【ラグビー】帝京大・青木恵斗「お前らのために絶対勝ったる!」“アオキング”から本物の主将に

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2025年01月13日 20:28  日刊スポーツ

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早大対帝京大 優勝しチームメートに胴上げされる帝京大の青木(撮影・江口和貴)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大33−15早大>◇13日◇決勝◇東京・秩父宮ラグビー場◇観衆1万9035人



帝京大(関東対抗戦2位)が4連覇を果たした。5大会ぶり頂点を狙った早大(同1位)を33−15で破り、明大に並ぶ歴代2位の13度目優勝を飾った。他大学がなしえていないV4を2度達成。09年度の初優勝から16年で古豪に並んだ。


11月の関東対抗戦で初黒星を喫したライバルに、最高の舞台でリベンジ。チームをまとめた青木恵斗(4年=桐蔭学園)は桐蔭学園2、3年時とあわせて“個人6連覇”を達成。負け知らずの主将がチームに息を吹き込み、連覇をつないだ。


   ◇   ◇   ◇


帝京大の青木が6度目の頂点にたどり着いた。ノーサイドの笛を聞き、両腕を掲げた。左膝をつき、目元をぬぐう。仲間と抱き合い、苦しい1年を振り返る。「このチームで日本一になる自信があった」。本物の主将になれた瞬間だった。


全国高校大会を2度制し、大学でも4年連続で決勝に先発し優勝。「ラグビーで負けた回数の方が少ない」。常に頂点に立ち続けた。ゆえに自信家で、感情のままに動く性格。ついたあだ名は“アオキング”。主将ではなく王様だった。


「なんでできないんだよ!」。昨年8月、夏合宿での早大戦。前半から失点を重ねた。円陣を組むと“爆発”し、仲間に文句をぶつけた。0−24で迎えたハーフタイム。仲間に声をかけるべき場面で、副将のロック本橋拓に「お前がしゃべってくれ」。感情を抑えられず仕事を放棄。チームは傾き、14−38で敗れた。


対抗戦が折り返しを迎えた10月。同期から酒を片手に本音をぶつけられた。日頃の振る舞いに、仲間が不満を感じていた。信頼を失ったと知った。チームを束ねるために行動を変えた。試合前にはベンチを外れた選手に「お前らのために絶対勝ったる!」。1つになった。本橋から「頼もしい。本当のキャプテンになった」と信用を勝ち得た。


この日は14点リードから2トライを奪われた。円陣で「引きずらずに思い切りラグビーをしよう」と呼びかけた。スタンドの仲間を手であおり応援を要求。「全員のパワーがもらえた瞬間だった」。チームをまとめ勝利をつかんだ。27年W杯を目指す日本代表候補が、大学ラストマッチで集大成を示した。【飯岡大暉】

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