京都芸術大学の学生らでつくる「湯道(ゆどう)部」が活動の幅を広げている。京都市内の銭湯を巡ってSNSに投稿して魅力をアピールする他、銭湯グッズも作成。昨年は大阪市のイベントでヒノキの丸太を使い、足湯が楽しめるようにした。風呂文化を楽しみつつ、湯を通じて水のありがたみに感謝するといった湯の道を究めていく。
湯道は、映画「湯道」の企画・脚本を務めた放送作家で、京都芸術大副学長の小山薫堂さんが提唱している。世界的に安全な水道水を飲める国は数えるほどしかない。貴重な水を沸かして風呂として浸かるぜいたくな行為ができる水環境に深く感謝し、裸になって身分関係なく楽しめる風呂の平等さに思いを馳せ、自分自身を省みる。こうした営みを通じて入浴の精神を突き詰め、「道」に高めていく取り組みという。
湯道部は2023年に発足した。現在、部長を務める4年田城照兜さん(22)が、小山さんとイベントを通じて知り合ったのがきっかけ。小山さんから「湯道部を作ってほしい」と言われ、元来、開放感があってタイルなどもきれいな温泉や銭湯が好きだった田城さんが一念発起した。
当初は部員が集まるか不安もあったが、学内に募集のポスターを掲示すると、どんどん集まった。田城さんは「みんな、銭湯に惹かれるんだなと思い、うれしかった」と振り返る。今や、部員は約40人に及ぶ。
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みんなで相談しつつ、まだ行ったことのない銭湯へ足を運ぶ。見知らぬ人と湯気の中で生まれるコミュニケーションを楽しみ、銭湯のよさを再確認。SNSなどで発信する。
オリジナルのタオルや入浴剤、キーホルダーを作るなど、取り組みは幅広い。昨年11月に大阪市で開かれたアート関連のイベント「ちょちょヴァナ」では足湯を用意。くりぬいた木曽ヒノキに湯をはり、楽しんでもらった。今後、子どもたちに風呂の魅力を伝える活動も考えたいという。部員の4年吉浦健太さん(21)は「町の銭湯が減っているが、残すべき理由もあると思う。(湯道部の活動が)存続につながればうれしい」と話す。
田城さんは「銭湯はそれぞれに特徴がある。湯道部でみんなで銭湯に行ったり、いろんな人に出会ったりできるのが楽しい。活動を通じ、湯道を広めたい」と言葉に力を込める。
(まいどなニュース/京都新聞・陰山 篤志)
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