NTT東日本と大宮アルディージャが共創する次世代サッカー教室 - スポーツテック活用で、育成と地域スポーツ振興へ

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2025年01月15日 13:41  マイナビニュース

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NTT東日本 埼玉事業部と大宮アルディージャは、スポーツテックを活用した先進的なサッカー教室を連携して開催している。2024年10月から12月にかけて開催された教室では、AIカメラや映像分析ツールを駆使して、子どもたちが主体的に学び、成長するスポーツの新たな学習スタイルが提供された。この取り組みは、地域のスポーツ振興や子どもたちの健全な育成をICTの力で実現することを目指している。この記事では、2回の教室で使用されたソリューションや参加者の声、今後の展望について詳しく紹介する。


○■スポーツテックを活用した次世代のサッカー教室



NTT東日本 埼玉事業部は、埼玉県を拠点とするJリーグ所属の大宮アルディージャとの連携により、地域スポーツ振興や子どもたちの健全な育成をめざし「NTT東日本 埼玉事業部・大宮アルディージャ サッカー教室」を開催している。



このサッカー教室は、大宮アルディージャの元選手などのコーチの指導を直接、地域の子どもたちに受けてもらうというもので、昨年よりスポーツテックの仕組みも導入し、従来とは異なる新しいサッカー教室を提供している。昨年度は「AIカメラ」や「AIキック分析」、「eスポーツ」といったスポーツテックの活用実績があり、今年度は映像分析ツールを活用したサッカー教室を10月19日から、考える力を育むことをコンセプトとしたサッカー教室を11月24日から、大宮第二公園 軟式野球場にて開催された。


いずれの回も、それぞれ異なるスポーツテック・ソリューションを導入し、映像データを取得・分析しその場で子どもたちにアドバイスするという内容だ。具体的には子どもたちがミニゲームなどを行い、ツールを使って可視化されたデータをモニターに映し、コーチが子どもたちにわかりやすくフィードバック・指導をしていくというもの。



NTT東日本は「ソーシャル・イノベーション企業」を掲げ、ICTやネットワーク技術を活用して地域がより豊かになるような幅広い取り組みを展開している。大宮アルディージャとの連携によるサッカー教室の開催も、そうした活動の一貫となる。



NTT東日本 埼玉事業部 企画総務部 企画部門 広報担当 担当課長の加藤 智庸氏は、「本格的かつより質の高いスポーツの学びを誰もが簡単に得られるようになれば、多くの人々が高い技術レベルを取得したり、スポーツを通じたさまざまな気づきを得られるようになるはずです。ICTやネットワーク技術を活用してそうした社会の実現を目指しています」と語る。



同社 埼玉支店 第二ビジネスイノベーション部 まちづくりコーディネート担当 課長の小金丸 千明氏もこう続ける。「NTT東日本として中長期的な成長のためには、新規ビジネスの創出が欠かせません。また、地域社会への貢献も当社の大きな使命です。そこで、まちづくりの観点から、ICTを用いて課題解決や新しい価値を提供しようと取り組んでいます。埼玉県の特徴の1つがスポーツであり、施設もプロチームも集積しています。この地域特性を活かし、これまでも地域貢献の一環として共にサッカー教室を開催してきた地元プロサッカーチーム、大宮アルディージャの協力のもと、ICTを活用したサッカー教室を開催しています」


また、大宮アルディージャの金田 紳也氏は、「サッカーを通じて社会に貢献するというのは我々の根本的な使命でもあります。このサッカー教室では、NTT東日本さんとの連携により、先進的な技術を活用することで、子どもたちに新たな体験を提供できると実感しています」と話す。


○■要となるスポーツに特化した「AIカメラ」



今回の取り組みの技術的な軸となるのが、AIカメラ「STADIUM TUBE」だ。これまですべてのサッカー教室で用いられているこのAIカメラは、NTTSportictが提供する圧倒的低コストを実現した世界トップクラスのAIスポーツ撮影ソリューションであり、有名クラブを始め世界80カ国で利用されている。


NTTSportict アライアンス営業部 部長 永松 稔幹氏はこう説明する。「ボールの動きや試合のルールに応じたカメラワークを学習し、カメラマン要らずで本格的なスポーツ映像を撮影することが可能です。競技場に設置するだけで、手持ちのスマホやPCを使って遠隔操作で簡単に撮影を開始できます」


続けて同社 カスタマーサクセス部の伊東 豪氏は「通常のAI追随映像と合わせて、同時にパノラマでピッチ全体の映像も撮影しその映像を既存のコーチングシステムへ直接流し込むことで、ファイル変換などの手間をかけずにチームの練習、選手へのフィードバックや分析に活用することができます」と語る。

○■世界標準のスポーツ映像分析ソフト「Dartfish」を活用しリアルタイムな学びを実現



10月19日から開催された今年度初の「NTT東日本 埼玉事業部・大宮アルディージャ サッカー教室」では、世界各国のプロチームやナショナルチームでも採用されている映像分析ソフトウェア「Dartfish」が活用された。このサッカー教室は、最新のコーチングツールを用いることで、どのように競技力向上に寄与するのかを実際に体験できる内容となった。



「Dartfish」は、高度な映像処理技術を備えた分析ソフトであり、特に動作解析やゲーム分析の分野で強みを発揮する。個人競技からチームスポーツまで幅広い種目に対応し、映像を通じてプレーヤーの動きや試合状況を可視化できる点が特徴だ。


当日の指導では、子どもたちのプレーの様子をリアルタイムで記録。コーチは撮影された映像を基に、停止やスロー再生を活用しながらプレーの改善点を画面上に書き込むなどして具体的に説明した。このアプローチにより、参加した子どもたちは自分のプレーを視覚的に確認し、指導内容を即座に理解。自身の課題を認識し、次のプレーに役立てるというポジティブなフィードバックが得られた。



大宮アルディージャ フットボール本部 普及担当コーチの渡部大輔氏はミニゲーム後、「画像停止やスロー再生機能などを活用することで、通常は見逃しがちな細かいプレーの部分まで指導が可能になり、選手たちに自身の動きをより深く理解してもらうことができました」と、その効果を強調した。


ダートフィッシュ・ジャパン マーケティング本部 営業戦略部 課長の佐藤洸太氏はこう語る。「現在、映像を活用したフィードバックではスピードが重視されています。Dartfishは試合中のハーフタイムなど短時間でフィードバックを行えるため、即時性が求められる現場での効果が高いことから、世界中のスポーツシーンで活用されています。将来的にAIカメラと連携することにより、リアルタイムでの映像分析がさらに進化することを期待しています」


大宮アルディージャの金田氏は、「世界標準のソリューションを地域の子どもたちに提供することで、新しい価値観を体験してもらえることが重要です。昨年度から複数の新しい試みを取り入れており、そのノウハウを活かしながら指導内容をアップデートしています」と語った。

○■映像分析ツール「SPLYZA Teams」で体感する考える力を育む新しいサッカー教室



11月24日から開催された「NTT東日本 埼玉事業部・大宮アルディージャ サッカー教室」では、映像分析ツール「SPLYZA Teams」を活用した新しい学びの場が提供された。このツールは、選手自身が課題を発見し解決するプロセスを支援し、考える力を育むことを目的としている。



今回の教室は、2日間構成で実施された。初日に撮影されたミニゲームの映像が参加者に配信され、自宅で振り返りを行った後、2日目にコーチのフィードバックや参加者同士のディスカッションが行われた。例えば、ゴール前の攻撃シーンでは、コーチが画面上でラインを引きながら具体的な改善点を示し、子どもたちは自分の考えを積極的に発言。その後、ミニゲームを通じて新たな学びを実践するという流れで進行した。


SPLYZAの広報&マーケティング担当の豊嶋 果以氏は、「SPLYZA Teamsはクラウド上で映像にタグ付けや字幕描き込みを行い、選手やコーチがフィードバックを共有できるツールです。映像を通じてチーム全体で課題を共有し、共通理解を深めることで、スポーツを通じて『考える力』を育む学びを提供します」と説明する。


このツールの導入は、子どもたちにとっても新たな発見や学びの機会となった。実際に教室に参加した子どもからは、「鳥のように自分の動きを俯瞰できて驚いた。ミニゲームではパスの動きが変わり、チームプレーが格段に良くなった」といった感想が寄せられた。

豊嶋氏は、映像分析を活用する意義について、「選手が自分のプレイを俯瞰して見ることで、より客観的に課題を捉えられる点がポイントです。また、たとえば『ここで声を出せばよかった』といった描き込みにコーチが返信できる機能もあり、それはSPLYZAが特許を取得した技術で、個々の選手とコーチングプロセスを深める役割を果たしています」と強調する。



大宮アルディージャの金田氏は、「普段のサッカー教室はその場限りの指導になりがちですが、今回は映像を使って数日の間に振り返りとフィードバックを重ねる構成でした。そのため、指導内容が深まり、参加者にとっても連続性のある学びを提供できたことに大きな意義があったと感じています」と語る。



今回のサッカー教室では、スポーツを通じて「考える力」を育む新しい形の学びが提供された。



豊嶋氏は、「NTT東日本は学校教育のDXにも取り組んでいると聞いています。SPLYZAとしても教育分野での実績があり、多競技への展開をはじめ今後さらに連携を深めていきたいですね」とコメントした。

○■地域スポーツ振興と教育DXの未来を拓く



この2回のサッカー教室は、スポーツテックを活用した教育DXの可能性を示す象徴的な取り組みとなった。



NTT東日本の小金丸氏は、「実際にソリューションを使ってもらい、コーチや子どもたちがどのような反応を示すのかを見ることができたのは非常に意義深いです。今後はこれをどうビジネスにつなげるかをしっかりと考えていきます。また、アマチュアスポーツを盛り上げるリーディングカンパニーとして、大宮アルディージャさんとともに取り組みを進めていきたいですね」と語る。



同社の加藤氏もこう続ける。「今回のサッカー教室で使用したスポーツテックソリューションがAIカメラなど他の技術と連携することで、映像分析がさらに便利で効果的なものになることが期待されます。NTT東日本としても、こうした相乗効果を追求し続けていきます」

大宮アルディージャとNTT東日本は、このサッカー教室を通じて、ICTを活用した地域スポーツ振興と子どもたちの健全な育成に向けた新しいアプローチを具体化している。今後も先進的な技術を取り入れながら、地域コミュニティの活性化と教育DXの進展に貢献する取り組みが期待される。



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