「109のアパレル店員時代、母子の霊をお祓いして…」話題の“ギャル霊媒師”が明かす半生

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2025年01月20日 16:01  日刊SPA!

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―[インタビュー連載『エッジな人々』]―
「マジでこの悪霊ヤバいんで、除霊しておきま〜す!」

 綺羅びやかなデコ爪の両手で柏手を打ち、斜めに時空を切る……。嘘のように相談者の顔が晴れた。ギャルで、霊媒師。まるでマンガキャラのようなスピリチュアル界隈の新アイコンの素顔に迫った――。

◆取材早々“能力”全開!?

 日焼けした小麦色の肌に明るい色の盛り髪、派手なメイクにミニスカート──。1990年代後半から’00年代、東京・渋谷には「平成ギャル」たちが闊歩していた。

 “ギャル霊媒師”という聞き慣れない肩書の飯塚唯氏も、そんな一人だ。

 他の追随を許さぬ圧倒的な霊視と除霊の能力を武器に、’23年11月にYouTubeチャンネルを開設すると1年足らずで登録者数が40万人を突破。大物YouTuberらと数々コラボし、3000万回以上も再生された動画も。オカルトブームをけん引する話題の霊媒師の真の姿を、ギャルの聖地・渋谷で探った。

──やはり、渋谷はホームタウン感がありますか?

飯塚:ただいま!って言いたいところだけど……。

 取材場所のこのマンション、めっちゃヤバくないですか? この部屋にはいないけど、向かいの部屋がヤバい! さっきも廊下を徘徊している男性の霊が見えたし。

──えっ!? いきなり能力全開ですか! ちなみに、ここにいる編集者3人のうち、一番“憑いてる”人は誰ですか?

飯塚:憑いてる人はいないけど、(女性編集者を指さして)心配なのは彼女。呼吸が浅く、自律神経が乱れています。たぶん寝具が合ってないせいで睡眠がしっかりとれていないので、マットレスを替えたほうがいいですね。

 それと、臓器の背中側が冷えて動きが鈍くなっているので、今から気を送りますね。

◆曾祖母の代から続く霊媒師の家系

──霊視で体調までわかっちゃうんですね!? 早くも能力の片鱗を見せつけられましたが、霊媒師になったきっかけは?

飯塚:ウチはルーツが東南アジアにある霊媒師の家系で、ひいおばあちゃんが初代、おばあちゃんが2代目。霊媒師は自分の身を顧みず、命懸けで闘う覚悟が必要です。

 本当は母が3代目を継ぐはずでしたが、先代の姿を間近で見て怖さを感じて辞退したんです。それで私が3代目を継ぐことになり、15歳から精神力を鍛える修行を始めました。ただ、当時は修行中の身なので、霊媒師であることは公言しなかったんです。

──もともと、ギャルの憧れの的として有名な109のショップ店員だった、と聞きました。

飯塚:“ギャル霊媒師”と呼ばれる前から、そもそも私はギャル。

 18歳のとき、ギャルの登竜門・109のアパレル店員になったんです。4人の採用枠に応募が400人の狭き門を突破するため、店のコンセプトに合わせて、真夏なのにファーのベストを着て面接を受けました(笑)

 洋服の知識はゼロでしたが、ギャルはとにかく気合! 熱意だけで合格したようなものです。

◆「マルキューの江原さん」として有名占い師に

──正体を隠していたはずが、“ギャル霊媒師”として知れ渡ったそうで。

飯塚:あの頃の109は4階の非常階段に幽霊がよく出るといわれていて、引き寄せられるように、私が勤める店がまさにその真横で……。

 ある日の営業中、地震でもないのに突然、飾ってあったディスプレイがバタバタと落ちてきて、お客さんは全員逃げ出すわ、店のスタッフはパニックになるわで大騒ぎになったんです。

 ただ、私には洋服のラックの裏に、母子の霊が見えちゃってた。みんな逃げ出して人目もなかったので、「今だ!」と手刀を斬ってお祓いしました。

 ところが、遠目から副店長がその様子を見ていて、「え!? 今、何してたの?」ってツッコまれて。霊媒師だと明かしたら、今度は他の店員が「ギャーッ!」と驚いてしまったんです。

──騒動はそれで収まったんですか?

飯塚:それが109の店員の間で、怖いくらいよく当たる占い師がいると噂になって……。当時、テレビ番組『オーラの泉』の江原啓之さんが大人気で、“マルキューの江原さん”とあだ名を付けられました。

 お昼休みをとるスタッフルームでは、「今日、マルキューの江原さんが来る」と、占ってほしい店員が私を待っていたり、業務で各店舗の売り上げを聞きに行っても「私の運気、どうですか?」「彼氏とケンカしちゃって。どうすればいいですか?」と逆に聞き返されたり。

 憧れの109で働いているのに、服を売ってるんだか、占いをしているんだかわからない日々でした(苦笑)

◆老舗占い店で頭角を現しテレビ出演するも……

──その後、老舗の人気店「占いの館・渋谷本店」で占い師として頭角を現したそうですが。

飯塚:渋谷中に私の噂が広まったらしく、スカウトされたんです。

 ありがたいことにすぐにお客さんがついて、「ギャル霊媒師」の肩書と霊媒師家系の3代目という出自が後押しになったのか、新春特番の『さんまのまんま』(フジテレビ系)など、多くのテレビに出演しました。

 でも、2年ほどたつと「霊」や「オーラ」という言葉がNGになり、用意された衣装を着て、台本通りにやらなくてはいけないように……。

 でも、それは私じゃない。以降は、出演オファーをすべて断りました。非科学的なオカルトに賛同するような演出は、コンプライアンス的にダメだったようです。

◆霊媒師なのに「霊視はNG」

──テレビから心霊関係の番組が消えていく一方、近年では「占いバラエティ」番組が人気です。

飯塚:私にも人気占い番組からオファーが来て、純粋に占うならと出演をOKしたんです。収録はうまくいき、現場でも「よく当たる」と好評でした。

 が、後から「霊視はまずい」とお蔵入りになったんです。霊媒師の私に、霊視はNGと言われても……。本領発揮したらダメになるとは、理不尽すぎて悔しかったですね。

──そもそも、一般的な占い師による占いと霊媒師の占いはどう違うのですか?

飯塚:ほとんど変わりませんが、霊媒師は生きている人を霊視できるのが最大の違い。

 例えば、相談者が彼氏の本当の気持ちを知りたい場合、相談者の名前を唱えながら、彼氏にアンテナを合わせて飛んでいく。

 すると、彼氏の映像が字幕入りで映画のように流れているのが見えるんです。それを相談者に伝えます。

◆鑑定力を武器に独立。弟子育成も開始

──多くの顧客を掴んでいた占いの館から独立したのは、なぜですか?

飯塚:占い師だけでなく、霊媒師の活動のウェイトを上げたかったんです。

 霊媒師の仕事では、霊安室で無縁仏のためにお祈りもするし、首吊り自殺や孤独死の現場で除霊もしました。現場はたいていゴミ屋敷で、片付けないことには除霊できない。

 でも、自殺を公にしたくない遺族が多くて、遺品整理業者を頼めないことも。

 だから、私と弟子3人くらいで作業服に軍手をはめて大量の遺品を袋に詰めて、片付けてから供養する。死臭というか、独特な臭いが立ち込める中の作業は苛酷で、服についた臭いは取れないし、夏は本当に厳しい。

 一般的なイメージとは違い、霊媒師とは現場の力仕事ですね(苦笑)

◆北斗神拳のような“究極奥義”もある

──飯塚さんのYouTubeには弟子も登場しますが、チームワークのよさが窺えます。

飯塚:現場仕事はまずトップが動いて、背中で部下を引っ張るもの。ただ、ウチのチームは上司と部下というより師匠と弟子の関係なので、つきっきりで仕事を見せています。

 昔気質の板前みたいだけど(苦笑)、これは“ザ・下町”な父親譲り。それに、厳しいけど愛もあるのはギャルマインドにも通じます。

 私のギャルの定義は、気合と根性。それに、仲間を見捨てないチーム愛なんです。

──一子相伝のような仕事ぶりは、漫画の北斗神拳を彷彿とさせます。

飯塚:実際、北斗神拳のような“究極奥義”もありますよ。本当にこれを使わないと対応できないときに限って使用が許されていて、絶対に人に見られてはいけない。

 門外不出なのは、この奥義を使った自分はもちろん、見た人も心身のダメージを負うからなんです。使ったことはありませんが、覚悟はできてます。

◆渋谷の“出没スポット”はどこ?

──YouTubeでも「街角霊スナップ」が名物企画ですが、本日も渋谷の街でやっていただけますか?

飯塚:もちろん! (外出して数分。空きテナントが目立つ古い雑居ビルの前で立ち止まり)あ、いました。亡くなった人の霊ではなく、生きている人の念。生き霊ですね。かつてこのビルで働いていた女性の霊で「あの頃はよかったな。また復帰したい」と願っています。

(スクランブル交差点に移動すると)ここは生きている人の「気」が多すぎて、死霊の気はあまり感じませんね。

 ただ、人が多すぎて混乱してしまうのは幽霊も同じなのか、道に迷っている霊をさっき見かけました(笑)

──飯塚さん的には、渋谷のどのエリアが出没スポットなのでしょうか?

飯塚:実は人がごった返している渋谷駅前より、宇田川町から神南にかけての奥渋エリアに多くいるんです。幽霊ももとは生きていた人間。少し落ち着いた場所のほうが、過ごしやすいのかもしれませんね。

【Yui Iizuka】
霊媒師。曾祖母、祖母が霊媒師の家系に生まれる。SHIBUYA109のショップ店員の頃、同僚らを霊視したところ「ヤバいほど当たる」と大きな反響を呼ぶ。一族で最強の3代目霊媒師として鑑定数は3万人超。YouTubeチャンネル登録者数は40万人超。メディア出演多数

取材・文/齊藤武宏 撮影/高橋慶佑

―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

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