京都のとあるエリアにあるワンコのブリーダー施設で多頭飼育崩壊が起こりました。ワンコへの管理が行き届くなり、ワンコも売れ残り、犬たちは野放し状態に。それでもブリーダーは「このワンコたちは売り物だ」として、保健所の指導や介入を拒み続けました。
【写真】きれいにトリミングされ、本来のかわいい表情を見せてくれました
多頭飼育崩壊現場の主に多い「気がわり・話の通じなさ」
立ち上がったのが関西圏でボランティア活動を行うKさん。Kさんは「この現状からワンコたちを解放してあげたい」と根気強くブリーダーに交渉。1匹ずつ保護することに成功。2024年夏、ブリーダーに「数匹のスタンダードプードルを引き渡す」という約束にも取り付けました。
多頭飼育崩壊に介入を目指す保護団体やボランティアからよく聞くのが、動物の飼い主(所有主)の気が変わったり、話が通じなかったりする点です。
これが一番厄介で、昨日と今日で主張を180度変える飼い主も多く、Kさんも「引き渡す」約束にこぎつけた数匹のスタンダードプードルを急いで保護する必要がありました。
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しかし、Kさんの自宅は保護犬が複数いてキャパオーバー。ボランティア仲間に声をかけるも、どこもいっぱい。そこでKさんの頭に浮かんだのが、福岡のボランティアチーム「わんにゃんレスキュー・はぴねす(以下、はぴねす)」でした。
Kさんの思いを受けて福岡の保護チームが立ち上がる
保護団体の多くは「1匹でも多くの命を救いたい」として、常にキャパいっぱいに犬猫を保護していることが多く、突然の保護依頼には応じられないことも珍しくありません。Kさんが声をかけたはぴねすの拠点は福岡。数匹のスタンダードプードルを福岡から京都まで引きだしに来てくれるとも思えず、Kさんはこの時点では保護の相談ではなく、あくまでもこういった場面でのアドバイスを求めるつもりでした。
Kさんから「アドバイスが欲しい」と連絡を受けたはぴねすでしたが、Kさんの熱い思いに感銘。はぴねすのメンバーの2人は「なんとかキャパを確保し、2匹の保護に向かう」と手を挙げ、さらにはぴねすを介して、福岡エリアでさらに1匹の引き受け先も決まりました。
後日福岡から京都までクルマを走らせることにしましたが、糞尿まみれの3匹のボロボロのワンコを、残暑厳しい時期に京都から福岡まで連れて帰るのはあまりに過酷。一旦3匹の体を綺麗にしてから移動できるよう、京都での念入りな段取りも行いました。
約束の時間に訪れるも、なんとブリーダー主が不在…
保護の日、ブリーダーが数匹手放すことを聞きつけた保健所の職員も訪れましたが、約束の時間にブリーダーの姿はありません。電話をかけてもつながりません。飼い主がいない場面で勝手に保護するわけにもいかず、Kさんはしばし頭を抱えました。
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しばらくしてやっとブリーダーと連絡が取れましたが、「今、県外にワンコのワクチンを打ちに行っているので、帰りが遅くなる」「戻ったらKさんの家に引き渡すワンコを連れていきますよ」と一言。保護メンバーたちはグッと怒りを抑える一方、「その話は本当なのだろうか」と疑わしくも思いました。しかし、ここではまずブリーダーの話を信じるしかありません。ブリーダーが帰ってきて、Kさんの家に3匹を連れてきてくれることを待ち続けることにしました。
深夜になりブリーダーが連れてきたのはなんと8匹
待てど暮らせどKさんの家にブリーダーは来ませんでした。結果、日付が変わり「もう来ないだろう」と誰もが諦めかけた深夜2時、ブリーダーがKさんの家にワンコを連れてきました。すでに怒りを通り越し、まずは無事に3匹の命を救えることとなり、おおいに喜ぶ保護メンバーでした。しかし、さらに5匹のワンコを連れてきていました。「追加でこの子も渡すよ」と平然と語るブリーダーに、全員が言葉を失いました。
段取りも虚しく結果的に強烈な悪臭漂う中、数時間かけて福岡へ
突き返すわけにもいかず、そのまま8匹のワンコをはぴねすが全て保護することになりました。
当初予定していた「きれいにしてから福岡に帰る」というプランはブリーダーの遅刻のため実現できず、強烈な悪臭漂う8匹をそのままクルマに乗せ、かなり過酷な数時間をかけて福岡に戻りました。
ずさんすぎるブリーダーにはあきれるばかりですが、保護メンバーが労われた気持ちになったのは、保護した8匹のワンコたちが浮かべてくれた笑顔です。
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元々引受先が決まっていた3匹は預かりボランティアさんのところへ。そして追加となった5匹もなんとかはぴねすの関係者のところでお世話を受けながら、幸せな第二の犬生を目指すことになりました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)