電車で眠るときは注意しないと取り返しがつかない事になりかねない。千葉県に住む60代女性(不動産経営)は、かつて電車で寝過ごし、しかも持ち物を盗まれかけた経験がある。
当時22歳だった女性は千葉に住んでおり、職場のある渋谷まで毎日2時間かけて通勤していた。「残業もあり終電は当たり前の時代」だったと回想する。(文:國井レン)
「オイオイなんだ!」興奮した男たちがセミヌード雑誌をめくっていた
広告の仕事をしていた女性は、金曜日の夜には仕事で使っている海外の雑誌などを持ち帰る必要があり、大きめの茶封筒に入れて車内の棚に置いていたそうだ。
座席に座りうつらうつらしていると、気づけば終点だった。「お嬢さん終点だよ」と声をかけられ、慌てながら棚上に置いていた荷物を取ろうとしたら、なんと無くなっていた。
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手に持っていた貴重品とカメラは無事だったが、盗まれたのはただの雑誌ではなく仕事で使う資料だ。「やられたぁと思った」のも無理もない。手持ち金はわずかだったがタクシー乗り場に向かうと…
「男性二人がなにやら雑誌を見て興奮しながら『オイオイなんだ!』とページをめくっていました。その雑誌こそ棚から取られた雑誌です」
実は、この雑誌は「日本では発売されていないセミヌードの写真雑誌」だった。広告に使うモデルのポーズの資料だったが、この男2人は何の目的で盗んだのだろうか。女性は、夢中になっている男たちに声をかけた。
「棚から取った雑誌ですよね? 裏に私の会社のハンコが押してありますよ。返して下さい」
寝過ごした上に置き引きに遭ったショックで焦っていたため、反撃される恐怖などは全く感じず、「半分無理やりに引っ張り手元に引き寄せました」と当時を回想する。
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「一瞬びっくりした男性らは紙袋を持ったままタクシーに乗ろうとしました。しかしタクシーは一台。それがなくなれば次のタクシーの保証はありません。『置き引きした上にタクシーで逃げるんですか?』と強めに言うと紙袋を返され、タクシーのドアへどうぞの仕草になりました」
タクシーで帰宅、お金を家に取りに行こうとしたら「カメラを座席に置いてって」
なんとかタクシーに乗れた女性。ドライバーも不穏な気配を察知したのか、すぐにドアを閉めて行き先も聞かず発車した。ロータリーを出た所で行き先を言うと「寝過ごしたね〜」と笑いながら「1時間かかるけどお金大丈夫?」と聞いてきたため、親がいる旨を伝えた。
1時間後、タクシーは無事に家の前に到着。時刻は午前2時を回っていた。お金が足りないので、家からお金を持ってこなければならない。ドライバーは
「その持っているカメラを座席に置いてって。五分待つから不足分持ってきて。不足分がないとかだったらそのカメラは代金代わりだよ」
と女性に言い放った。同居していた親は娘の午前2時の帰宅にびっくりしつつ、慌ててお金を引き出しの中から出してきたという。きちんと料金を払えたため、カメラは無事だったようだ。
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「無事に帰宅はできたものの眠れない夜明けを迎えました。携帯が無い、電話も呼び出し電話だった46年前の話です。今電車に乗る時は携帯に駅に着く数分前にアラームをかけ、スイカには万一の多めのチャージ、棚には貴重品は乗せない。帰りの荷物は貴重品以外は行き先から全て宅急便で配送をしています」
この事件を教訓に、今では寝過ごしに備えて万全を期している女性。「深夜バスも走るようになり便利になりましたが気の緩みは後からのトラブルがあると肝に銘じています」と結んだ。
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