<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:共栄学園2−0近江兄弟社>◇5日◇第1日◇男女1回戦◇東京体育館
年明けの風物詩、全日本高校バレーボール選手権が開幕した。女子は05年以来20年ぶり3度目の優勝を目指す共栄学園(東京)が、4年連続出場の近江兄弟社(滋賀)にストレート勝ちし、初戦を突破した。23年に日本代表にも選出されたエース秋本美空主将(3年)が、母で12年ロンドン五輪銅の愛さん(旧姓大友)が見守る前で大車輪の活躍。28年ロサンゼルス五輪を目指す新星が、初の日本一に挑む。男女決勝は12日に行われる。
◇ ◇ ◇
秋本が声を張り上げた。25−8でセットカウントを先取して迎えた第2セット。チームは気の緩みからか序盤でミスが相次ぎ、13−17と後れを取った。ずるずるといきそうな場面。主将が締め直した。「みんなでここ集中して最後まで行くよ!」。自らスパイクを決めて反撃ののろしを上げると、14−18から5連続得点で逆転。最後は自身の3連続得点でストレート勝利をもぎ取った。「一昨年や昨年とは違って自分はチームをまとめる役割。プレーだけに集中しないで、みんなのことが見られたかな」。熱がこもった言葉には、主将の自覚がにじんだ。
共栄学園中3年で全国中学生選抜の認定選手に選出。高校1年時にU−18日本代表としてアジアの頂点に輝くと、2年時の春にトップ代表に選出された。順風満帆に思えるが、チーム成績は高校3年間で1年時の春高8強が最高。昨年は初戦で涙をのんでおり「勝っても負けても最後。最後の大会だから悔いなく笑顔で終わりたい」と今大会にかける思いは強い。次戦は昨年16強の福井工大福井との対戦。「最後まで集中」とすぐに気を引き締めた。
|
|
19歳から代表で活躍した母よりも、1センチ高い184センチ。恵まれた体から放たれる強打は“勝利を呼ぶワンダーガール”をほうふつとさせる。この日、スタンドで応援した母からは、昨晩「早く寝て明日頑張って」とメッセージをもらったという。全部終わった時にどんな言葉を返したいか。「『日本一取ったよ』って言えるように頑張りたいです」。母と同じ五輪での活躍を夢見る18歳が、高校ラストの春高で暴れ回る。【勝部晃多】
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。