日本の大手企業のトップらが集まった新年恒例の賀詞交歓会。2025年、賃金は上がるのか、そして経済はどうなるのか。それぞれの“展望”を聞きました。
日本の大手企業トップに聞く2025年の“賃上げ”日本を代表する3つの経済団体が開いた新年会。
23ジャーナリスト 片山薫 記者
「日本経済はどうなるのか。そして、気になる賃金は去年以上の賃上げとなるのか。企業トップに聞いていきます」
サントリーの新浪氏が手にしたのは「去年以上」と「前向き」。
サントリー 新浪剛史 社長
「前向きなんですよ。去年は(7%賃上げ)まずやるということ。ただ“以上”にするかは組合との交渉。まず『前向き』と言っておいて、組合を通ってどうなるか」
他のトップは…
DeNA 南場智子 会長
「前向きです。一律の賃上げというよりは、張り切った人が報われる社会にしていきたい」
三井住友銀行 福留朗裕 頭取
「当然、前向きに考えていきたい。長い目で見ると、人材の確保・育成に四苦八苦する時代が目の前に迫っているので」
日本航空 鳥取三津子 社長
「物価も上がっていますし、日本経済も回さないといけない」
賃上げに前向きな発言が相次ぐ一方で、2週間後に就任するトランプ次期大統領には懸念の声も…
日本マクドナルドHD 日色保 社長
「今年はとにかく米国の新政権、それに伴う政策。中国や他の経済にどう影響を与えるか ここが一番の不確実要素」
三井不動産 植田俊 社長
「正直言って『読めない』のが偽らざる言い方」
終了後の記者会見で団体トップは、改めて賃上げに意欲を示しました。
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経団連 十倉雅和 会長
「成長と分配の好循環、重要なパーツである賃金の引き上げ。今年もしっかりと取り組んでいきたい」
経済同友会 新浪剛史 代表幹事
「(今年の)キーワードですが、賃上げを社会のノーム化(規範化)する」
経済界から上がる賃上げの声。ただ、街からは…
会社員(40代)
「まだ届いていない、こっちにはそういう声が。中小企業なので、そこはかなり厳しい」
主婦(50代)
「厳しいですよね。大きな企業は賃上げのニュースを聞くが、中小は現実難しいんじゃないかな」
年は変われど、厳しい“お財布事情”は変わりません。
主婦(50代)
「夫の給料が安い。全然足りないんですね、大変です。洋服とかほとんど買ってない」
会社員(30代)
「自分のご褒美で鞄を買おうかなと何年か前から思っていたやつが、ここ数年で値上がりして、『どうしよっかな…』ってさらに買うのを躊躇している」
アルバイト(20代)
「最低賃金で働いているので、他の物が高くなっている分、自分たちも(給料を)上げてほしい」
アメリカ在住(20代)
「アメリカも最低賃金が上がっているので、日本ももうちょっと頑張ってほしい」
長引く円安の影響も続いています。
会社員(40代)
「うちの会社が円安になればなるほど利益がなくなっちゃうので、海外で物を作っているのですごく厳しい」
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50代
「円安で海外旅行に行くのもはばかられる。もうちょっと我慢しておいたほうがいいかな」
新年会を楽しむ人も気がかりなのは“物価高”です。
会社員(40代)
「野菜が高いなと思う。キャベツが今まで100円・150円くらいで買えていたのが、1玉で500円とかだと買うの躊躇するかな」
介護職(20代)
「物価高があって、それでも給料はあまり変わっていないのが現状」
それでも、店主は2025年の景気に期待を滲ませます。
エビスコ酒場店長 KUDOさん
「僕らお客さんのためにやっているので、お客さんの給料が増えるのが一番大事。店も忙しくなるので、経済がよくなるのが一番」
小川彩佳キャスター:
大企業の経営者の方々からは賃上げの意欲を明るく示すような声が相次ぎましたね。
小説家 真山仁さん:
ただ、2024年から好転した材料は何もないんですよ。「根拠のない前向き」ですね。「前向き」という言葉をこれだけ強調しなきゃいけないということに注目した方がいいですね。つまり「大変」ということだと思う。
賃金を上げるのは2024年の約束ですから、しょうがない。だから本当は地に足ついた「どう前向きなのか」ということを言ってほしいですよね。
小川キャスター:
街からはかなり切実な声が相次ぎました。てぃ先生は現役の保育士でもあいますが、現場ではどんな声が聞かれますか?
保育士 てぃ先生:
特に保育の現場では、「ちょうど10%ぐらい上がるんじゃないか」みたいな話も出ていますから、賃金が上がるということに対しての肯定感はすごくあるかなと思いますし、みんな喜んでいます。
ただ、政府が誤解していそうなのが、賃金を上げれば保育の現場に人が集まったり、人が辞めにくくなるんじゃないかというところ。
そこは僕は全くそうじゃないと思っています。多分、賃金を上げたところで人が辞めにくくなるというのは効果としてほぼないと思います。
そもそも、保育士の人たちは給料が安いことがわかっていてこの業界に飛び込んでいます。それでもやめるというのは、入ってからのギャップがあまりにも大きすぎる。
そのギャップが何かというと、やはり業務負担の部分だと思うんです。(賃金が)低い上に(業務が)大変というところ。
だから、給料を上げるだけではなく、業務負担のところも合わせて下げていかないと、政府が見込んでいるような人離れや集客などには繋がらないんじゃないかなと思います。
そこの現場感というのが、経営者や国も意識としてちょっと低いのかなと思ってしまいます。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「疑う力」
てぃ先生
保育士16年目の37歳 育児アドバイザー
SNSの総フォロワー数200万人超