東京女子医科大(東京都新宿区)を巡る資金流出事件で、背任容疑で逮捕された元理事長の岩本絹子容疑者(78)の関係先から、約4億円相当の現金や金塊が見つかっていたことが、捜査関係者への取材で判明した。警視庁捜査2課は、岩本容疑者が大学から多額の資金を自らに還流していたとみて関連を調べている。
事件を巡り、警視庁は2024年3月、一般社団法人法違反(特別背任)の疑いで、大学本部や岩本容疑者の自宅などに1回目の家宅捜索に入った。
捜査関係者によると、その後、24年7月に岩本容疑者が経営する産婦人科医院の関係者が住む東京都港区のマンション一室を捜索したところ、納戸にあったスーツケースから、帯封が付いた状態の1万円札の束や金塊2キロを発見した。
さらに、2カ月後に岩本容疑者宅の2回目の捜索をした際は、寝室で現金約1350万円や金塊が見つかり、産婦人科医院に置かれたスーツケースに約3500万円が保管されていた。
これらの捜索で見つかった現金は約2億円で、金塊も約2億円相当に上り、警視庁が押収している。
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岩本容疑者は、大学の新校舎2棟の建設工事で18年7月〜20年2月、1級建築士の男性(68)に、業務実態のない「建築アドバイザー報酬」を支払うなどし、大学に計約1億1700万円の損害を与えた疑いで逮捕された。
報酬は、岩本容疑者の指示で開設された男性名義の口座に振り込まれていたという。男性は報酬から税金を差し引いた額のうち、3分の1を手数料として受け取っていたとされる。
残り3分の2の計約3700万円は、当時大学の経営統括部次長で岩本容疑者の側近とされる女性(52)と東京都江戸川区の東京メトロ・葛西駅周辺で定期的に落ち合い、紙袋に入れた現金で手渡していたとみられる。女性はその現金を岩本容疑者に渡したとされ、女性の携帯電話のメッセージにはこういった経緯が残っていたとされる。
警視庁は、岩本容疑者があらかじめ分配額を決め、不正な資金の移動が発覚しないよう現金でのやり取りを指示したとみている。還流された現金は、ブランド品の購入などに充てた可能性があるという。
大学が設置した第三者委員会は、大学発注工事の元請け業者に支払われた工事費のうち1億数千万円が16〜23年ごろ、岩本容疑者の側近の女性が管理する会社に渡っていたなど、複数の不透明な資金移動を認定している。警視庁は、押収した金品の出所など資金の流れを詳しく調べている。
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岩本容疑者は23年4月、大学の同窓会組織「至誠会」の臨時総会で「大学と至誠会に対して、損害与えるようなことはあり得ない」と話していた。【遠藤龍、菅健吾】
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