大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。お正月に帰省したら、今年36歳になるのにお年玉をもらっちゃいました。その上、食べて寝てを繰り返していても誰にも叱られません。実家って最高です。ですが、地元に銀座はないので、しばらくは東京で頑張っていこうと思います。
その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信させていただいております。
◆20代女性を前に暴走する中年
「これってオレの話だよね!?」と怒られそうなので、たっぷりフェイクを混ぜてお話しますが、20代前半女性に恋している50代男性は、どうしてこうもおかしな方向に逸脱していくのでしょうか。
いえ、女だって一般的には若い男をより好むので、おじさんが20代の女性を好むのだって自然ですし、気持ちはすごくわかります。わかるのですが、お買い物感覚で20代女性を嗜好するのではなく、娘でもおかしくない年齢の女とタメみたいな感覚で恋愛できちゃうのってやっぱりどう考えてもヤバいです。
どう考えてもヤバいと確信したのは、私のお客様で50代バツなし独身の男性が、20代の女の子に「就職祝いのプレゼント」として、庭でとれた赤ピーマンを持参して来店する、という珍事(?)があったから。カブトムシとかヤギとかではなく、人間の女の子にですよ。本当に意味が分からないです。ちなみに私には茹でた枝豆をくれました。
今回は、赤ピーマンのおじさんのエピソードを交えつつ、「20代前半女性に恋している50代男性のヤバさ」について解説したいと思います。
◆頂かれないために覚えておいて欲しいこと
2023年11月にお笑いコンビ・ハライチの岩井勇気さん(37)と、タレントの奥森皐月さん(19)が入籍を発表。これに対し、X(旧Twitter)などのSNSでは「気持ち悪い」「ロリコン」「(奥森氏が)可哀想」といったネガティブな意見も目立ちました。
家族でも友だちでもない他人の結婚なんて割とどうでもいいし、19歳なんて膝もかかともまだつるつるのピカピカで、仮に転んだとしてもいくらでもやりなおせるじゃないですか。36歳バツイチ独身の私の身の上の方がよっぽど心配なんですけど。
そんなことはさておき。ネガティブな意見の多くは女性から寄せられていたようですが、一方で男性の多くはというと「恋愛に年齢差は関係ないよね」と、楽観的であったと記憶しています。
恋愛に年齢は関係ないさ、と言う男性が20歳以上年上の相手との恋愛ではなく、当然20歳以上“年下”の相手との恋愛を想定して「関係ないさ」と前向きに考えているであろうことは想像に難くない。繰り返しになりますが、おばさんだって、一般的には若い男の方を好むので。
こんなことを言うとまたわらわらとおじさんが湧いてきて怒り出しそうな気がするのですが、キビシイことをあえて言ってくれる人と、黙ってニコニコしている人のどちらが親切かというと、時と場合によっては前者の方がより親切であるので、あえて本当のことを言うと、年齢差はすごくネックになるし、わざわざ無料でおじさんと恋愛したい女はいません。頂き女子りりちゃんで懲りてください。
20代前半の女の言う「年上の男性が好き」ですが、これはあなたを気遣っての発言であって、ここでいう年上の男性なんてものは、実際のところはぜいぜい26歳から28歳までに限定されます。
加えて、「男の価値は年齢を重ねるごとに増す」なんてことはどうせ男たちが言い出したのだろうけれど、これは男はおじさんになった途端に魅力が倍増し革ジャンの似合うちょい悪になってモテまくるとかいう話ではもちろんなく、年齢を重ねるごとに増すのは主に収入であるので、30代になっても給料据え置き、外階段ボロアパート住まい、ゆでたパスタに塩ふって食ってるあなたはちゃんと絶望しましょう。
以上を踏まえて、赤ピーマンのおじさんのエピソードに移りたいと思います。
◆赤ピーマンがエサとして妥当なワケがないだろ
さて、赤ピーマンのおじさんですが、当人に「これってオレの話だよね!?」と怒られたり、泣かれたりしたくないので、たっぷりとフェイクを混ぜてお話します。よって、これは5年前のお話、とさせていただきます。
ある日のことです。いつも通り銀座に出勤してのんびり待機していたところ、私が20代の頃からお世話になっている50代男性のお客様がお見えになりました。素人っぽい女の子をお好みの男性でしたので、彼のお席には22歳の現役女子大生をつけることに。
よく遊ばれる方でしたら当然ご存じのことだと思いますが、クラブは永久指名制です。私のお客様が誰と遊んで誰にシャンパンをご馳走しようと、売り上げは担当ホステスである私が頂くというわけです。
私の目論見通り、彼は女子大生を気に入り、以降は月に1、2回程お顔を見せてくださるようになりました。しめしめ……と喜んでいたその折、彼は「就職祝いに」と、内定の決まった女子大生に赤ピーマンを持参して登場したのでした。
彼女は「パプリカですか? 嬉しい」と、嬉しくなくてもちゃんとお世辞の言える賢い女の子です。それに対し、50代独身は「パプリカじゃなくて赤ピーマンだよ」とはにかむ始末。はにかんでんじゃないよ。
その後も「お腹いっぱい食べられる食堂を見つけたから」と、彼女を頻繁にランチ(同伴ではなくランチですよ?激怒)に誘ったりと、50代独身の奇行は続きます。
彼が彼女と同年代ならまだ許されるかもしれませんが、50代の男が今を時めく20代の女をデートに誘うってときに食堂をチョイスしますか?しませんよね。ましてや赤ピーマンです。20代の女に差し出せるものを一切差し出さず、その上「勝算あり」みたいな態度なのってどうかしてますよ。
とはいえ、男性の暴走を見守ったり、ときどき「お前、その辺にしとけよ」と水をさしたりするのが我々のお仕事です。手綱はこっちがちゃんと握っていますからご安心ください。
◆20代とタメみたいな感覚のヤバ男
これは赤ピーマンのおじさんに限らずですが、20代とタメみたいな感覚で付き合える30代以上のおじさんおばさんってヤバいです。20代とは話がイマイチかみ合わないなっていうのがノーマルで、それは世代間ギャップよりも、互いに立っているステージが異なることの方が要因としては大きいと思う。キャリアや貯金、家族に対する考え方が20代と30代では全く異なりますから。
20代じゃないのに20代と話がかみ合うのだとしたら、それはあなたのライフステージに20代以降全く変化がないからじゃないかな。それって相当ヤバいですよ。
あとこれは気が付いてしまったのですが、色々乏しいけど主にコミュニケーション能力が乏しく、同年代コミュニティ内で仲間外れになっていたり、同年代と恋愛が出来なかったりする男女ほど年下ないし年上の方がくみしやすいと考え、あえてそちらのコミュニティに接近していく傾向があるように感じます。
◆「貢いでいるみたいでイヤだ」とか言ってる場合じゃない
20代の女の子との恋愛はお買い物であると割り切って、エサは金目のもの以外にはありえないと心得るべきです。娘でもおかしくない年齢の女とタメみたいな感覚で対峙してはいけません。
ジルスチュアートのハンドクリームなんかを真剣な顔で選んでいるそこのあなた。あなたに言っています。え? だって貢ぐのはイヤなんだもんですって? は、はあ……そうですか。
受け取るものがジルスチュアートのハンドクリームであれ赤ピーマンであれ、それが嬉しいのは愛する人から受け取るから。皆さんの場合ですと「好きじゃない人からもらっても嬉しいもの」を贈るのが正解です。もっとちゃんと質屋に持って行っても大丈夫なやつにしなさい。
◆36歳は“ちょうどいい”扱いするジジイ
今回は、赤ピーマンのおじさんのエピソードを交えつつ、「20代前半女性に恋している50代男性のヤバさ」についてお話しました。結局おじさんは女子大生から相手にされないことに拗ねたのか「やっぱりお前くらいがちょうどいいわ」と、私にときどき茹でた野菜などを持ってきてくれます。
妥協したらお前でもまあいけんこともない、という本音が嗅ぎとれすぎる「ちょうどいい」に対してはムカつくし、私としては全くちょうどよくないのですが、「ありがとう」とニコニコしていれば銀座とおじさんの心が平和なのでニコニコしておきます。
<文/みずえちゃん>
【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989