東京女子医科大学の元理事長の女がきょう、逮捕されました。捜査や大学の調査から浮かび上がってきたのは、容疑者の「独裁的」「一強体制」といった一面。その実態とは。
【写真を見る】「大変独裁的」告発者 東京女子医大元理事長・岩本絹子容疑者(78)背任容疑で逮捕 「一強体制」きっかけは2014年医療事故か
東京女子医科大 岩本絹子 元理事長(去年4月)
「新入生の皆さんも『至誠と愛』を深く理解し、日々の勉学や学生生活を励み、謙虚な心と感謝の気持ちを持ち続けてください」
東京女子医科大の岩本絹子元理事長(78)。去年4月、大学の入学式で「謙虚な心を持ち続けて」と話した9か月後のきょう。
記者
「東京女子医大の元理事長・岩本絹子容疑者を乗せた車が警視庁本部に到着しました」
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背任の疑いで逮捕されました。
岩本容疑者は新校舎の建設工事をめぐり、一級建築士の男性(68)がコンサルティング業務を行っていないにもかかわらず、報酬としておよそ1億2000万円を支払い、大学側に損害を与えた疑いがもたれています。
警視庁によりますと、支払われていた報酬の一部が岩本容疑者に還流していたということです。
岩本容疑者はどんな人物なのか。2014年から2019年に大学の副理事長、その後は去年8月まで理事長を務めていましたが、告発状を提出した大学関係者はこう話します。
告発状を提出した大学関係者
「大変、独裁的である。独裁的であると思います」
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大学の運営は、岩本容疑者による「独裁体制」、きっかけはある“医療事故”だったと振り返ります。
告発状を提出した大学関係者
「(2014年に)プロポフォールの過量投与によって、小児がまた亡くなってしまった。(この直後)副理事長になられ、ご自身で経営統括部というものを設立されて、いろんな権力というか、ものであったり人事であったりとか、そういったものを自分たちが監視するという機構を作られた」
2014年に東京女子医大に入院していた当時2歳の男の子が麻酔薬「プロポフォール」を大量投与されて死亡。この事件をきっかけに大学は厳しい経営状況に置かれ、当時、副理事長の岩本容疑者が人事や経理などの管理を行う「経営統括部」を設立、2019年に大学の理事長にも就任し、「一強体制」が確立されたといいます。
告発状を提出した大学関係者
「岩本先生が『これをやるんだ』と言ったことに対しては、おそらくノーと言えないんだなと」
これは告発された直後の臨時総会の音声です。岩本容疑者は関与を否定しています。
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岩本絹子 容疑者(おととし4月)
「大学と至誠会(同窓会組織)に対し、何か損害を与えるというようなことは、100%、200%あり得ません」
こうした中、去年3月。警視庁が大学本部などの家宅捜索に踏み切り、これを受け、大学では第三者委員会が立ち上がりました。
第三者委員会(去年8月)
「理事会の構成員は岩本一強体制に取り込まれ、理事会と監事のガバナンス機能は封殺された」
第三者委員会の調査結果で、数々の疑惑が明らかに。
▼支払った寄付金の額に応じて推薦入試の受験生の結果を左右させた
▼勤務実態がない職員に給与が支払われていた
▼自身の報酬を増額していた
こうした疑惑が厳しく指摘され、岩本容疑者は直後に解任されました。
そして、きょう、元理事長の逮捕を受けて、謝罪した大学側は。
東京女子医科大 清水治 理事長
「根本的な原因としては、元理事長の資質や経営手法の問題が挙げられるかと思います」
また、ある捜査幹部は。
捜査幹部
「権力を持つのは悪ではない。権限は正しく組織のために行使しなければならない。岩本容疑者は、この道を大きく踏み外した」
警視庁は、岩本容疑者の認否を明らかにしていません。