愛猫が思わぬ病気であることが分かると、飼い主は向き合い方に悩むものだ。うめのこんぶさん(@umenoconbu21)は愛猫ししまるちゃん(通称:しーこちゃん)が脳腫瘍であることを知り、絶望。
【写真】脳腫瘍の影響で歩行が困難に…自力で歩こうとする姿にエールを送りたくなる
だが、セカンドオピニオンも受けながら“最大限の治療”を行うなど、二人三脚で病気と向き合ってきた。
ペットショップで売れ残り扱いされていた猫をお迎え
出会いは、2012年の冬。ふらっと入ったペットショップで、しーこちゃんは“売れ残り”として扱われていたそう。ショーケースの隅でボーっと店内を見ている姿に心が痛み、愛猫として迎えた。
すると、自宅でしーこちゃんは意外な行動を見せる。お店にいた時とは別猫のように颯爽と家の中を歩き回ったのだ。
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「ソファーやテーブルに飛び乗り、まるで昔からいた猫ちゃんのようにすぐ馴染みました」
温厚で物怖じしないしーこちゃんは来客にも積極的に挨拶し、スキンシップも許可。部屋の掃除を業者に頼んだ時には、ソファでリラックスしていた。あまりにも落ち着いていたため、ぬいぐるみと間違われたほどだ。
「しーこさんに出会う前、私は人間を辞めていた時期があって…。腐っていた私を救ってくれたのは、しーこさん。神のような存在です」
後ろ足がふらついて…愛猫の「脳腫瘍」が発覚
穏やかな生活に変化が生じたのは、2023年の秋。寝起きの時に伸びをしたしーこちゃんの後ろ足がふらついた。寝起きだし、しーこも年だから…。その時はそう思ったが、やがて後ろ足は毎日、ふらつくように。
さすがに不安が募り、近所の動物病院へ行くも詳しい検査ができず、大きな病院を紹介された。紹介先の病院でMRIを撮ると、脳に異常があることが判明。治療を開始したが、3カ月ほど経っても症状は良くならなかった。
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「そこで、セカンドピニオンを受けました。すると脳腫瘍が判明して、すぐ手術…。異常が分かってから正しい病名が判明するまで5カ月もかかってしまいました」
もっと早く適切な治療ができたら…。しーこちゃんへの申し訳なさと後悔がこみ上げ、飼い主さんはしばらく泣く日々を過ごしたという。
幸い手術は無事に成功。だが、小脳は損傷しており、脳幹付近まで広がった腫瘍は取ることはできなかった。
「後遺症が残り、今後は寿命を引き延ばす治療しかできないと言われました」
術後の病理検査では、しーこちゃんの腫瘍は一般的なスピードよりも広がるのが早いことが分かったそう。実際、手術から4カ月後、しーこちゃんの脳腫瘍は手術前と変わらない状態になった。
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そこで飼い主さんは獣医師と相談し、ダメ元で放射線治療を選択。隣県の動物病院へ通った。
脳幹付近の腫瘍は放射線治療でも倒すことが難しかったが、嬉しい変化はあった。しーこちゃんの体調は良い方向へ向かっていったのだ。
「歩行困難と右目の負傷が残りましたが、元気が出て、病気になる前より、よく食べてくれるようになりました」
“最大限のケア”をしながら二人三脚で病と闘う
ただ、取り切れなかった脳腫瘍の影響を痛感させられることはある。2024年12月中旬から、しーこちゃんは歩行困難が顕著になり、抱っこをしてもらいながら移動することが増えてきた。
「MRIで、また腫瘍が広がってきていることが分かりました。そのせいか、右側に麻痺が現れ、お口にご飯を詰まらせてしまうこともあるので食後は歯や口周りを入念に拭いています」
今後、動けなくなった場合、どうやってトイレを快適にさせてあげようか…。そう考えながら、飼い主さんはしーこちゃんのニャン生に寄り添う。SNSでは二人三脚の闘病生活に温かい声援が多く寄せられている。
「一緒に胸を痛めて泣いてくれたり、気持ちや事の背景を理解した上で応援してくれたりする方が多くて嬉しかったです」
愛猫の闘病では心だけでなく、金銭的にも苦しくなるもの。しーこちゃんの手術を経験し、飼い主さんはペット保険のありがたみを痛感したという。
「治療費は総額で200万円以上かかりましたが、70万円は保険適用されたので助かりました。無謀な願いかもしれませんが、ペット医療費の軽減にもっと目が向けられる社会になってほしいです」
生きたいと願うしーこちゃんと生きてほしいと祈る飼い主さん。2人の穏やかで温かい日常がこの先も長く続くことを心から願う。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)