ロングスローの名手として会場を沸かせた東海大相模DF佐藤碧は負傷交代で大会を去ることになった。
11日に行われた第103回全国高校サッカー選手権大会・準決勝の流通経済大柏(千葉)戦で、先発出場した東海大相模DF佐藤だが、前半15分にアクシデントが発生。球際の攻防で相手選手と接触し、膝を負傷してしまった。
「アドレナリンも出ていたので、(ピッチに戻って)プレーもできていましたけど、ステップを踏んだときに膝が逆に曲がってしまって…」
一度はプレー続行。テーピングをしてからもう一度気迫でピッチに戻ったが、前半30分に無念の負傷交代を余儀なくされた。残りの時間はベンチから仲間の奮闘を見守るしかなかった。
「ここまで来たら仲間を信じるしかないので、しっかり信じてベンチで見守っていました」
しかし、佐藤の願いは叶わなかった。試合後、東海大相模の有馬信二監督も「佐藤の負傷交代は痛かった」と語っていたが、大きな武器を失ったチームは流通経済大柏に0−1で敗戦。初出場で健闘したものの、ベスト4で敗退となった。
無念の負傷交代という形で大会を去ることになった佐藤は、試合後、痛々しく足を引きずった姿でミックスゾーンを通過した。ただ、「こういった大きな舞台で、みんなが応援してくれる中で、最後まで戦えなかったのはとても悔しいです」と語りながらも、「ここまで来れたのはみんなで頑張ってきた結果なので、誇らしく胸を張って帰りたいと思います」と、悔しさの中に充実感ものぞかせた。
選手権初出場ながらいきなりベスト4へ躍進できた要因として、佐藤は「怖いものがなかったし、失うものもなかったので、相手は強豪校ばかりですけど、それに恐れず、一戦一戦全力で取り組めたので、それが結果につながったと思います」と分析する。そして、初めての選手権を経験した後輩たちに向けて、「こんな大きい舞台は滅多にないので、この経験を次の試合や新チームの練習に活かして、浮かれないようにして、しっかりこの大きな舞台に戻ってきてほしいと思います」とエールを送っていた。
高校卒業後は大阪体育大学に進学するという佐藤。今後の大学サッカーでの活躍も期待される。