昨年末、「パーカーおじさん」というワードがSNSを中心に盛り上がったのは記憶に新しいところ。決して肯定するわけではありませんが、年齢とともに似合う服が変わっていくのは必然。たとえ定番アイテムを身につけていたとしても、違和感がないとは限りません。時代によって流行・定番アイテムが変化するうえ、加齢とともに外見に変化も現れてくるのが主な理由です。
ファッションに興味がない方の場合、ひと昔前に購入した服をずっと愛用し続けているかもしれません。ただ、当時ならまだしも、今現在の姿に似合っているかどうか、果たして……。そんな事態を避けるため、今回は、「40歳以上の中年男性が注意すべきアイテム」について、『男の服選びがわかる本』(池田書店)の著者がポイントを解説します。
◆「インディゴのスキニージーンズ」を避けるべき理由
令和におけるインディゴデニムの定番といえば、ワイドなフォルムが主流。だからこそ、00年代から10年代にかけて流行したスキニージーンズには注意が必要。人によってはタイムスリップしてきたような雰囲気を醸し出してしまいそうです。
とはいえ、20代に人気のダボっとしたジーンズは、加齢とともに「顔や毛量が変化してきた」40代が身につけるにはだらしなく見えるリスクがあるのです。「髪色や髪型が制限される一般会社員」が真似するには、敷居が高いのではないかと思います。
加えてインディゴ系ジーンズは色落ちの印象が清潔感に直結するとは言えませんので、最近では「色落ちがないイージースラックス」をおすすめしています。色落ちしないため、クリーンな印象を保ちやすいですし、何よりジャストシルエットであっても、デニムとはちがい時代錯誤の印象もありません。
「ジーンズは定番アイテムだからOK」というのは今は昔。パーカー同様、カジュアル味が強いアイテムは、「年齢とともに難易度が上がっていく」ことを頭の隅に留めておいてください。
◆なぜイケてない? 縦型ボディーバッグ
00〜10年代によく見かけたボディーバッグも、デザイン次第では、だいぶキツい印象です。ミニショルダーやサコッシュが流行っていることもあって、ボディーバッグを斜め掛けする着こなし自体は問題ないのですが、どうも縦型ボディーバッグは野暮ったく見えてしまいます。
とくに一部パーツがブラウン系レザーで切り返されたものや、ファスナー付近に赤や青のアクセントが付いているものは避けたほうが賢明です。では、どんなボディーバッグならば、違和感を拭えるのでしょうか?
私は、基本的に「1色使いのボディーバッグ」を推奨しています。そしてウエストバッグのように横型デザインを斜め掛けがスタイリッシュに見えるでしょう。人の印象は、パブリックイメージの影響を受けるものです。そして縦型ボディーバッグのパブリックイメージは、「服に無頓着な男性が00〜10年代に付けていた」印象が色濃く残っています。
◆“着る人の雰囲気”に左右されるダッフルコート
ボタンやファスナーの代わりに「トグル」と呼ばれる木片で留めるダッフルコートは、かわいらしい印象ですが、人によっては危険な状況に陥ります。初々しさの残るフレッシュな10〜20代は似合う男性も多いのですが、加齢とともに、雰囲気が合致しなくなってしまう場合も少なくありません。
私は46歳になりますが、年齢と共に似合いやすいアイテムと、そうではないアイテムの差が極端になってきたよう感じています。とくにカジュアルアイテムほど、質感にこだわりましょう。ダッフルコートも、上質な質感のものならば、高級感が際立ち違和感を拭える可能性もあるのです。
面倒かもしれませんが、年齢に合った「アイテムの選び方」や「着こなしの工夫」を意識することを心がけましょう。そうすれば、「○○おじさん」と陰で揶揄される状況を回避できるはずです。
<TEXT/森井良行>
【森井良行】
“あなたのお抱えスタイリスト”として、その違和感を言葉で可視化する。著書『38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)など5冊。MENSA会員。公式サイト「エレカジ」では、80件を超えるコーディネート事例を公開。