ネクタイを10本まとめ買いしたお客さん…「お間違いでは？」確認電話の返答に感激

「5年前、無名だった僕らの商品を10本もまとめ買いしてくださったお客様。驚きと不安から思わずTEL。『お間違いではないですか？』と失礼なことを言ってしまった。すると…」

【写真】1本1本、手作業で丁寧にネクタイを仕上げます

5年前にネクタイを10本まとめ買いしたお客さんとのエピソードがX（旧Twitter）で話題になりました。

投稿したのは、ネクタイのオリジナルブランド「SHAKUNONE（笏の音）」を手掛ける、株式会社「笏本縫製」の代表・笏本達宏さん（＠shakunone）。笏本さんたちが手掛けるネクタイが世の中に知られていなかった頃、ネクタイをまとめ買いしたお客さんと出会ったとのこと。初めてのお客さんで、ネットで10本も購入されたことに驚き、思わず「何かの間違いではないか」と確認するため、お客さんに電話を掛けたといいます。

町工場社長が救われたお客さんの言葉とは？

「当時、小さな町工場が作ったまだ無名で知名度もない私たちのネクタイ。ネットでまとめ買いされた初めてのお客さんにお電話をして、『ご注文は本当に間違いではないですか？』と確認してしまいました。失礼な言葉だったと反省しつつも、そのときの私たちは、技術や品質には自信があったものの、未来も見えず、漠然とした不安の中で必死にものづくりをしていたんです。それに対し、お客様は『一目惚れしたから買いました。自信を持ってください』と温かい言葉をかけてくださって。その言葉は、私たちにとって何よりの救いでした」

そんなお客さんの言葉を聞いた時、胸がいっぱいになり、思わず涙が出そうになったという笏本さん。「この商品を作ってよかった」「これからも続けていこう」と心の底から思えた瞬間だったとか。お客さんには、こう感謝の気持ちを伝えたそうです。

「電話では『ありがとうございました。喜んでもらえるようお仕立てをしてお届けします』とお伝えしました。また、商品の発送時には一つひとつ丁寧に包み直し、手書きの感謝状を添えました。直接お会いすることはできませんでしたが、お客様の言葉がどれだけ私たちを励ましてくれたかを、精一杯お伝えしたつもりです」

ネクタイに「一目惚れ」してまとめ買いしたお客さん、今もご縁は続いている

当時無名だった笏本さんたちが手掛けたネクタイに「一目惚れ」してまとめ買いしたお客さん。今でも時折購入されているとのこと。特に贈り物として購入されることが多いそう。この5年前の出会いで今もご縁が続き、笏本さんの気持ちを奮い立たせれくれるといいます。

「私たちの商品を大切な方へのプレゼントに選んでいただけることに感謝しかありません。そのたびに初心を思い出します。この出会いは、私たちのブランドにとって『自信を取り戻すような瞬間』だったように思います。当時はまだ無名で、商品を作ることに精一杯で、自信も余裕もなかった私たちに、『あなたたちのものづくりは間違っていない』と教えてくださった出来事です。このお客様がいなければ、今の私たちはなかったかもしれません。それほど心に深く刻まれた、かけがえのない出会いです」

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笏本さんたちのものづくりは、2025年から新たに「日本一前向きになれるネクタイ」という思いを軸にし、1本1本、職人の手作業で丁寧に仕上げ、素材やデザインには徹底的にこだわっているとのこと。クールビズや、オフィスカジュアルが進む中で、それでも結ぶ人の魅力を引き立て、誰かに自慢したくなるような一張羅のネクタイをお届けしているそうです。創業から56年、受け継がれてきた技術を大切にしつつ、時代に合った新しい挑戦も行っていくといいます。

（まいどなニュース特約・渡辺 晴子）

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