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九州大工学部の任期付き研究員だった30代の女性が2021年、研究室長の男性教授から体を触られるなどのセクハラを受け、他大学へ移らざるを得なくなったとして九大と教授らに計約4696万円の損害賠償を求めて提訴し、第1回口頭弁論が14日、福岡地裁(中辻雄一朗裁判長)であった。女性側は「自己への性的な服従か研究者としてのキャリアの破壊かの二択を迫ったもので極めて悪質」と訴え、九大と教授らは請求棄却を求めた。
女性は訴状で、21年4月に教授の研究室に配属された後、同年7月まで教授から周囲に聞こえるように「愛人にする」と言われたり、胸や足を触られたりしたと主張。同12月に県警や大学側に被害申告すると、契約を更新しないという趣旨の話をされるなど「報復」行為を受けたとした。
九大は23年2月にセクハラ被害を認定した。女性の契約期間は同年3月末までだったが延長の希望は聞かれず、教授と遭遇することに恐怖心もあったことから他大学に移らざるを得なかったとした。
また、教授のセクハラを止めずに便乗したとして男性准教授も同様に訴えた。
女性は口頭弁論後に会見を開き「キャリアを優先していたら人間としての尊厳を失っていた。そこまでして働き続けることはできなかった。苦しかった」と訴えた。
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同大は「(提訴されたことは)誠に遺憾であり、深くおわび申し上げます。詳細のコメントは差し控えさせていただきます」とコメントした。【志村一也】
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