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三菱UFJ銀行の貸金庫から金品を盗んだとして窃盗容疑で逮捕された元行員は、勤務態度を評価され、行内でキャリアアップしていた人材だった。
関係者によると、窃盗容疑で逮捕された元行員の今村由香理容疑者(46)は1999年に、当時の東京三菱銀行に入行した。東京都内の私立の短期大学を卒業しており、事務や窓口業務を補助する「一般職」だった。
勤務態度は良好で、仕事ぶりも評価されていたという。倍率の高い面接試験にも合格し、マネジメント業務を担う「総合職」に転向。その後、練馬支店や玉川支店で支店長代理や営業課長などを務め、順調にキャリアを積んでいるように思われた。
しかし、業務で貸金庫の鍵を管理するようになると、その立場を悪用するようになった。三菱UFJ銀行によると、窃盗は練馬支店にいた2020年4月から始まったという。
貸金庫から盗んだ現金を別の貸金庫に移動してその詳細をメモに残したり、金塊などを売却ではなく質入れしたりしていたとされる。この手口について、同行の関係者は「投資でもうけて、いつかは返そうともくろんでいたのではないか」とみる。
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事件では、銀行で管理する「予備鍵」が悪用されたとみられる。同行では予備鍵については専用の封筒に入れてとじるなどして管理しており、異常がないか定期的に点検していたという。しかし、今村容疑者による窃盗被害は約4年半にもわたって気づかれることはなく、最終的に顧客の指摘で発覚した。
別の銀行の関係者は「貸金庫の管理は銀行によってさまざまだが、2支店で同じことが起きたというのは落ち度が大きい。正常な管理体制なら不正は見抜けたはずだ」と批判する。
三菱UFJ銀行関係者は「現場では今も混乱が続いている。本人に罪をしっかりと償ってほしい」と話した。【遠藤龍】
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