(左から)和泉憲明さん、笹川友里
和泉さんは、静岡大学情報学部 助手、産業技術総合研究所(産総研)、サイバーアシスト研究センター研究員、産総研情報技術研究部門・上級主任研究員などを経て、2017年より経済産業省 商務情報政策局に勤務。2024年7月から現職に就いています。
◆社会と研究の橋渡しをするAIST Solutions
はじめに、AIST Solutionsがどんな会社なのかを聞いてみると、和泉さんは、「『科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律』に基づいて許認可された会社です。日本で一番大きな独立行政法人である産総研の予算が出資元になっていて、端的に言うと、研究技術とかの成果を世に広める“社会と研究の橋渡しをする会社”です」と説明。
和泉さんによると、世の中の発明はすべて社会の役に立っているわけではなく、むしろ役に立っていない技術が多いそう。また、新たな発明も市場原理にゆだねてしまうと、人口や資金の豊富な国が有利になるとし、「そこで、少しでも我が国を有利にするためには、(発表される発明に対して)いい選別をし、戦略的に世の中に届けないといけない、それがこの法律の趣旨です」と話します。
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◆変革期の今こそ大事な“パイオニア精神”
続いて笹川が「“日本の科学技術が低迷している”とのニュースをよく見ますが、その背景にはどんなことが挙げられるのでしょうか?」と質問すると、「日本人は目の前に見えるものを改善するスピードは早いのですが、まだ(正体が)見えないものの意思決定は苦手と言われています。ただ最近は、デジタルというキーワードがそうですけど、すべてデータや通信が中心。そういった時代の変化を捉えるのは、日本人だけでなくても難しいと言われています」と和泉さん。
例えば、約100年前にアメリカで馬車から自動車へと移行するモビリティ革命が起きた際、それを予想できた人はいませんでした。しかし、今はそうした新しいことに挑戦していくことが重要で、「安定よりも“チャレンジ”。大失敗するかもしれないところに挑むパイオニア精神が意外と大事かもしれない。それがデジタルという変革期のマインドセットではないか」と語ります。
◆住みやすい日本を維持するためにすべきことは?
AIST Solutionsは、科学技術とマーケティングを掛け合わせることで、社会課題の解決と産業競争力の強化を目指しています。そこで笹川は「この2つの目標はこれまでも目指してきたと思うのですが、改めて今この2つが必要な時代に突入しているということでしょうか?」と質問。
これに和泉さんは、「正直にいうと、研究者は今まで“出た成果をどう広げていくか”というところに最適化して取り組んでいるので、戦略性が全然ないんです。やはり、世界の最先端(の研究)と競っていると、他人よりも半歩出たとしても、そこからさらに伸ばすことを考えているので、それが必ずしも正しい方向かどうかがわからないんですよね。科学技術とマーケティングも、そもそも答えはないけれども、そこをいかに具現化・可視化していくか、というところに私たちが挑戦していると捉えていただければ」と声を大にします。
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次回1月18日(土)の放送も引き続き、和泉憲明さんをゲストに迎えてお届けします。和泉さんの仕事術についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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1月11日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年1月19日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
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