小柄なドリブラーが輝くために…前橋育英MF白井誠也「周りを上手く使うのが重要。ドリブルだけだと対策される」

0

2025年01月14日 21:05  サッカーキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

サッカーキング

前橋育英MF白井誠也[写真]=金田慎平
 小柄な体で敵陣を果敢に突き進む姿は、観る者の心を熱くした。前橋育英(群馬)の2年生ドリブラーMF白井誠也は、第103回全国高校サッカー選手権大会で特大のインパクトを残した。

 準決勝の東福岡(福岡)戦。1点ビハインドの後半開始から投入された白井は、58分に圧巻のプレーを披露した。被カウンターの局面で自陣に戻り、上手く体を入れてボールを確保すると、まずは鋭い切り返しで相手の逆を突き、東福岡のファーストプレスを突破。ここから一気に加速すると、見事なコース取りで後ろから寄せてきた相手の前に入り込み、体に手をかけられながらも「ここで耐えればゴールにつながる」と踏ん張って右サイドへ展開した。パスを出したあとも動きを止めず、ペナルティエリア内まで走り込んで、FWオノノジュ慶吏のラストパスを右足ダイレクトでシュート。見事にゴール左隅に決めてみせた。

「『小さくても出来る』と証明できるようになってきたのは嬉しいです。小さい子たちが、自分を見てもっともっとサッカーで頑張ろうと思ってもらえるように、これからもやっていこうと思います」

 準決勝後に小柄な選手としての矜持を語った白井は、小学生の頃から「体が小さかった」。現在も身長161センチと体格的に不利な戦いは続いており、体の大きな相手には「難しさを感じる」ことも多いという。

「自分は強度の部分で課題があるので改善しないといけないし、攻撃面でしか貢献できていないので、特長であるドリブルはもっともっと磨いていかないといけないです」

 現代サッカーは戦術の高度化とフィジカル面のレベルアップにより、ピッチ上のスペースが狭くなり、一人ひとりに与えられる時間も短くなった。全ての選手にプレー強度が求められるのは、もはや当たり前のこと。白井も“高さ”と“強さ”の欠如はチームの穴になり得ることを自覚しており、弱点を補って余りある強みを身につけなければ生き残れないと感じている。

 決勝戦は、まさにその課題を痛感させられる試合になった。対戦相手の流通経済大柏(千葉)は、今大会屈指の守備強度を誇るチーム。白井は同点で迎えた57分から途中投入され、必死にドリブルを仕掛けたが、相手の激しい寄せに苦しめられた。対峙する機会の多かった流通経済大柏DF幸田爽良が好守備をみせたこともあり、最後まで決定的な仕事を出来ずに延長戦が終了。チームはPK戦の末に優勝を果たしたが、個人としては悔しさの残る大会に終わった。

「今日(流通経済大柏)のような強度の高い相手選手に体を入れられると、まだまだそこから抜き切れない部分があって、難しいと感じました。それをどうするべきなのかは、もっともっと考えて工夫していく必要があると思います」

 課題を語った白井。ただ、体格面での不利は、これまでも工夫して乗り越えてきた。今後、さらに上のレベルを目指すために何が必要なのかは、頭の中で整理できている。

「周りを上手く使うのが本当に重要だと思っています。相手にドリブルだけだと思われると対策されてしまいますし、味方を上手く使いながら、『行けるな』というタイミングでしっかり行くのは、今の自分にとって大切だと思います」

 白井が参考にしているというアルゼンチン代表FWリオネル・メッシや元ベルギー代表FWエデン・アザールは、ドリブルを得意としながら、決定力や味方を活かすチャンスメイクの能力も秀でている。「何でもできる」からこそ、ドリブルにより怖さが生まれる。

「(決勝で対峙したカターレ富山内定の流通経済大柏MF)亀田歩夢選手がボールを持つと、いつ仕掛けてくるかわからないし、守備をしていて怖さを感じる選手でした。自分にはまだまだそういう部分が足りないので、そこをもっともっと亀田選手みたいに仕掛けたいです」

 成長を感じた一方、伸びしろも見つかった2年生の選手権。これからも『小さくても出来る』と証明し続けるために。白井は「国立には悔いが残っているので、来年は絶対に戻ってきたいです」と、最高学年でのさらなる飛躍を誓った。


【ハイライト動画】MF白井誠也がゴール!準決勝 東福岡 vs 前橋育英





    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定