「あの時の経験を一つでも多く伝えていくことで救われる命がある」。阪神大震災を引き起こした断層の一部が保存されている北淡震災記念公園野島断層保存館(兵庫県淡路市)の米山正幸総支配人(58)は、自らの体験や被災者の話を語り継いできた。
開館当初は年間283万人が訪れたが、2023年度は13万人余に減少。一方で語り部の出番は増加傾向にあり、「大災害を自分の事として捉える人が増えた。震災を知らない世代も防災を学ぶ場にしていきたい」と今後を見据える。
最大震度7を記録した都市直下型地震の爪痕はほとんど残されていないが、震災の記憶を伝える場所や大きな被害を受けた街の今を訪ね歩いた。
保存されている阪神大震災の震源となった野島断層=6日、兵庫県淡路市の野島断層保存館
震災前までは菅原商店街(神戸市長田区)があった通り。(写真上、2025年1月8日撮影)。下は震災による火災で焼け落ちた同商店街(1995年1月18日撮影)
現在の阪急電鉄伊丹駅(兵庫県伊丹市)(写真上、2025年1月9日撮影)。下は震災で駅舎が崩壊した同駅(1995年1月17日撮影)