新春恒例の風物詩、初競り。東京・豊洲市場では1月5日、大間産のクロマグロが「一番マグロ」として最高値の2億700万円で落札されるなど、景気の良いニュースがお茶の間を賑わせた。
初競りにかけられたまぐろは同日、茨城県にある相撲部屋「二所ノ関部屋」にも届けられた。アイ工務店が開催した「アイ工務店presents初競りまぐろ&ちゃんこ振る舞い会」にて、二所ノ関部屋に所属する力士や知事、町長、そして地域の方々に振る舞われたのである。
年始早々、多くのファンで賑わったこのイベントの模様をレポートしたい。
○■元横綱稀勢の里「口に入れた瞬間に溶けていった」
今回のイベントの舞台となったのは、第72代横綱の稀勢の里が親方を務める「二所ノ関部屋」(茨城県稲敷郡阿見町)。包括的パートナーシップ契約を結んでいるハウスメーカー・アイ工務店が主体となり、「アイ工務店presents初競りまぐろ&ちゃんこ振る舞い会」を開催した。
同イベントでは、アイ工務店が初競りで競り落とした126キログラムの大間産の本まぐろ(クロマグロ)とちゃんこ300杯が地域の方々に振る舞われた。
会場にまぐろが到着すると、地域のみなさんも大盛り上がり。やはり120キロオーバーともなるとかなりの大きさで、大人が7人がかりで会場に運び入れていた。
まぐろを解体する前に、まずはアイ工務店の坂井達也社長が挨拶に登壇した。
坂井社長は「初競りまぐろは縁起物ということで、昨年も地域のみなさまに振る舞いました。その御利益があったのか、二所ノ関部屋では白熊関が関取に昇進され、大の里関が二度の優勝、そして大関に昇進。部屋としても大事な一年になりました」と回顧。「今年もぜひみなさまでご堪能いただき、2025年が幸せな一年となることをお祈り申し上げます」と訴えた。
そしていよいよまぐろの解体ショーへ。解体前に二所ノ関親方、大の里関、白熊関がまぐろと記念撮影。そのあまりの大きさに、つい笑みが溢れてしまうようだ。
特にまぐろに惹かれていたのが大の里関である。自身のスマホでパチリと記念撮影。
そしていざ解体! 職人たちがさまざまな包丁を使い、頭、腹、背中と手際よく切り落としていく。
巨大まぐろの解体ショーはとにかくダイナミック! 大きなまぐろが見る見る部位ごとに解体されていく。切り口は美しく、少しも身を無駄にしはしないという意思が伝わってくるかのよう。
解体したまぐろは部位ごとに「これがカマです」「腹上(ハラカミ)です」「腹中(ハラナカ)です」と丁寧に見せてくれる。地域の子どもたちも目をキラキラと輝かせながらその様子を見守っている。
わずか10分程度で解体は終了! 卸したまぐろは、横浜市関内の人気寿司店「なか條」の店主である中条清隆さんが直々に握ってくれるというスペシャルサービス付き。
丁寧に、それでいて素早くまぐろを捌いていく中条さん。
その職人技に、親方もこの笑顔である。
実際に口にした二所ノ関親方は、「口に入れた瞬間に溶けていった。まぐろの上質な油が流れ込んでくるかのよう。刺し身でも美味しかったけど、寿司にするともっとウマい」とその感動を見事にレポート! そして……
このハンドサインである。よほどお気に召したようだ。
茨城県の大井川知事も「こんなに美味しい寿司は食べたことがない。普段食べている魚と全然違う」とご満悦。阿見町の千葉町長も同じく「今まで食べた寿司で一番美味しい」と太鼓判を押した。
地域の方々にも「なか條」の職人が寿司を振る舞った。
握り終えた寿司はアイ工務店の社員たちが手際よく運んでいく。子ども用はわざび抜き。あちこちから「美味しい!」という声が上がる。
二所ノ関部屋の力士たちも次々とちゃんこを振る舞っていく。Netflixのドラマ『サンクチュアリ』でも観たけど、相撲部屋と地域の方々の結びつきって本当に強いんだな〜と再確認した次第。
ありがたいことにそのおこぼれに預かることができたが、いずれも超が突くほどの絶品!
大トロは口の中に入れた瞬間に溶け落ちていき、上品な旨みだけが余韻として残った。こんなに美味しい大トロ、本当に食べたことない。なにせ、ついさっき解体されたばかりである。こんなに新鮮な魚、なかなか食べる機会などあるはずもない。赤身もふんわりとやわらかく、ものすごく洗練された鉄の旨味が濃厚に香る。いくらなんでもウマすぎる……。
そして、ちゃんこも負けじと絶品だった。相撲部屋でちゃんこを食べるなんて初めての経験だし、それだけで感動的だったが、この味がとにかくウマいことウマいこと……。豚バラ肉や白菜、根菜などの旨味がしっかり滲み出していて、胃袋にす〜っと染み込んでいく感覚。「大の里関や白熊関も、このちゃんこを食べながら日々鍛錬に励んでいるのかな」と考えると改めて感慨深い。
まぐろの寿司を食べ終えた二所ノ関親方は、一週間後に迫る初場所に向け、「白熊に関しては怪我があって幕の内から転落したんですけども、その怪我もだいぶよくなったので飛躍の年にして、幕の内の上位まで行ってほしいと思います。大の里も安定した成績、二桁以上しっかり勝って、一年間、怪我なく常に二桁狙える状態に持っていってほしい」と意気込んだ。
初競りまぐろに舌鼓を打ち、非常に縁起の良いスタートを切った二所ノ関部屋。2025年もその躍進から目が離せない。(猿川佑)