<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園40−17東海大大阪仰星>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場
令和の常勝軍団だ。桐蔭学園(神奈川)が、2年連続5度目の優勝を飾った。決勝で過去2戦2敗だった東海大大阪仰星(大阪第2)に、計6トライを浴びせて40−17で貫禄勝ち。SO丹羽雄丸(たける、3年)が2トライ5ゴールの20得点と大暴れして、優勝に貢献した。大会連覇は同校の19、20年度以来。これで桐蔭学園は、元号が「令和」になった直近6大会で4度の優勝となった。
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右足で蹴り出して試合を締めると、SO丹羽は跳ねて両手を突き上げた。「自分の代でとる優勝は(喜びの)格が違う」。前回はけがで観客席から優勝を見届けた。恋い焦がれた景色に「最高」と笑顔が弾けた。
王者の戦いぶりで栄冠をつかんだ。前半は12−0。丹羽は26−7の後半11分には抜け出してトライ、同21分にも相手をかわしてトライ。キックも6本中5本成功。実は大会前の練習試合で左手の指を骨折していたが、テーピングで固めて「影響ないです」。チーム40得点の半分にあたる20得点の大仕事だった。
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4人兄弟の末っ子。長男は元関学大ラガーマン、次男は元Jリーガー、三男は関大サッカー部とスポーツ一家に育った。サッカーで鍛えた両足キックに、2歳の時にボール投げで振りかぶって全力で投げようとする、負けん気も持ち合わせる。兄との朝練習では、サッカーボールとラグビーボールの両方を持ち込んだ。
自慢のキックを武器に、志願して進学した桐蔭学園ではけが続き。23年6月に眼底骨折、同11月には左前十字靱帯(じんたい)を損傷。「ラグビーボールを見たくない」。母佳美さん(52)への手紙も「活躍できなくてごめん」と後ろ向きな言葉を書きつづった。
離脱した時間を糧にした。広い視野を磨き、ボールの上で足を振る体幹の強化でキック精度も向上。佳美さんへの手紙にも「まだ諦めへんし、絶対花園で活躍するから」と書き送った。
「みんなに感謝です」。復帰直後の夏合宿では、焦る気持ちを「雄丸が走るのは今じゃない。花園だ」と福本コーチがなだめてくれた。親元を離れて神奈川に来た丹羽を、夜中に病院に連れて行ってくれた保護者らの支えもあった。集大成の花園で最高の恩返しを果たした。「完璧な試合ではない。味方に助けられた部分も多かった」と向上を目指す18歳は進学予定の同大でも楕円(だえん)球を追い続ける。【竹本穂乃加】
◆丹羽雄丸(にわ・たける)2006年(平18)10月1日、大阪市生まれ。小2の時に父の影響で生野ラグビースクールで競技を始め、東生野中から桐蔭学園に進学。4兄弟の四男で次男は昨季までサッカーJ3長野に所属。ポジションはSO。172センチ、73キロ。
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◆桐蔭学園 1964年(昭39)に男子校として創立。81年女子部設立。ラグビー部は64年創部、部員数は94人。花園は準優勝5度、優勝は5度目。主なOBに斉藤直人(トゥールーズ)、松島幸太朗(東京SG)。所在地は横浜市青葉区鉄町1614。
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