ロレアルグループとルーヴル美術館が初めてパートナーシップを組み、館内全域を網羅する探求型鑑賞プログラムで協働している。「あらゆる美において」と題して、厳選した108の作品を通じ、1万年以上にわたる芸術と歴史における美の探究を提供。QRコードからアクセスできる専⽤のウェブアプリを⽤意し、館内だけでなく美術館を出た後も同プログラムを探究できるシステムだ。
同プログラムは、ルーヴル美術館とロレアルグループのアート・カルチャー&ヘリテージ部門の協働によって実現。有史以前から未来をも含む、あらゆる時代の美の物語を、より多くの人々と共有することを目的に開催し、美の所作、儀式や習慣の発見を通して、また規範化、理想化された美のあり方の発見を通じて生まれる外見や美について問いかける内容となっている。今回、SNSでも話題の中心となる美をテーマにすることで、「美術館に自然には訪れない若年層にもリーチすることが可能で、美しさを問い直すことは、私たちの社会や全⽂化の多様性と進化に対して⼼を開くことでもあります」(ルーヴル美術館 観客開発およびメディエーションディレクター ゴーティエ・ヴェルベケ⽒)という。作品選びはロレアルが担当した。「ルーブルとロレアルの共同作業の成果として、旅のテーマに沿った作品を選びました。美の歴史、その普遍的要素、そして特にその多様性の物語を語ることです。さらに3つの観点から選定しました。1つ⽬は化粧品の実践やオブジェクト、2つ⽬は⽂明ごとの美の規範、3つ⽬は美と社会のつながりです。そし、美とアートが感情に関わるものであることから、直感も⼤切にしました」(ロレアル・グループ 芸術・⽂化・遺産部⾨ディレクター デルフィーヌ・ユルバッハ⽒)。
ウェブアプリは、美術品を説明するテキストと音声案内を収録。「特に注⽬すべき点は、語りが第一⼈称で進められる⾳声コンテンツを⽤意。作品やオブジェクトそのものが語り⼿となり、理解のための鍵が⾮常にアクセスしやすい形となっている」(ヴェルベケ⽒)とし、作品や展示物がまるで生きているかのように、それぞれ一人称で語りかける。例えば、ネファティアベトが死後の世界にまで持っていったほど愛用していた化粧品の展示コーナーでは、その物語を、彼女自身の声で語りかける。またメルキュール・リシュリュー像を通して古代ギリシャにおける理想の美について思いを馳せたり、「眠れるヘルマフロディトス」像と向き合いながらジェンダーの概念を掘り下げるなど、さまざまな視点から展示を楽しむことができる。
ルーヴル美術館館長 ローランス・デ・カル氏は、「ロレアルの人々との対話から生まれた、このとてもユニークな探求型鑑賞プログラムは、ルーヴル美術館を訪れる方が、これまでにない新たな視点から所蔵作品を見つめ直すことを可能にします。時代や文化を超越する、美の途方もない多様さに焦点をあてた旅路をデザインしました。芸術作品への遊び心にあふれ、親しみやすいアプローチは、ルーヴルが受け継いできた美の資産をより幅広く共有し、より多くの人に体験していただく新しい手段であり、ルーヴル美術館が果たす『見る目を養う学校』という役割を強化するものです」とコメント。
一方、ロレアルグループCEO ニコラ・イエロニムス氏は「『世界をつき動かす美の創造』という私たちのパーパスの中核には、より多くの方に美を届けること、そして歴史の夜明けから美が果たしてきた多様かつ不朽の役割について伝えたいという情熱があります。この情熱こそが、私たちを今回の美への新たなパートナーシップとアプローチ方法の探求へと向かわせました。多様で豊かなコレクションに加え、最も現代的な社会課題にも取り組めるルーヴル美術館は、本企画における最適なパートナーでした」と語った。
なお同プログラムは、若年層を含む新たなオーディエンスの⼼に響く仕組みも⽤意。館内体験に加え、2025年初頭には、ルーヴル美術館とロレアルが共同制作するウェブコンテンツシリーズを配信する。このウェブコンテンツでは、ある若い世代の来館者グループの視点を通じ、本キュレーションの中でも最もアイコニックな作品のいくつかを掘り下げていく。