ネコが大好きで、YouTubeでひたすらネコ動画を観ていた漫画家の青山ゆずこさん。ある日、へその緒がついたままの赤ちゃんネコを保護した日から、生活が一変しました。幼ネコと暮らす愛おしい日々のエピソードを紹介します(以下、青山ゆずこさんの寄稿)。
◆汚部屋をネコのために必死に掃除した結果……
へその緒がついたままの赤ちゃんネコを、自宅の庭で保護した私。仕事を2か月休んで、90分おきにミルクとトイレを世話し、なんとか無事2か月経ってそこそこ大きくなりました。
生後2か月のネコは、寝るときには生活スペースを確保できるゲージに入れます。でも、日中はなるべく部屋で自由にくつろがせてあげたい。なんでも子ネコは、一日20時間前後は寝るそう。うらやましい。体力すごいな。
◆無限に生まれるホコリ
寝たら寝た分だけ体力が復活するので、起きた子ネコはピンボールのように部屋中を駆け回ります。そして、その毛はダスキ〇モップ並みの吸着力を持っているのか、大体ホコリまみれ。掃除をしていないわけではないのに。なんなら、さっき掃除機かけたばかりなのに。
「どうやってそのホコリをまとってくるんだ」と、どうしても気になって、子ネコの後をこっそり追いかけてみました。すると、もう隙間という隙間にルンルンで突撃しているんですよ。しかも、年末の大掃除でもめんどくさくて「まあ、やったことにしちゃおう★」とサボっているような場所ばかり。
◆ネコは縮まる……? いや、確実に溶けている
隙間の幅がどれだけ狭くても、子ネコはずんずんと行進していく。
幅が「5センチないんじゃない?」というくらいのところだって、なかなかの速度で「スンッ!」と突っ込んでいくのです。
「頭入るの?」と毎回声に出してしまうのですが、もうネコ様に“身幅”という概念はそもそも存在しない気がします。溶けるし、のびるし、変幻自在だし。
隙間から出てくるたびにホコリまみれなので、おのれのズボラっぷりを痛いほど叩きつけられるわけですよ。一昔前(?)のいじわるな姑像のような、窓の枠を指でさっと拭いて、指についたホコリを見つめながら、「掃除もろくにできないのかい」とニヤリと笑う――そんなわかりやすい場面も嫌ですが、ちょっとそんな状況とは違う。
何も言わず、むしろ笑顔でニコニコ。そして、気が付いたらさっき掃除したところを、無言で“掃除のやり直し”をされているような。無言の圧と嫌みのダメージ、結構グサッと心をえぐられます。それならむしろ、ののしってほしい。
◆そして私は“掃除ばばあ”へと化した
もちろんネコはののしってはくれないので、黙って後をくっついていきながら掃除をするわけですよ。「あとでやろう」とほっておくと、静かにくしゃみをしたり、ホコリまみれモップ姿のまま、隙間という隙間を“はしご”するんですもの……。
そして、“単体の動くモップ”だけではなく、お気に入りのねこじゃらし(100円)や、もふもふのしっぽのようなおもちゃもくわえて持ち歩くから、まるでモップがモップ持って掃除しているかのよう。そして、どれもホコリまみれ。ごめんて。
テレビ台の下とか、間とか、フィギュアの台の上とか、細かいところも物を落とさないで移動するから、見事にきれいになってしまう。
「やった、ラッキー」と思いそうになるのをぐっとこらえて、愛猫のためにわたしの部屋着のポケットには、ウェットティッシュと掃除用のリアルなハンド1モップを完備。
まるで動くホコリセンサー、もしくは、カワイイもふもふ姑。今日も元気にホコリにまみれています。
<漫画・写真&文/青山ゆずこ>
【青山ゆずこ】
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird