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「’24年通年の値上げ品目数は1万2千520品目と、’23年の3万2千396品目からは減少する形となり、怒濤の値上げラッシュも一段落という見方もありました。
しかし、“粘着質”な値上げは’25年以降も続く見込みで、今年1月から4月にかけては約6千品目が値上がりする予定。この数字は前年同月時点から約5割の増加となり、ラッシュの“再来”ともいえる状況です」
こう分析するのは、毎月『「食品主要195社」価格改定動向調査』を発表している、帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんだ。昨年12月以降の値上げでまず目立つのは、パックご飯。
サトウ食品は12月2日出荷分から「サトウのごはん」の全64商品を11〜14%値上げ。越後製菓でも同時期にパックご飯などを12〜15%値上げしている。上記2社に追随するように、テーブルマークも1月6日納品分からパックご飯全製品にあたる22品に対し、9〜18%も価格を引き上げたのだ。
「昨夏から秋にかけて、インバウンド需要などによる米不足で米価格が上昇しました。いまでこそ店頭に米が並ぶようになりましたが、新米価格は高止まりした状態が続いています。さらにパックご飯の場合は、プラスチック容器など包装資材の高騰による影響も大きく、各社一斉値上げに踏み切ったという印象です。
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単身者ばかりでなく、共働き世帯のニーズも高まり、近年10%ほど市場が伸びていただけに、業界にとっては痛手です」(飯島さん、以下同)
忙しい朝の救いの手となるパックご飯ばかりでなく、今年4月にかけ、朝食に関連する食品の値上げが数多く控えている。まず、米価上昇に呼応するように、米を使用した冷凍食品だ。
ニチレイフーズは2月1日納品分から、「焼きおにぎり10個入」「本格炒め炒飯」など、家庭用冷凍食品のすべての米飯商品を対象に10〜30%もアップ。冷凍食品を主力とする他社も、3月に値上げを実施する予定だ。
「トラック不足のなか、冷凍車まで手配しなければならないなど、物流コストがネックになっています。また、冷凍食品は大規模工場で製造されるため、賃上げによる人件費の増加も大きいです」
和食に欠かせないみそ汁やふりかけも値上げへ。永谷園は原材料価格の高騰などを理由に、2月1日納品分から市販用の即席みそ汁(11品)、ふりかけ(4品)などを6〜16%引き上げる。
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朝は洋食派という人にとって大きな負担増となるのが、パンの値上げだ。山崎製パンは、1月1日出荷分から「ロイヤルブレッド」「超芳醇」「ダブルソフト」など食パンを平均5%、「薄皮つぶあんぱん(4個入)」「ルヴァンバターロール(6個入)」など菓子パンを平均5.3%値上げした。敷島製パン(Pasco)も1月1日納品分より食パンを1〜5%、菓子パンを2〜5%値上げ。
「世界的に見て、小麦粉の価格は一時より安定してきていますが、円安、物流コストの増加、人件費の高騰、パンを加工するためのイースト菌、バターなど油脂類、砂糖やあん、チョコレートなど副資材系の値上げなど、複数の値上げ要因が関係しています」
朝食でパンと共に楽しみたいコーヒーもジリジリと値上げが続いている。味の素AGFでは3月1日納品分より、「ブレンディ」シリーズなどスティック45品、インスタントコーヒー35品、レギュラーコーヒー30品などに対し、価格を15〜30%上昇する見込みだと発表している。
「コーヒー豆は“半世紀ぶりの高値”といわれているほど。気候変動により、ブラジルでは香り高いアラビカ種の生産量が落ちました。そのためアラビカ種よりも風味が劣るものの、収穫量が多く安価なロブスタ種に需要が集中。
ところがそのロブスタ種の産地も高温や干ばつの影響を受けて生産量が落ち込んでおり、双方とも高値になっています」
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やはり朝食の定番であるヨーグルトにも値上げの波が。森永乳業は「森永アロエヨーグルト」シリーズ7品を1月6日出荷分から、8.3〜12.7%引き上げ。雨量不足によるアロエの生育不足、包装資材や物流コストの上昇も一因だとしている。
一連の値上げは朝食代にどれだけ影響するのか。夫婦2人の家庭で、和食(パックご飯・即席みそ汁・冷凍食品のおかずなど)、洋食(食パン・コーヒー・ヨーグルト・冷凍食品のおかずなど)を1日おきに食した場合を試算すると、1カ月で3千357円、年間ではじつに4万284円もの負担増となることに。
さらに朝食関連以外の深刻な値上げも待ち構えている。
「世界的なカカオ不足のため、チョコレート製品の値上げが続いています。
2月のバレンタインデーは、価格上昇のほか、チョコレートの大きさが小さくなる、包装や物流の際に隙間ができる丸形よりも、無駄がない四角形のチョコレートが主流になる、などの影響が出るかもしれません」
4月には大手ビール各社がビールや缶チューハイの価格を見直し。アサヒビールは主力の「スーパードライ」や第3のビール「クリアアサヒ」などの卸向け出荷価格を5〜8%値上げするが、春の行楽シーズンや晩酌を直撃することになりそうだ。
再び猛威を奮いはじめた値上げラッシュに対応するためにできることはーー。節約アドバイザーの丸山晴美さんが行っている日々の節約術を聞いてみた。
「パン類の値上げを前に、私はホームベーカリーでパンを活用しています。強力粉は業務スーパーなら1キロ200円ほど。ホームベーカリーでは生地だけ作ってピザや惣菜パン、菓子パンなどに加工してバリエーションを増やしています。
ほかに、小松菜や春菊などの野菜は、100円ショップで2袋100円で販売されている種を使用。プランターや鉢植えで栽培すると、1カ月ほどで収穫できます。節約ばかりでなく、自分で作る楽しみも味わえますよ」
味は同じなのに、形が悪いという理由で廃棄されてしまう規格外やB級品の野菜も無駄にできない。
「通販サイトでは『Kuradashi』『タダヤサイ』などが有名です。また、話題の品や新製品のサンプルが、無料もしくは格安で入手できるのが『サンプル百貨店』。アイスコーヒーセットやレトルト食品、化粧品や日用品、サプリメントなど幅広い品ぞろえです」
年の初めにあたり、格安スマホへの乗り換えや保険の見直しなど、1回の契約手続きや設定変更で、継続的な節約につながる固定費の削減も必須だ。カットできる項目がないか、今一度チェックしてみよう。
気づいたら昨年より支出が大幅に増えてしまっていた、というような事態を招かないためにも、値上げの現実から目を背けない姿勢が大切だ。
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