11月30日、東京・町田市の市役所本庁舎は、土曜日なので各種の窓口は閉まっていましたが、吹き抜け構造となっている1階から3階まで大勢の人が行き来していました。
この日は町田市市民協働フェスティバル「まちカフェ!」の初日。
参加団体で作る実行委員会と町田市の共催で開かれる「まちカフェ!」は、福祉、子育て、環境、まちづくり、国際交流等々、幅広い分野の個人、NPO、市民団体が集まるイベントで、2024年で18回目の開催となります。
【写真を見る】町田市市民協働フェスティバル「まちカフェ!」〜地域の様々な市民活動が出会い、つながり、次につなげる
この日、町田市役所本庁舎内外には、ステージ発表、展示、相談会、飲食や物販、体験講座やワークショップなど130を超える団体がブースを構え、どれを取材しようか、選ぶのに困るほど、ある意味カオスな空間でした。
ケアラーのファッションショー、多様性を知る絵本の読み聞かせ1階ロビーでは、10時にオープニングが宣言され、10時半から開かれたのは「ケアラーのファッションショー」。
年齢や性別、障害のあるなしに関係なく、自由に自分を表現しようという「ポリコレ実行委員会」の企画です。
登場した8人のケアラーは、大きな拍手や声援に迎えられていました。
|
|
代表の鈴木めぐみさん
「こういう輝いてる姿を、自分の家族に見せてあげることで、家族もきっと喜んでくれると思うんです。そんな思いもあって、地元町田のイベントで企画することで、たくさんの方に知っていただくことができました。介護する人が一人で悩みやストレスを抱え込まず、助け合える社会にすることにつながれば」
性の多様性に理解がある地域を目指し、居場所づくりなどを行っている「虹色さざんか」も「まちカフェ!」に初参加しました。
この日の企画は、多様性を知るきっかけを作る絵本の読み聞かせです。
「虹色さざんか」メンバー
「町田市の中で、セクシュアルマイノリティを、支援だったり知識啓発してる団体っていうのが、ほとんど、まずない状態だったので活動をはじめました。きょうも会場の表にレインボーフラッグを掲げて、まず知ってもらう。そういう団体があるっていうのを知ってもらうっていうのが、参加した一番大きな目的です」
「まちカフェ!」実行委員会委員長の広田悠大さんと、事務局をつとめる町田市地域活動サポートオフィスの喜田亮子さんにも話を聞きました。
|
|
「まちカフェ!」実行委員会委員長の広田悠大さん、事務局をつとめる町田市地域活動サポートオフィスの喜田亮子さん
「『まちカフェ!』の企画には特に定型はないんです。まずはお試しでやってみようという団体もあれば、何回目かなので、新しいことに挑戦してみようという団体もあります。足を運ぶほうも、この場を楽しむ人、何か自分のやりたいことを探しに来ている人、と様々で、参加者が一緒に自由に作っていく舞台のようなものです」
国際社会と身近な生活のつながりを考える玉川大学の太田ゼミは、震災の復興支援の物販のブースを出しています。
ゼミ生たちはブースを飛び出して、会場内で岩手県陸前高田市のりんごジュースやおやきを売り歩き「陸前高田市の魅力発信だったり、地域復興に繋がります。いかがですか」と来場者、参加者に声をかけていました。
ゼミ生たちは「まちカフェ!」には何度も参加しているようで、4年生に話を聞くと「福祉の関係のお仕事であったりとか、国際系の活動であったりとか、いろんな団体の方が集まってるイベントなので 新たなつながりとかいろんな情報を得られると思います」ということでした。
参加する間口を広くしているので、参加団体は入れ替わりながらも、数は年々増えています。
|
|
数年前から、市役所だけ、1日だけではおさまらなくなり、2024年は12月8日まで、150ほどの企画が町田市内各所で開かれました。
テーマや表現方法も、勉強会や相談の場から、エンターテインメントまで幅広いものとなっています。
拡大を続ける「まちカフェ!」12月1日には、町田を拠点にするガールズコーラスグループ「まちだガールズ・クワイア」が中心となって、入場無料の「支える手 チャリティーライブ」が町田市民フォーラムのホールで開かれました。
会場内外にはメンバーが募金箱を持って立ち、ステージでメンバーたちからチャリティの説明や呼びかけがありました。
まちだガールズ・クワイア
「きょうは、皆さんからの支援をいただいて、町田市や周辺で活動する『生活困窮者支援りぼん』に全額寄付するというイベントになっています」
「手の差し伸べ方って、いろいろあると思うんです。きょうのライブだけでなく、今後も、私たちのこういった活動や『生活困窮者支援りぼん』のことを、頭の片隅に少しでも置いていただけたなら、また、どこかで、思い出していただくことがありましたら、と思います」
「まちカフェ!」から、地域活動の日々の場へ事務局では「まちカフェ!」終了後も、参加した団体が、もっと学びたいとか、知り合えたから一緒に何かやりたい、という時に、ふらっと立ち寄れる、集まれる場として、月に1回、「まちカフェ!オープンデー」を設けています。
一過性のお祭りではなく、生まれたつながりを維持する、日常でも発信する、新たな活動に広げる、そのきっかけの一つとなる場が「まちカフェ!だ」ということでした。
参加者からは「町田ならでは」「町田らしい」イベントだという声が聞こえてくる一方で、他の地域で活動している人にとっても、いろんなヒントが詰まっているイベントだと感じた取材でした。
TBSラジオ「人権TODAY」担当: 崎山敏也記者