どれだけ気をつけていても、人間誰しも体調を崩してしまうときはあるものです。しかし、体調管理が甘すぎる人のせいで迷惑をかけられたとしたら……?
せっかくの年末年始が「夫の自業自得」な行動のせいで台無しになってしまったことがあるという女性から話を聞きました。
◆居酒屋を家族経営する夫婦。夫が趣味のライブ観戦でインフルに
真下容子さん(仮名・36歳/主婦)は、夫の泰司さん(仮名・42歳/自営業)と2人で居酒屋を切り盛りしています。もともとは泰司さんの父親が寿司屋を営んでいたのを、代替わりとともに創作居酒屋へリニューアルしたそうです。
地元では子連れで飲みに行ける店としても知られ、容子さんのママ友仲間がグループで飲みに来ることもあるなど、地域密着型のお店として盛況だとか。
「最初は義理の両親も店を手伝ってくれていたのですが、もう80代と高齢のため、今は夫婦2人きりで料理から接客まで回しています。
オフィス街に近いのでランチ利用も多く、昼夜とも営業。ピークタイムや繁忙期には人手もほしくなりますが、なんとか2人で頑張れる範囲かなと、バイトはいません。
お互いだけが頼りですから、体調管理にはいつも気をつけているつもりでした」
しかし夫の泰司さんは、「料理人は体力仕事だから」と、自身の免疫を過信している節があったと言います。
「夫は音楽が大好き。音楽仲間もいて、店が休みの日曜日には連れ立ってライブ鑑賞に出かけていきます。
とある年末も差し迫った休日のこと。夫はトレーナーに薄手のアウターだけで野外ライブに参戦してしまったようでした。そんな舐めきった軽装のまま、長時間暴れまわったみたいで……。
汗で濡れた体は冷えてしまうのに、重ね着するものも持っていなかったようです。凍えながら帰ってくると案の定、風邪をひいてしまいました」
◆子どももインフル発症。看病でうつってしまい寝正月
怒り、呆れる容子さん。その後、高熱が出たからと検査を受けると、ただの風邪ではなくインフルエンザに罹っていたことが判明します。
店は容子さんのワンオペとなり、営業時間もランチに絞って乗り切ることに。家庭内でも泰司さんを隔離し、家族に感染が広がらないように努めていました。
「手洗いやうがい、マスクなどで対策を徹底して生活していたのですが、息子(当時6歳)にも高い熱が出てしまいました。息子は喘息持ちのためか、どうしても風邪などをひきやすい体質のようで。
かかりつけの大きな病院で息子を診てもらって一安心した束の間、今度は私も発熱。
しかし病院の休診期間に突入してしまいました。タクシーで遠い病院に行くことも考えたのですが、そんな体力はもう残っていませんでした」
◆飲食業の貴重な休みが実質ゼロに
小さな子どもを看病するうちに、親まで病気になってしまうのは“育児あるある”です。
とはいえ、容子さんのお店は年末年始も食べにくる地元客のために、休みは12月31日から1月3日までの4日間のみ。その心境は穏やかではありません。
「客商売にとってはとりわけ貴重な連休なのに、自分がダウンしてしまったのでどこに行くこともできず、豪華な食事を食べることすらも叶わずじまいでした。
通院も結局あきらめ、代わりに医師に家へ来てもらえる往診サービスを頼みました。もちろん年末なので通常にも増してバカ高い診察代でしたが……。
カウントダウンから元旦にいたっては高熱で寝込んでおり、記憶すらありません。その後は薬が効いて熱も下がったものの、解熱後2日間は家から出ないようにと言われていたので、スマホアプリで漫画を読むくらいしかできませんでした。
文字通りの寝正月で休みが終わってしまったのです」
◆懐にも心にも体にも大ダメージ
家族の看病に追われるばかりか、書き入れ時に夜の営業を中止し、しまいには自分まで感染と、踏んだり蹴ったりの年末年始を過ごすはめになった容子さん。このことを戒めとして、感染予防にさらに力を入れるようになったと言います。
「夫にも、人混みに出かけるときにはマスクをするよう口を酸っぱくして言っています。もちろん家に帰ってからの手洗い・うがいも徹底させていますし、今年は家族総出でインフルエンザの予防接種も打ちました。
普段からの体調管理が物を言うのだと、あらためて身に沁みています」
なにかとイベントごとが多い年末年始。ちょっとした気のゆるみや疲れでも、積み重なると体調を崩す原因になってしまうかも。
寒い季節はまだまだ続きます。皆さんも体調にはくれぐれもお気を付けください!
<取材・文/池守りぜね>