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強盗・強制性交等などの罪が確定した男性受刑者が公判中、大阪拘置所(大阪市)に収容されていた際に居室に設置された監視カメラでプライバシー権を侵害されたなどとして国に計290万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決で、大阪地裁(徳地淳裁判長)は16日、40万円を支払うよう命じた。
判決によると、男性受刑者は1審・大津地裁で懲役22年の実刑判決を受けた後、控訴に伴い2023年3月、滋賀拘置支所から大阪拘置所に移送された。自殺の恐れがあるとされ、同12月まで監視カメラが付いた居室での生活がほぼ続いた。その後、最高裁で上告が棄却されて実刑が確定し、現在、別の場所に収監されている。
判決は、男性が同7月の面接で「冤罪(えんざい)を晴らすまでは死ねません。今は一切死ぬ気はありません」と大阪拘置所の担当者に述べており、「カメラ付き居室の収容を漫然と継続したこと自体が精神の安定を乱す主要因だ」と指摘。移送直後の収容に裁量権の逸脱はないとした一方、面接後の約4カ月半は自傷行為に及ぶ危険性は抽象的で、「重大なプライバシー権の制限や心理的負担が伴った」として違法だったと認めた。【土田暁彦】
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