宇宙ベンチャー企業アイスペースが開発した月着陸機が日本時間の15日午後3時すぎ、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。約1時間半後には切り離しに成功。2022年に打ち上げられた初号機は着陸に失敗しており、2度目の挑戦。今年5月末頃から6月初めに月に到着予定で、着陸に成功すればアジアの民間企業として初めてとなる可能性がある。
着陸機は米スペースX社のロケット「ファルコン9」で打ち上げられた。東京都内ではスペースX配信の動画を観覧するイベントを開催。従業員やその家族、政府関係者など招待客約300人がカウントダウンし、打ち上げの瞬間には着陸機のロゴが入った赤いタオルを一斉に掲げた。
着陸機は月面に到達後、搭載した探査車が月面のデータを取得したり、「レゴリス」と呼ばれる月の砂を採取したりする。レゴリスの所有権は米航空宇宙局(NASA)に有償譲渡する予定で、世界初の月資源を用いた国際商業取引の実現も目指す。
着陸機には高砂熱学工業の水電解装置やユーグレナの藻類培養装置なども積んでおり、月面でさまざまな技術を実証する。
袴田武史最高経営責任者(CEO)は15日夕、記者団に「ようやくここまで来られて少しほっとしている。心を引き締めてやっていきたい」と話した。
アイスペースが開発した月着陸機打ち上げの中継映像を見守る関係者たち=15日午後、東京都千代田区