バスケ日本代表の成長株・ジェイコブス晶がNCAA2年目で探求するスタイルとは?

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2025年01月20日 07:10  webスポルティーバ

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前編:男子バスケ・ジェイコブス晶インタビュー

 NCAAディビジョンIのハワイ大に入って2年目のジェイコブス晶。昨季も後半はローテーション入りしていたが、今季はさらに出場時間が増え、チーム内での役割も大きくなるなか、自分のスタイルを見つけ、選手としての進化を続けている。

 1月9日のカリフォルニア大リバーサイド校との試合では、22分出場して12得点をあげたのに加え、勝負どころではディフェンスでの貢献も大きかった。その2日後、1月11日のカリフォルニア州立大フラトン校との試合では自己最長の31分間出場し、14点、4リバウンドの活躍で、再び勝利に貢献した。

 ハワイ大のヘッドコーチ(HC)、エラン・ガノットは、ジェイコブスについて「まさに進化という言葉がぴったり。ひと晩で変わるわけではないけれど、確実に成長を見せている。シュート力は前から持っていたけれど、前の試合(1月9日のカリフォルニア大リバーサイド校との試合)では、勝利につながるプレーをしていた。タフなプレーを決め、ディフェンスでもチームを助けていた」と称賛した。

 ジェイコブスにガノットHCの言葉を伝えると、小さくガッツポーズ。シューターとして知られる彼だが、ハッスルプレーやディフェンスなど、シュートのようにその日の調子に左右されない部分を、特に心がけているのだという。

 そんなジェイコブスに、前編ではNCAA2シーズン目の手応えや現在心がけていることについて、後編では去年夏のパリ五輪での経験について、そして1月11日の試合で対戦したU19日本代表時代のチームメイト、ロロ・ルドルフなどNCAAでプレーする日本人選手仲間のことや、後に続く選手たちへのアドバイスを聞いた。

【「ハッスルプレーをすれば自分のエネルギーも上がってくる」】

──2年目のNCAAシーズンが始まって16試合(アメリカ時間1月11日時点)を終えましたが、手応えはどうですか?

「いい試合と悪い試合の差がありすぎるのは、ちょっと(課題と)思っていて。シュートが入る、入らないというより、最初の何試合かで、細かいハッスルとか、毎試合できることをやっていなかった試合が多かったと思うんですね。リバウンドとか、ハッスルプレーがちょっと少ないなと。

 最近はもう少し集中して活躍はできるようになりました。ハッスルプレーをすれば自分のエネルギーも上がって、シュートが入るチャンスがもっと上がる。そういうことを、もっとうまくやれると思います」

──今季のチームは、新しく入ってきたシニア(4年生)やグラジュエイト(出場資格を持った大学院生)の上級生たちが大半だそうですね。その点、2年生といえども、昨季からこのチームでやっているジェイコブス選手へのコーチからの期待も大きいように感じました。

「今は1月になってみんなシステムに慣れたんですけど、シーズン序盤は半分以上の選手がチームのシステムをわからないままプレーしていた感じでした。そういうなかで1年間、このシステムでやってきたので、自分がリーダーシップを取って、いろいろ教えながらやっていました。今はもう、結構みんな慣れてきましたけれど」

──今季、チーム内での役割は何ですか?

「もちろんシューターっていうのはあるんですけど、ウイングとしてはちょっとサイズがあるので、インサイドのスコアリングも増やしたりしています。あと腕が長いので、ディフェンスを頑張るところも期待されていますね。

 あとは、やっぱりチームにエネルギーを与えること。僕はコートにいても、入ってなくても、チームを応援する好きです。それは期待されてるというより、僕自身が好きなので、できるだけ頑張ってやっています」

──昨シーズンは、3番(スモールフォワード)をやるにはスピードが足りなくて、4番(パワーフォワード)をやるには力が足りないと言っていましたが、今シーズン、その課題はどうですか?

「だいぶよくはなってきていますが、自分がいたいところ(目標とする場所)にはまだいない。ウェイトトレーニングだけでなく、試合の経験もすごく大きいと思うんですよ。

 3番だと(マッチアップする相手は)ほとんど速いガードですが、まだスピードが足りなくても、慣れると早めに動いたり、次の(動きへの)アジャストメントがわかるようになるので、そういうところではすごくよくなっていると思います。

 力のほうは、相手の4番にはそこまでやられてはいないと思います。これは、夏の間に日本代表の活動で大学より強い相手と対戦したことで、すごくよくなったと思います」

【「相手が強くても、毎試合同じマインドセットで」】

──去年はまだ身長が伸びていると言っていましたけれど、今もまだ伸びているんですか?

「たぶん、止まっていますね。(大学の)ウェブサイトで6フィート10インチ(6-10/約208cm)って書いてあるんですけど、絶対違う。夜はよく寝て、朝一番で測っても、ギリギリ6-9(約206cm)だと思います。6-10はない(笑)」

──6-9というのはシューズあり? なし?

「たぶん、シューズありで6-9かな。日本で測ったときが、シューズなしで203cmくらいでした。最近は測ってないんですけど、たぶん伸びてないです」

──体重はどうですか。

「体重はいい感じなんですけど、夏からはちょっと下がっていますね。今98、99kgぐらいで、もう少し上げようと思っているんですけど」

──シーズン中は練習も試合もあるから落ちてしまう?

「そうですね。今は98、99kgぐらいをキープできているので、春夏の間にまた上げようと思っています」

──今シーズンはアトランティックコーストカンファレンス(ACC)のノースカロライナ大とも対戦して(11月22日)活躍もしたと思いますが(試合は69対87で敗戦も23分の出場で13得点、4リバウンド。3ポイントは6本中3本成功)、強豪カンファレンスのチームとやってみてどうでしたか?

「相手は強いんですけど、僕のなかでは、毎試合同じように入ろうとしています。相手がノースカロライナでも、自分はいつでも自分が活躍できると信じているんで、そこまで特には考えてないですね。今日は自分が活躍するっていうことしか考えていないです」

──強い相手と対戦するというよりは、いつもの相手っていう感じですか?

「そうですね。そういうマインドセットで」

──実際に戦ってみてはどうでしたか?

「実際に戦っても、自分も活躍できるし、自分たちも強いチームだと思っています。相手は、名前としては強い。でもやっぱその名前を聞いただけで、『もう、あきらめよう』っていうわけじゃない。相手がレイカーズであっても、みんな、勝つというマインドセットで入っていると思います。

そういう試合は、もちろん楽しいですよ。やっぱり観客もすごく入るし、みんな見ているので。そういう場面では楽しいですけど、試合に入ったときは、前に誰がいても自分たちのことに集中しています」

つづく

●Profile
ジェイコブス晶(じぇいこぶす・あきら)/2004年4月13日生まれ、神奈川県横須賀市出身。生後間もなく渡米。その後アメリカで過ごしバスケットボールに打ち込み始めるが、新型コロナウイルスの感染拡大で高校などの施設が使用できなくなったことを受けて、2020年末に日本へ。横浜ビー・コルセアーズのアンダーカテゴリーに加入すると2021年9月にはトップチームの特別指定選手として契約を果たした。2022-23シーズンにはオーストラリアのNBAグローバルアカデミーに所属し、2023年にNCAAのハワイ大に入学。その一方で日本代表メンバー候補にも選出され、パリ五輪にはチーム最年少の20歳3カ月でメンバー入りを果たし、予選リーグ全3試合でプレーした。

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