「レイソルで成し遂げたい」MF仲間隼斗が鹿島で宿した“魂”を古巣柏で灯す

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2025年01月18日 07:18  サッカーキング

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柏レイソルMF仲間隼斗
 柏レイソルMF仲間隼斗が2度目の古巣復帰で決意を語った。

 仲間は柏のアカデミー出身。しかし、ユースからトップチームには昇格できず、J2のロアッソ熊本でプロキャリアをスタートさせた。その後、カマタマーレ讃岐、ファジアーノ岡山を渡り歩き、実に9シーズンに渡ってJ2でプレー。J1を目指す厳しい戦いの中で、ユース時代の“ドリブラー”から、誰よりも戦う“ハードワーカー”へ変貌を遂げ、2020年に古巣・柏へ1度目の復帰を果たした。

 柏復帰から2年後、悩み抜いた末に鹿島アントラーズへの移籍を決断した。新天地では初年度から主力として活躍。燃え滾るような情熱的なプレーで、チームメイトからすぐに信頼を得た。小柄な体で、誰よりも走り、戦う。その気迫溢れる姿が『魂』と称され、サポーターからも愛された。

「“魂”を込めてプレーしていたというよりは、本当に自然とその状態になっていて、みんなが“魂”だと思ってくれたのかなと思います。自分が“魂”を入れたのではなく、自然体の自分で、チームが勝つためにプレーをしていれば、自然と“魂”がみんなに伝わるのかなと」

 加入から3シーズン、仲間は鹿島のタイトル獲得のために全身全霊を尽くした。「本当に心の底から鹿島でタイトル取るっていう思いでプレーしていましたし、ここまでやって取れないかっていうぐらいまで自分はできたと思っています」と、本人もその自負を語る。しかし、結果的に最後までタイトルを獲ることはできず、悔しさの残る3年間となった。

「皆さんは僕のことを“魂”と言ってくれますが、その魂を宿してくれたのはアントラーズファミリーです。僕の力不足でサポーターの皆様には苦しいシーズンを過ごさせてしまったこと、力になれなかったことを心から申し訳なく思っています」

 退団の際、鹿島の公式サイトで804文字に及ぶ感謝のメッセージをサポーターへ送ったが、その中でも悔しさを記した。「あのメッセージはかなり考えて、期日よりも1日、2日くらい送るのが遅れてしまいました。言葉ってすごく難しいですよね。文章だけでどうにかみんなに伝わらないかなと思って、すごく考えたんですけど。気持ちは本当にあの文章のとおりです。アントラーズのサポーターの方にうまく伝わってくれたらいいなと思っています」。感謝と悔しさが心に刻まれた3年間だった。

 一方、その間に『特別なクラブ』である古巣・柏が残留争いに巻き込まれていることも、もちろん知っていた。「正直、本当に厳しいところで戦っていたなというイメージで、自分もJ2で残留争いをしていたことがあるので、その辛さがすごくわかります」と昨季の戦いぶりを振り返る。そして迎えた2024シーズン終了後のオフ、仲間は古巣・柏への2度目の復帰を決断した。

「レイソルが厳しい状況にあるというのは、外から見ていて感じましたし、やっぱりその中でレイソルにもう1度声をかけてもらって、『自分がレイソルのために少しでも貢献できるなら』というところで決断させていただきました」

 4年ぶりの古巣帰還。自身初のJ1挑戦だった前回とは、立場も心境も異なる中での決断だった。

「前回レイソルに帰ってきた時は、どこかゴールというか、戻ってこれて良かったという思いがあったんですけど、今回は全然ホッとしていなくて。むしろ、これからの方が本当に厳しい戦いになるということをすごく感じています」

 始動から約2週間が経ち、トレーニングの中で柏には柏の良さ、鹿島には鹿島の良さがあることを実感した。ただ、鹿島での経験は、柏で必ず活きるという感覚もあった。

「レイソルで(今季始動から)2週間練習していますけど、今の雰囲気、空気感、今みんなが取り組もうとしているものを、多分1年間通してできれば、かなりいいものが出来ると思っています。(昨季は残留争いをしていても)鹿島と遜色ないものをすごく感じています。でも、人間って、やっぱりどうしても試合に出る出ない、自分が調子いい、調子悪いで、すごく空気が変わってしまうもの。鹿島にはそういうことを許さない全体の空気感がありました。鹿島にはやっぱり安定して上位に入れる空気感があったなと感じています。レイソルでも、少し悪くなりそうな時に今の空気感を思い出して、『何かに取り組む』とか、『何かに挑戦する』という意識のまま、1年間を通してトレーニングしていけるようにしたいです」

「サチ(戸嶋祥郎)だったり、マオ(細谷真大)、マツケン(松本健太)が『タイトルを目指す』って(新体制発表会で)言いましたけど、本気で目指すなら、みんなが想像している以上のパッション、情熱、気持ちを出していかないと、到底たどり着かないところだと思います。そういうところを自分がどんどん姿勢で示してやっていきたいです」

「(鹿島では)やはり日頃の練習が試合に出るんだなと、この年齢でもすごく感じることができました。練習のところから情熱を出していかないと、優勝するのは難しい。レイソルはここ数年、残留争いのところで、もがいていますけど、それを変えるために必要なのは、たぶん日頃の(トレーニングでの)パフォーマンスだと思います。サッカーが上手くなることだけじゃなくて、気持ちの部分を、選手、スタッフ、ファン・サポーターの方々が一緒になって、パワーを出して変えていかないといけないと感じています。鹿島での経験は、レイソルでもやっぱり伝えていかなきゃいけない。いくら(トレーニングを)やっても、やっても、タイトルは届くか届かないかわからないということを、やっぱり伝えなきゃいけない。自分もまだ味わったことないところ(優勝)に行きたいですし、本当にレイソルのみんなと、リカルド監督と共に成し遂げたいとすごく思っています」

 仲間は今年5月で33歳を迎える。『常に最高を更新したい』と言い続け、未だ成長意欲は衰えないが、キャリアの後半に入ってきたのもまた事実。今季はJ2時代の讃岐、岡山でも着用した背番号「19」を背負い、これまで培ってきた経験をすべて柏に捧ぐ覚悟だ。

「多分自分が何かを成し遂げる時には、やっぱりレイソルなのかなと。自分もそうイメージしてるので、それが本当に実現できたら最高だなと思います。ただ、レイソルに帰ってきて、しっかり結果を出して『集大成』を迎えられれば、1番良いシナリオだとは思いますけど、人生はたぶんそんなに甘くないと思います。もう本当に『自分にできること』を、ひとつ、ひとつ、やっていこうと思っています。気負いすぎず、自分のプレーをやれば、必然とそうなると思うので。しっかり“自分”を出していこうかなと思っています」

 気負わず、自然体で、自分らしく。そして、感謝とともに。仲間隼斗は鹿島で宿した“魂”を柏レイソルのために灯す。


【動画】鹿島アントラーズ在籍時のMF仲間隼斗プレー集





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