住宅ローンも完済。驚異的な貯蓄ペースはなぜ達成できた?
自らの努力と工夫で数千万円の貯蓄を手にした方に、その極意を語っていただく「貯蓄の達人」企画。今回は、特別なことをしなくても43歳で4200万円貯めたjacky-cさんに登場してもらいます。
基本データ
jacky-cさん(仮名)男性/会社員/43歳
家族構成:妻(44歳・会社員)、子ども(7歳)
石川県/持ち家一戸建て
マネーデータ
jacky-cさんのマネーデータは図表のとおりです。現在の貯蓄ペースは年間426万円
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、40代の平均世帯年収は約700万円とのこと。手取りで530万円前後でしょうか。対して、jacky-cさん(以下、Jさん)の世帯年収が手取りで768万円(マネーデータ参照)。この数字は平均所得よりは十分に高いわけですが、だから貯蓄できて当たり前と結論づけるのは早計といえます。
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簡潔にいえば「ある程度の収入のある人が、貯蓄のセオリーを当たり前に実践した」となります。
無理のない、誰でもできる節約をきっちりやる
あらためて、Jさんの家計データを見ると、実は目立って節約している部分はありませんが、総じて抑えているという印象です。そして、そのための工夫も特別なものではありません。「通信費は格安SIM・スマホとインターネットはグループ割引・長期契約割引を活用。電気代は安い深夜電力の時間帯を利用して貯湯、炊飯、洗濯をしています。食費は日曜にスーパーで安くまとめ買いをしていますが、共働きということもあり、割高なお惣菜を買ってしまうことも……。これはある程度仕方ないと割り切り、自分たちでできること、例えば飲み物は買わず、お湯を沸かしてお茶を飲むといったことはしています」
もうひとつの工夫として、お金をかけず「自分でできることはする」という点もあげてくれました。簡素な家具はDIYで手作り。クルマの日頃のメンテナンスもできる範囲で行う。お子さんの散髪も自分でやるのだとか。
個々に見ていけば、ひとつの節約が月に数万円といった劇的な効果を生むわけではありません。しかし、まんべんなく、どれもできる範囲の無理のない節約を実践しているといえます。
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Jさんが家計管理しているエクセルデータ
ところが、Jさんの場合、まず住宅の定期的コストがほぼ固定資産税だけとなっています。2002年に物件価格3700万円の一戸建てを購入し、そのときの借入額は2800万円。そして、10年後に繰上返済で、住宅ローンは完済してしまいました。保険料も1万3500円。共済を中心に、必要最小額の保障を確保するだけとのこと。
カットできる固定支出は極力そうしている。結果的に貯蓄できる資金的余裕が生まれる。貯蓄の王道を当たり前に実践している、教科書のような家計管理の好例でしょう。
「富裕層」という壁を超えてみたい
貯蓄でもうひとつ大事なことは継続性です。そのためには普段の家計管理や収入の安定も重要な要素ですが、もうひとつ、モチベーションの維持が不可欠といえます。Jさんは独身時代からアパート暮らしにも関わらず、毎月13万円を貯蓄していたといいます。そのモチベーションは住宅購入。貯蓄の達成度合いをレベル分けし、その1段目は100万円。それをクリアしていくことで得られる達成感を、次を目指すモチベーションに変えていく。そして、住宅購入も終えた今は100段、すなわち1億円を目指しています。
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家族がいる以上、自分一人が貯蓄に向けて頑張っても空回りするもの……
ただし、家族がいる以上、自分一人が貯蓄に向けて頑張っても空回りしてしまいます。そこもケアしないと、なかなか効率的な貯蓄は実現しません。「私も妻とは家計や支出に対して意識や価値観のズレはあります。私より妻の方がお金に総じてルーズですから。ただし、協力はしてくれるので、何かあれば言葉で伝え、理解してもらうよう努力します。ただし、あまりしつこく言うと怒ります。そこは調整が必要ですが」
貯蓄は、収支の差で生まれます。毎月52万円に対して支出が27万円なら25万円が貯蓄になります。しかし、それだけ手取り収入があると、支出も40万円台後半になってしまうのが世の常、人間の弱いところです。それをきっちり、この生活費で十分という範囲に無理なく収めている、それがJさんの強みなのです。
Jさんならでは貯蓄技
「よくクレジットカードは現金に比べて使い過ぎるといいますが、予防策として、家計簿で毎月の使用額を把握しておけば、ポイントが付与されたときにすぐに無駄遣いがあったかどうかチェックできます。しかも、貯まったポイントを外食などに利用できるので一石二鳥です」なかなか貯蓄できない人へ、達人からのアドバイス
「貯蓄は少しでも長く継続することが大事だと思います。まずは、貯蓄の目標を立てます。あとは、ちりも積もれば山となる。最初はきついかもしれませんが、続けていくうちにそれも慣れますよ」取材・文:清水京武 図版:引間良基
(文:あるじゃん 編集部)