撃)コーディネーターとも話をしていました。でも、やっぱり、あんまり走り慣れてないんで(笑い)。そういった意味で、ちょっと痛めてはしまいましたけど、最後なんで、本当にやり切るだけでした。最後、勝てるのなら、どうなっても良かったので」


胴上げで宙を舞い、歓喜の記念撮影を終え、左足を引きずりながら、荒木は東京ドームを後にした。日本一の背中になった。【木下淳】

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