2025年MLB日本人プレーヤー
注目ポイント10(前編)
大谷翔平に始まり、大谷翔平で終わった2024年シーズンのメジャーリーグ。2025年も「SHOHEI」の一挙手一投足がニュースとなるのは間違いないだろう。
近年のメジャーリーグにおける日本人プレーヤーの活躍は目覚ましい。シーズンが始まると、常に誰かのプレーが日本のスポーツメディアを彩ってくれる。開幕まで残り2カ月強、2025年シーズンの気になる注目ポイントをまとめてみた。
(1)大谷翔平の二刀流・第二章。投手としてトップギアは秋?
ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、スポーツ報知が行なった北海道日本ハムファイターズの栗山英樹CBOとの対談で、大谷翔平の投手復帰について「5月までは投げさせないつもりです」と語った。
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ドジャースとしては、かつての投球を徐々に取り戻してもらい、ポストシーズンで100パーセントに達すればOK──と考えているのかもしれない。ともあれ、MVPとサイ・ヤング賞の同時受賞は、実現するにしても2026年以降になりそうだ。
大谷と同じく2度目のトミー・ジョン手術を受けて2024年に復帰したウォーカー・ビューラー(当時ドジャース/現ボストン・レッドソックス)は、レギュラーシーズン計75.1イニングで防御率5.38、ポストシーズン計15.0イニングで防御率3.60だった。サンプル数は少ないものの、ポストシーズンの3イニング目以降は13イニング続けて得点を許さなかった。
昨年のビューラーがそうだったように、2025年の大谷はワールドシリーズ優勝決定の瞬間をマウンドで迎える可能性もある。
なお、ワールドシリーズ連覇は1998年〜2000年に3連覇したニューヨーク・ヤンキースを最後に途絶えている。ドジャースの連覇はブルックリン時代を含め、まだ一度もない。
(2)鈴木誠也はライトに戻れるか。今季中のトレードも?
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昨年の8月半ば以降、シカゴ・カブスの鈴木誠也はライトではなく、DHとして起用された。今年もその可能性は高い。今オフのトレードでコディ・ベリンジャーはニューヨーク・ヤンキースに移籍したが、新たにヒューストン・アストロズからカイル・タッカーが加わったからだ。
レフトのイアン・ハップも、ライトのタッカーも、好守の外野手だ。ふたりともゴールドグラブを受賞したことがある。鈴木がライトに戻るのは、彼らのどちらかがケガに見舞われ、離脱した場合くらいだろう。
鈴木は今シーズン、5年8500万ドルの契約4年目。カブスがシーズン序盤から低迷し、夏までにポストシーズン進出の可能性が薄れれば、トレードで移籍することもあり得る。
(3)吉田正尚がレッドソックスから移籍する可能性は?
過去2年に1000打席以上だった115人中、ボストン・レッドソックスの吉田正尚の打率は17位の.285。しかし、四球率は99位の6.1%と低く、出塁率も40位の.343にとどまっている。また、ホームラン率を測る36.60打数/本塁打(25本)は99位、パワーを示すISO(長打率−打率)は92位の.148だった。
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DHとしてはもちろん、レフトかライトを守る外野手としても、この数字では物足りない。レッドソックスは左打者が多いため、パワーのある右打者をラインナップに加えたいと考えているようだ。
それが実現すれば、加わる右打者のポジションがどこであっても、吉田がラインナップから外れる可能性は高い。
5年9000万ドルの契約のうち、あと5400万ドル(年俸1800万ドル×3年)が残っている。そのことを踏まえると、トレードで吉田を欲しがる球団を見つけるのは難しい。
シアトル・タイムズのアダム・ジュード記者とライアン・ディビッシュ記者によると、レッドソックスは一塁手のトリスタン・カサスと吉田をセットにしてシアトル・マリナーズから先発投手のルイス・カスティーヨを手に入れようとしたが、マリナーズに断られたという。マリナーズはカサスを欲しがっていたものの、吉田に対する支払いを引き受ける気はなかったようだ。
ただ、レッドソックスが吉田を解雇すれば、ほかの球団は年俸76万ドルで吉田と契約できる。そうなれば、外野手の候補のひとりとして迎え入れようとする球団は現れるはずだ。たとえばサンディエゴ・パドレスは、現時点でレフトのポジションが確定していない。
(4)菊池雄星はエンゼルスでどんな役割を担う?
現状の流れでいくと、ロサンゼルス・エンゼルスの菊池雄星は2025年、開幕投手としてメジャーリーグ7年目のスタートを切るだろう。
エンゼルスのローテーションに加わる菊池とカイル・ヘンドリクスの契約は、3年6367万5000ドルと1年250万ドル。ヘンドリクスが最優秀防御率のタイトルを獲得したのは9年前のことだ。2024年に130.2イニングを投げて記録した防御率5.92は、130イニング以上の96人のなかで最も高かった。
あとの残り3枠は、ホセ・ソリアーノとタイラー・アンダーソン、そして若手の誰かが入ると思われる。ただ、菊池がエースとして好投しても、ローテーションとしては心許ない。
打線には、アトランタ・ブレーブスとのトレードでスラッガーのホルヘ・ソレアを加えた。だが、マイク・トラウトが健康を維持できなければ、こちらも投手を援護できるかどうかに疑問符がつく。トラウトは2024年、誰よりも早くシーズンふたケタ本塁打に到達しながら、5月以降はすべての試合を欠場した。
かつての大谷に続き、菊池もエンゼルスで孤軍奮闘となりかねない。菊池は11月下旬にエンゼルスと契約を交わした。菊池を迎え入れたいと思う球団は、ほかにもあったはずだ。ワールドチャンピオンリングを手にしたいのであれば、各球団の補強の進み具合を見定めてから、どこに入団するのかを選ぶこともできたのではないだろうか。
(5)佐々木朗希はどの球団と契約を結ぶのか?
佐々木朗希と面談を行なったとして報じられているチームは、ア・リーグでは東地区のニューヨーク・ヤンキースと西地区のテキサス・レンジャーズ、ナ・リーグでは東地区のニューヨーク・メッツと中地区のシカゴ・カブス、そして西地区のロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツの3チーム。合計7球団だ。
さらに、MLBネットワークのジョン・モロシ記者は、ほかに少なくとも1球団が面談を行なったという情報を耳にした、と報じている。
また、TheBeatwriter.comのマルコス・グランフェルド氏によると、それらの球団のうちドジャースは、今年の契約を予定していたラテンアメリカのアマチュア選手たちに来年まで待つことを提案しているという。
そのとおりだとすると、今年は契約金の総額(限度額)のすべてを佐々木ひとりに費やすので、彼らと契約を交わすことはできない、と言っているようにも聞こえる。
佐々木のドジャース入団が確定なのかどうかは、まだわからない。グランフェルド氏は、ドジャースだけでなくパドレスも佐々木の交渉期限がすぎるまでラテンアメリカの選手たちとの契約を遅らせる、とも報じている。こちらは、佐々木を手に入れることができなければ彼らと契約を交わすということだ。ドジャースとパドレス以外の球団も、そうするだろう。
佐々木とラテンアメリカの選手たちとの契約が可能となるのは1月15日、佐々木の交渉期限は23日までだ。
(つづく)
◆注目ポイント10後編>>藤浪晋太郎と契約してくれる球団はある?