遺棄された皮膚病のシニア犬、このままでは殺処分 「私はどうなるの?」と訴える瞳に保護ボランティアは心を揺さぶられた

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2025年01月07日 15:40  まいどなニュース

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人間を前にまっすぐな瞳で何かを訴えるシニア犬、ムネちゃん

福岡県動物愛護センターの片隅で、ちょこちょこと歩くメスのシニア犬がいました。後に付けられた名前は「ムネちゃん」。皮膚病で毛がなく、何度も何度も子犬を産んできた形跡もあります。人懐っこく、人間が近寄れば顔いっぱいに歩み寄ってくれることから、どう見ても野犬ではなく、誰かに飼われていたワンコです。

【写真】「私はこの先、どうなるのかな?」。瞳がそう訴えているかのよう

1匹でトボトボと彷徨っているところを収容され、以降飼い主からの名乗りがないことから、おそらくは満足なお世話をされず、意図的に棄てられたとみられます。

保護しなければ殺処分。素通りできなかった保護ボランティア

ムネちゃんは人間と目が合うと、まっすぐな瞳で何かを訴えています。

「私にも本当の家族っているのかな?」「私はこの先、どうなるのかな?」

シニア犬であること、皮膚病であることなどを考えれば、ムネちゃんに引き取り手がいなければ殺処分です。

福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキュー・はぴねす(以下、はぴねす)の代表は、ここまでのムネちゃんの境遇、そして引き出さなければ殺処分となることを考えると、ここで素通りすることはできませんでした。

各メンバーの保護スペースのキャパはいっぱいでしたが、無理を承知でムネちゃんを連れて帰ることにしました。

大暴れしたりワガママを言わない、優しく穏やかなお利口さん

保護後、すぐに動物病院で診断を受けたムネちゃん。皮膚病の他、貧血や肝臓・腎臓に問題がありましたが、これらは栄養失調や環境が影響している可能性もあるとの診断で、しばしエサと投薬を行い様子を見ることにしました。

ムネちゃんはしばらくの間、はぴねす代表の家で過ごすことになりました。この家には複数の保護犬が暮らしていますが、ムネちゃんはどのワンコとも仲良く過ごし、またケージの中でもじっと過ごしていられるお利口さんでした。物を破壊することもなければ、エサを食べているときに体に触れても全く怒らないとても良い性格のワンコでした。

人間が好きで顔を寄せてくるためアップ目の写真ばかりに

ひどい飼い方をされ、棄てられたとみられるムネちゃんですが、人間への信頼を失っていない様子で、どんな場面でも自分から顔を寄せてきます。

そのため、ムネちゃんの写真がアップ目のものばかりになるというハプニングもありますが、こんなお茶目なところもかわいいところ。

また、はぴねすの別のメンバーの家に引っ越しをしてからはさらに表情が柔らかくなり、それまでできなかった「待て」を覚えようとする健気なところもあります。

今はまだ健康状態の経過観察が続いていて、まずはしっかり栄養をとってもらい体力をつけてもらうことを最優先にお世話を受けています。そして、体力がついたところで避妊手術も実施予定です。

シニアでありながらも希望を失わず、自分の犬生を幸せなものにしようと努力し続けるムネちゃんは本当に立派なワンコです。近い将来、こんなムネちゃんの前に「本当の家族」「ずっとの家族」が現れることを強く願ってやみません。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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