中井卓大は正念場...守田英正ら日本人MFがスペインで活躍するためには何が必要か

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2025年01月20日 07:10  webスポルティーバ

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リーガ移籍候補を探る(3)〜ボランチ編

 スペインのラ・リーガで活躍できる日本人選手をポジションごとに探ってきた。今回はボランチ編だ。

 人材がいないわけではい。

 スペイン人関係者のなかでも、かつての日本代表MF長谷部誠はとても評価が高かった。ブンデスリーガ、フランクフルトでは抜群のユーティリティ性を発揮。突出したインテリジェンスで、いるべき場所、いてはいけない場所を見抜き、常に味方にアドバンテージを与えるポジショニングで、チーム全体を好転させることができた。基本的スキルも高かった。

 スペインでは、こうしたチームを動かすようなMFが評価される。

 同時に、そのタイプのMFの宝庫でもある。

 現在のスペイン代表だけでも、ロドリ(アトレティコ・マドリード→マンチェスター・シティ)、マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ)、マルク・カサド(バルセロナ)、コケ、パブロ・バリオス(アトレティコ・マドリード)、そしてセルヒオ・ブスケッツの再来、マルク・ベルナル(バルセロナ)と、次々にハイレベルな選手を輩出している。他にも、バルサのトップでは弾かれたオリオル・ロメウ(ジローナ)、イライシュ・モリバ(セルタ)、レアル・マドリードのトップから外れたダニ・パレホ(ビジャレアル)、アントニオ・ブランコ(アラベス)と才能豊かなMFがごろごろいるのだ。

 はたして、日本人MFはそこに割って入れるのか?

 出鼻を挫くようだが、難易度はかなり高い。

 かつて、ハリルジャパンで新鋭の代表MFだった井手口陽介(ヴィッセル神戸)が2部クルトゥラル・レオネサに在籍していたが、わずか5試合出場、先発は1試合に終わった。そこで「使い物にならない」と早々に見切りをつけられてしまった。彼のように猛烈にボールにアタックする選手は、下部リーグにはありあまるほどいる。日本で言う「力強さ」はアドバンテージにならないのだ。

 一方、森保ジャパンでも定位置をつかんだことのある橋本拳人は2部ウエスカで2シーズン、ポジションをつかみ取っている。堅実な守備やダイナミックな攻撃は高い評価を受け、その成果で1部昇格を狙うエイバルにステップアップした。しかし戦力レベルが一段上がったところ、なかなかレギュラーをつかめないまま、結局、古巣のFC東京に戻る決断をした。

【今季が正念場の中井卓大】

 7年に渡ってスペインでプレーしたMF柴崎岳(鹿島アントラーズ)は、「健闘した」と言えるだろう。ひとつのプレーを切り取ると目覚ましく、1部時代はバルサ戦でゴールして話題になった。しかし、主戦場は2部で、デポルティーボ・ラ・コルーニャ時代はチームを3部に落としている。監督次第で波があり、ボランチか、サイドか、トップ下か、ポジションを確定することができなかった。

 レアル・マドリードのBチームであるカスティージャから3部のアモレビエタにレンタルされている中井卓大も、適性のポジションがわからないMFだろう。技術的な水準は高いが、サイドで起用するにはスピードがないし、トップ下では圧力に負け、ボランチでは守備に弱さが出る。攻撃的ボランチとして定着できるか。今シーズンは正念場だが、昨年11月からベンチが定位置だ。

 こうして考えると、1部がどれだけ難関かわかるだろう。

 一番適性がある日本人MFは、守田英正(スポルティング)だろうか。

 守田は森保ジャパンでも、最近は戦術そのものを司っている。もともとスキルは高いし、プレーメイクに優れていたが、チーム全体を動かすような存在になった。ポジショニングに優れることで、たくみにセカンドボールを回収し、押し込むことができる。混乱を生じさせたところで、得点スペースにも入り込む。変幻自在のMFだ。

 それはポルトガルで磨いた技術だろう。昨シーズンはポルトガルリーグ制覇も経験。その経歴は伊達ではない。今シーズンもルーベン・アモリム監督が移籍するまでは国内リーグは開幕以来、11連勝を飾り、チャンピオンズリーグでも一時は3勝1分けで、マンチェスター・シティからも勝ち星を挙げる殊勲者だった。

 守田はポルトガル語も習得しており、その点でもスペイン挑戦にも支障がない。スペイン語と非常に近く、少なくとも彼がポルトガル語で喋れば、意味は通じ、コミュニケーションの問題をクリアできる。対戦相手の力量が1、2ランクは上がることになるが、活躍できる見込みはあるだろう。

 言うまでもなく、遠藤航(リバプール)も有力なMFだ。

「遠藤は守備と攻撃を結び付けられるMFで、トランジションでトップクオリティを見せる。ポジショニングがよく、インターセプトを得意としている。ただ、カットを狙いすぎるあまり、時にファウルにつながり、そのコントロールは課題だ」

 スペインの目利きで、レアル・ソシエダの強化部長やBチーム監督などを歴任してきたミケル・エチャリは言うが、遠藤も十分にラ・リーガでできるだろう。ただし、リバプールに在籍するだけに、現実性は低い。

 そこで最後に挙げたい名前が佐野海舟(マインツ)だ。攻守両面でパワー、スピード、スキルを同時に出せるMFで、チームに推進力を与えられる。将来的にはプレミアリーグでプレーすることになりそうだが、ラ・リーガでも適性はある。ボランチとして守備で弱点にならず、攻撃でプラスを与え、起用法が見えるMFだ。

(つづく)

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