札幌の繁華街・ススキノのホテルで会社員男性(当時62歳)を殺害して遺体を切断したとして、田村瑠奈被告(30)ら親子3人が殺人などの罪に問われた事件で、殺人ほう助罪などで起訴された父で精神科医の修被告(61)の裁判員裁判が14日、札幌地裁で始まる。既に母浩子被告(62)=死体遺棄ほう助罪などで起訴=の公判で証人として尋問に答えてきた修被告は、自身の裁判で何を語るのか。
「地獄は死んでから行くところではなくて、目の前にあるんだね」。修被告と浩子被告は最愛の娘が自宅に頭部を持ち帰ってきた後、そう話し合ったという。
だが、両親は逮捕されるまでの約3週間、警察に通報しなかった。そんな一家を検察側は「娘ファーストの親子関係」と指摘した。両親が瑠奈被告のわがままを叱らず、何でも応じてきたためだという。
両親は「何でも言うとおりにしたわけではない」と反論。ただ、10年以上ひきこもりの状態で自殺未遂を繰り返す瑠奈被告の「生きる理由」のために、趣味の買い物などの希望は可能な範囲でかなえたという。そうして「『非常に特異』と評価される親子関係になってしまった」と弁護側は主張する。
その「特異さ」は、事件後の両親の判断にも垣間見えた。修被告は「一日も早く逮捕に来てほしい」と願いながらも、「親として通報だけはできない」と思っていたという。
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検察側の「娘が持ち帰った頭部が自宅にある状況で、なぜ通報しなかったのか」との追及に対し、修被告は「非常に奇異に思われるかもしれないが、身内に裏切られる思いはさせたくなかった」と涙交じりに答えた。
新たに始まる公判で、修被告側は無罪を主張する方針。事件直前にノコギリなどを購入して瑠奈被告に提供していたとされる修被告が、計画を知りながら手を貸したかどうかが主な争点となる。【後藤佳怜】
田村修被告の主な公判予定
1月14日 冒頭陳述
15、21、22日 証拠調べ
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29、30日 証人尋問
2月4、5日 被告人質問
18日 被害者の意見陳述、論告求刑、最終弁論
3月12日 判決
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