パナソニックは1月10日、エアコンについての調査結果を発表した。調査は2024年12月4日〜12月11日、エアコンを所有している20〜60代の男女537名を対象にインターネットで行われた。
○エアコンの寿命は何年?
家庭用エアコンの寿命は、一般的に10年程度と言われている。これは、エアコンの「修理」と「買い替え」で迷ったときの判断材料のひとつにもなる。
エアコンには「設計上の標準使用期間」というものがある。「無償保証期間」とは異なり、運転時間や温湿度など、標準的な使用条件に基づく経年劣化に対して、製造された年から安全上支障なく使用することができる標準的な期間のこと。多くのメーカーで、家庭用エアコンの標準使用期間は「10年」に設定されていて、エアコン本体に貼ってあるシールなどの表示で確認することができる。
この期間を過ぎると、経年劣化から発火・けがなどの事故につながる可能性があるという。また、部品の保有期間を10年と定めているメーカーも多いため、期間外のエアコンが故障したのに、部品がなくて修理できない……なんてことも。もしエアコンの調子が悪いと思ったら、まずはこの期間の確認し、10年以上経っている場合は買い替えることが推奨される。
なお、内閣府の「令和6年3月消費動向調査 主要耐久消費財の買替え状況の推移 二人以上世帯」によると、ルームエアコンの平均使用年数は14.1年だった。今回行ったアンケート調査でも、「現在使用しているエアコンは、何年ほど使用していますか?」という質問では26%が10年以上使用中であると回答している。また、前回使用していたエアコンについても、42%が10年以上使用したと回答しており、中には「20年以上」と回答した人も7%いた。
○エアコン長持ち対策…正しい対策とNG対策は?
エアコンは大きな買い物なので、なるべく大切に長く使いたいもの。しかし、「エアコンを長持ちさせるために気をつけていますか?」という質問では、「気をつけている」43%に対し「気をつけていない」49%と回答が分かれる形となった。また、「エアコンを長持ちさせるためにしていること」では、正しい対策もあれば誤解があることもわかった。
○洗浄スプレーを使ったエアコン内部の掃除
エアコンのクリーニングは高い専門知識が必要となるため、自分でエアコン内部の洗浄をするのはNG。誤ったクリーニング方法(除菌剤やお掃除スプレーを使用するなど)を行うと、内部に残った洗浄剤が故障の原因につながる恐れがあるため、専門業者への依頼が推奨される。
○風量を控える
風量の変化は中にあるファンのモーター部分には関係するが、エアコン内部の温度の調整には影響がないためエアコンの寿命にはあまり関係がないという。
○使わない時にはコンセントを抜く
長期間使用しない場合にはプラグとコンセントの隙間にホコリがたまり、このホコリが原因で発火につながるトラッキング現象につながるため、オフシーズンのトラッキング現象対策としては有効だが、エアコンの長持ちには影響しない。
○使用頻度を下げる
過度なエアコンガマンはNG。夏場であれば室温が28℃以上、冬場であれば18℃を下回るような時にはガマンせずに使用を。
○正しい対策
エアコンを長持ちさせるためには、エアコンに余計な負荷を与えないことが大切。「フィルターの掃除」「設定温度を控える」は節電にもつながる上、エアコンの負荷も軽減できるため長持ちにも効果がありそうだという。
特に、フィルターが目詰まりすると、エアコンの空気の吸い込み効率が低下する。冷暖房性能に影響を与えるだけでなく、本体への負担にもなるため、フィルターはこまめに掃除したい。
しかし、「最後にエアコンのフィルター掃除をしたのはいつですか?」という調査では、「3ヶ月以上前」が40%、「フィルター掃除をしたことがない」は19%という結果となった。
エアコンフィルターを1年間掃除しない場合とした場合で比べると、しない場合は暖房時に約25%もムダな電力を消費してしまうという結果もある。また、冷房時も風量や冷え方が弱くなってしまい、金額にして年間1万円以上も電気代がムダになってしまう場合があるという。
今夏のエアコン冷房利用時間は、データ計測開始以降最高を記録した。今シーズン一度もフィルター掃除をしていない人は、冷房利用で蓄積されたホコリがたまっている可能性があるため、一度フィルターを掃除したい。また、環境省によれば、冬の暖房時に設定温度を1℃低くすると約10%の消費電力が削減されるといわれている。高すぎる設定温度には注意を。
○室外機周りも定期的に掃除を
「室外機の掃除」も風の通り道を確保し、エアコンの負荷軽減につながる。フィルターほどの頻度でお手入れをする必要はないが、室外機も意外に汚れるもの。ホコリや落ち葉などのごみがたまると熱交換の効率が下がり、消費電力アップにつながる可能性もあるので、特に風の強い日や台風が過ぎた後にはチェックしたい。雪の積もる日にも注意が必要だという。
○寿命と買い替え時期の目安を知って、快適な空気環境を
エアコンは一度設置すると長期間使用するため、内部の汚れが気になった場合は専門家のクリーニングサービスを利用し、快適で清潔な空気環境を保つことができる。
10年以上が経過すると経年劣化で「冷媒」と言われるエアコン内の冷やす・暖めるためのガスが徐々に漏れ、効きが悪くなったり、冷えない・暖まらないといった症状が出てくることも。エアコンの調子が悪くなってきたら、10年を目安に買い替えを検討することもできる。
○真冬ならではの"霜取り運転"に要注意
屋外の温度が低く湿度が高いときに、室外機に霜がつくことがある。霜がつくと、エアコンの性能が低下して、暖房がきかなくなるため、霜を溶かす必要がある。霜取り運転は、暖房が室外機の霜を溶かすのに使われている状態。霜取り運転中は部屋を暖めることができないため、暖房運転を一時的に停止。霜取り運転が終わると、自動的に暖房運転を再開する。
今回、霜取り運転の認知度を調べたところ、「聞いたことがあり、内容も知っている」は29%にとどまり、「聞いたことはあるが、内容は知らない」(35%)、「聞いたことはない」(37%)と、実に72%が霜取り運転を知らないことがわかった。
○都道府県別霜取り運転データ
霜と聞くと寒い地域もしくは積雪の多い地域などでの出来事かと思うかもしれないが、-7℃〜5.5℃の間が一番霜が付きやすい条件となっており、「室外機に霜が付きやすいとされる温度」になることは珍しいことではない。
今回、パナソニック エオリアアプリに接続したエオリアユーザーの利用データをもとに、冬季(2024年2月)の霜取り運転率を集計した。
昨年2月に1回以上霜取り運転を行ったエアコンの割合を算出したところ、北海道や新潟県では30%を超える結果となった。一方、東京都・愛知県・大阪府など都市圏や九州地方でも3〜9%程度の霜取り運転率となっており、寒冷地以外でも霜取り運転が発生することがわかる。霜取り運転をエアコンが故障してしまったと誤解しないよう、注意したい。(Yumi's life)