【動画】改めて見るとこだわりがすごい! 『モアナと伝説の海2』本予告
■チャンスをつかむためカナダへ
スタジオジブリ作品が好きで、アニメーション業界に興味を持ったという園田。武蔵野美術大学に通い、さまざまな映像表現を勉強する中で、3DCGのクラスを受け、将来の道筋が見えたという。
「1コマだけ3DCGのクラスがあって、シンプルな丸や四角い箱が動いているだけで、ストーリーが伝わることにとても感動したんです。 アニメーションだけで物語表現ができることに感銘を受け、自分で3Dの勉強をしながらアニメーターを目指しました。ほぼほぼ独学で、当時はアニメーターの方が行っていたワークショップなどに参加したりもしました」と夢の始まりを語る。
それから大学卒業間近に、海外で働くアニメーターによる日本での講演会に参加し、夢がより具体的になっていったそう。「講演会でデモリール(自分で手掛けた映像作品をダイジェスト風に編集した映像)を見ていただいたら、当時バンクーバーに映像業界がたくさん進出していた時期だったので、『バンクーバーのジュニアと同じようなレベルだし、これからアニメーター不足になるだろうからチャンスがあるんじゃないか』というお話をいただきました。まだ経験がなかったのですが、チャンスがあるなら行ってみようということでバンクーバーへ来たのが最初です」と話す。
一念発起して訪れたバンクーバーで最初に見た映画が『モアナと伝説の海』だったそう。その後『スパイダーマン:スパイダーバース』などに携わりつつ、今から約1年半前にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで働くことになった。
|
|
そんな園田は、『モアナと伝説の海2』で、全キャラクターのアニメーションを担当しつつ、モアナが走ったりアクションをしたりという「かっこいいシーン」を主に担当。本作のヘッド・オブ・アニメーションを務めたエイミー・ローソン・スミードによると、アニメーターにもそれぞれ得意分野があり、アクションシーンが得意な人もいれば、泣くシーンが得意な人もいるため、手掛けるシーンは、なんとなくの振り分けが行われているという。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの本部がある米ロサンゼルスと、園田が働くカナダのバンクーバーは時差がないため、仕事も円滑に進むそう。「1日に1回は必ずデイリーと呼ばれる監督さんにショットを見せる機会があるんです。そこで監督さんと話し合ったり、LAで働くアニメーターさんとはチャットでやり取りをしています」と仕事の裏側を明かす。
前作から3年が経った本作でモアナは19歳に成長。こだわりのポイントを聞いてみると「前作でもかっこいいアクションシーンがあったのですが、今回成長してヒーローのような動きができるようになったので、女性のアスリートの方の動きやかっこいいポーズを参考にしました。わたしはあまり運動神経が良くないので、自分でリファレンスを撮るとあまりかっこよくならないんです」と笑う。
そんな園田のこだわりが詰まったシーンの1つが、冒頭のモアナの登場シーン。モアナが岩を乗り越えて、オールを地面につけながら着地し、ジャンプして岩を渡っていく2つのショットを手掛けた。1つのショットを手掛けるだけで、約2週間ほどかかるのだという。実に緻密な作業だ。
|
|
さらに『モアナと伝説の海2』を楽しむべく、アニメーターならではの注目ポイントも聞いてみた。「わたしはVFXに携わってきたバックグラウンドがあるのですが、本作には2D出身の方やカートゥニーな作品に携わってきた方もたくさん参加しています。それぞれの強みや個性が各ショットに込められているので、すごく個性豊かで魅力的です。そういう点を楽しんでいただけたらうれしいです」と語る。加えて「モアナがおばあちゃんから教わった、いくつになっても挑戦するという精神は、わたしたちが映画を作っている中でも気にかけている部分なので、そんなテーマも感じ取りつつ、笑って楽しんでいただけると幸いです」と話す。
「自分が何者か」に気付いた前作から3年が経ち、新たな迷いと葛藤を抱えて、再び冒険に挑むモアナを描く『モアナと伝説の海2』。作品からはもちろん、それを手掛けたアニメーターの園田からも、夢と未来を追う勇気をもらえた気がした。モアナとウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの精神は、2025年が始まった今、新たなスタートを切るための背中を押してくれるかもしれない。
映画『モアナと伝説の海2』は全国公開中。