関西圏では当たり前の「区間快速」が東の首都圏には存在しない? 東西の気づきにくい違いは列車種別からも見えてくる

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2025年01月18日 12:00  まいどなニュース

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快速区間が限られる京浜東北線の快速(vacant/stock.adobe.com)

鉄道事情に関して、首都圏と関西圏との間にはさまざまな違いが存在します。列車種別の観点から言えば、差異は少なくなっていますが、まだJRにはあります。日頃は意識しない東西の列車種別の違いについて、見ていきたいと思います。

【写真】列車種別に関するトリビアが詰まった本

区間快速がないJR東日本

JR東日本が管轄する首都圏エリアには数多くの「快速」が設定されています。近年は京葉線の通勤快速が廃止されるなど減少傾向にありますが、「通勤快速」「特別快速」「中央特快」など、まだまだ想像以上にバリエーションがあります。

しかし、なぜか「区間快速」はありません。「区間快速」は途中駅までは快速運転、途中駅から各駅に止まる快速のことです。

存在しない理由を先に述べると、首都圏では設定当初から快速の各停区間が存在するのが一般的だからです。ここでは「各停区間」の定義を「5駅以上連続停車」とします。国鉄民営化後に登場した京浜東北線の快速は山手線重複区間以外はすべて各停区間です。

1985年の埼京線開通時に誕生した池袋〜川越間の快速は設定当初から大宮〜川越間が各停区間でした。2019年11月ダイヤ改正では中浦和、南与野、北与野にも止まり、各停区間は武蔵浦和〜川越間に拡大しました。

このように設定当初から各停区間が存在する快速を「区間快速」に変えると、利用者の間に混乱が生じることでしょう。

また、昨今行われている通勤快速の廃止や快速停車駅の増加を見ると、新たに快速の下位種別を設定することも考えづらいです。

区間快速が増殖中の関西圏

一方、関西圏では区間快速をよく見かけます。阪和線や大和路線では長年にわたり、区間快速は快速のサブ種別として機能しています。近年では2020年3月ダイヤ改正にて、JR宝塚線に区間快速が登場。関西圏では区間快速が増殖中といった感じです。

関西圏にも国鉄時代から快速が存在しますが、首都圏とは少し事情が異なります。たとえば、大和路線(関西本線)の快速を例に挙げてみます。登場した1961年当時の停車駅は湊町(現JR難波)、天王寺、王寺、郡山、奈良で、各停区間は存在しませんでした。

大和路線に区間快速が新設されたのは1989年です。同時に、国鉄時代から大阪環状線に乗り入れる「快速」が「大和路快速」に変わることに。現在も大阪環状線大阪〜弁天町〜天王寺間では通過駅が存在します。

一方、区間快速は大阪〜弁天町〜天王寺間も各停区間のため、大和路快速とは区別されています。

また、阪和線では国鉄時代から区間快速が存在し、全区間にわたって快速運転をする快速の下位種別として登場。区間快速は登場時から今日にいたるまで各停区間が存在します。ちなみに、阪和線の主力種別である紀州路快速は2011年3月から原則として日根野〜和歌山間の各駅に停車するようになりましたが、種別名に変更はありません。

一方、関西圏では首都圏で見られる「特別快速」や「通勤快速」はありません。「特別快速」の代わりに「新快速」がある、といった感じです。

このようにJRでは、はっきりと東西で異なる快速文化が存在します。この文化はそう簡単には変わらないことでしょう。

2024年12月に河出書房新社から出版した『列車種別探求読本』は、このような列車種別に関するトリビアが詰まった本です。お手に取って頂ければ幸いです。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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  • JR東海は特別快速・新快速・快速・区間快速・快速みえとバリエーションだった気がする。セントラルライナーは廃止されたっけ?
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