「フェイクニュース」とは嘘の記事や情報のことを指し、主にメディア・ブログ・SNSなどで見られます。最近では個人でも、現実と見間違えるほどの「フェイクニュース」が投稿できる時代になりました。
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Aさんは30代の会社員です。最近、重要なプレゼンテーションで失敗し、上司から厳しい叱責を受けたことで精神的に追い詰められていました。その夜、家に帰ったAさんは何か気分転換になることをしたいと思い、最近話題の画像生成AIを使ってみることにしました。
AIを使ってさまざまな画像を作成していくうちに、Aさんは思いつきで「幽霊が写った」という設定の画像を作ることにしました。驚くほどリアルな画像が出来上がり、Aさんは軽い気持ちでSNSに「古い洋館で撮影していたら、幽霊が写り込んでしまった!」というコメントと共に投稿します。
後日、Aさんはこの投稿を友人に報告します。すると友人から、フェイクニュースを投稿すると罰せられるかもしれないと忠告を受けました。それを聞いたAさんは、すぐに投稿を削除しました。幸いAさんの投稿は拡散されることは無く、問題に発展することは無かったものの、軽はずみな行動をとってしまったことをAさんはひどく後悔するのでした。
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では実際に「フェイクニュース」がきっかけで事態が大きくなってしまい、罪に問われるケースはあるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに伺いました。
ー「フェイクニュース」がきっかけで逮捕されることはあるのでしょうか
実際に「フェイクニュース」がきっかけで、逮捕に至ったケースがあります。2016年7月20日に、熊本県警が「動物園からライオンが逃げた」と嘘の投稿をした男を逮捕しています。
男の投稿は、熊本地震の影響で動物園前からライオンが逃げ出したと誤解させる内容となっていました。投稿を見た人たちが動物園に問い合わせをしたことから、業務が滞ってしまったのです。その結果、偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。
ーもし「フェイクニュース」を投稿してしまったらどうしたらいいのでしょうか
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この男も「悪ふざけでやった」と供述していたようで、軽い気持ちで投稿してしまいがちです。それでも事態が大きくなれば、刑事責任と民事責任の両方を追求される可能性があります。
事態が大きくなる前であれば、すぐに「フェイクニュース」であることを示したほうがいいでしょう。万が一事態が大きくなってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
いずれにしても、その時の感情のままに投稿するのは避けた方がいいでしょう。自身の投稿が誰かを傷つけたり、迷惑をかけてしまわないか読み返したうえで投稿してください。
◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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