かつては売れ筋だったのに……書店員に聞く、年末年始に売れなくなった本と売れてる本

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2025年01月05日 17:10  リアルサウンド

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リアルサウンド

秋田県羽後町になる書店、ミケーネ店内の雑誌のコーナー。秋田県は雑誌の発売が1日遅れることが多いが、出版社の定期購読に申し込めば発売日に届く。これも羽後町のような地方にとっては痛手になる
■かつては一家に一冊だったテレビ雑誌

  一般的に12月〜1月は、書店にとってかきいれどきである。冬休みや年末年始の長期休暇に本を読む人が多いため、小説を何冊かまとめ買いする人が多いためだ。また、子どものクリスマスプレゼントに絵本や漫画を贈る人も多いことから、この時期に書店に立ち寄ると積極的にフェアを開催している。


  ところで、毎年、年末年始に書店で必ず買っていたのに、いつの間にか買わなくなってしまった…という雑誌や本はないだろうか。「年末年始の定番だった雑誌と言えば、テレビ雑誌でしょう。大みそかの紅白歌合戦をはじめ、新春の特番をチェックするためにはなくてはならない存在でした」と話すのは、大手書店チェーンのA氏である。


 ところが、テレビ雑誌は2023年に「週刊ザテレビジョン」(KADOKAWA/刊 休刊後は月刊版に移行)が休刊してしまうなど、苦境が続いている。「YouTubeやNetflixの隆盛でテレビ離れが進んでいる影響も大きいと思いますが、テレビ欄は今やテレビの画面でもチェックできるようになってしまい、雑誌のニーズが激減したことが背景に挙げられるでしょう」(A氏)


■年賀状づくりに欠かせなかった素材集

  2025年用の年賀はがきの発行枚数は10億7000万枚にとどまり、前年比で約25%という大幅減となり、過去最低クラスになったと伝えられている。郵便料金も大幅に値上げされ、“年賀状じまい”が進むなか、年賀状作りのために必要だったのが年賀状素材集である。付属のCD-ROMには、年賀状作成のソフトとそれに必要な絵柄が大量に収録されていた。


 「素材集は11月後半から12月にかけて書店に平積みされていました。使用する素材はせいぜい1〜2点で、しかも既に完成しているひな型をそのまま使う人も多かったはずです。そのために2000円近くするムック本を毎年買っていたのは、今思えばかなり贅沢ですよね。それほど年賀状は日本のお正月に欠かせないものだったといえます」と、A氏。


  そんな年賀状が、まさかここまで一気に衰退してしまうとは、誰が予想しただろうか。思えば、プリントゴッコも文具店や画材店から消えてしまった。年賀状の文化は10年後でも消滅はしていないと思われるが、SNSやメール、LINEなどのアプリで新年の挨拶をする人が多数派になっていると思われる。


■手帳とカレンダーは堅実な売れ行き

  現在、年末年始の書店に並ぶものといえば手帳やカレンダーが挙げられる。手帳の売れ行きに関しては、スマートフォンでスケジュールを管理する人が増えたため、年々減少傾向にあるといわれる。しかし、A氏は「爆売れはしませんが、根強い“紙派”も一定数いるため、堅実な売れ行きだと思います」と話す。また、カレンダーも意外な売れ筋だという。


 「カレンダーも固定ファンが多いですね。猫ブームの影響か、猫のかわいい写真が載ったカレンダーは売れます。また、当店では扱いがないのが残念ですが、アイドルやアニメのカレンダーは堅調と聞きます。アイドルやアニメのカレンダーはコレクションアイテムとして人気で、同じものを数点買うファンが珍しくないようです」


  また、A氏の書店では京極夏彦を筆頭に、いわゆる“鈍器本”と呼ばれるような分厚い小説が年末年始の売れ筋という。また、西村京太郎などの推理小説や、ライトノベルのシリーズものを10冊以上まとめ買いする人も多いそうだ。やはり、年末年始は本の一気読みに最適ということなのだろう。この冬こそ、気になる本を手に取ってみてはいかがだろうか。



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