年末年始などに「シャンメリー」を飲んだ人も多いのではないでしょうか。シャンパンのように「ポン!」と栓を開けることで、パーティが盛り上がる炭酸飲料(ノンアルコール)です。
このシャンメリーが「実は法律によって大企業が製造できない商品なんだよなぁ… 『中小企業分野調整法』によって大企業の参入は規制されています」と、東京都大田区の酒屋「酒の旭屋 蒲田西口商店街」(@sake_asahiya)がXに投稿したところ、「へぇー!!」「言われてみたら聞いたことないメーカーのしかないな」などと、6.5万の“いいね”がつく反響がありました。
「酒の旭屋」では、シャンメリーの在庫をクリスマスは特に切らさないようにしながら一年中取り扱っています。
「(投稿が)クリスマス時期でしたので、子どもから大人までみんなが飲んだことがある、思い出がある、シャンメリーをご紹介しました」
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「何気無く投稿してしまったので、もっと詳細にお伝えすればよかったです… コミュニティノートが付いてしまったので、やや気まずいなぁとも思っています。ですが、補足されて皆様がより正確な情報を得られてよかったです。豆腐の規制に関しては、あまり情報がない状態で発信してしまったので、もっと詳細を知りたいと思っております」と話しています。
シャンメリーを大手が製造しない理由であるという、中小企業『分野調整法』とは、「中小企業者の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある大企業者の事業の開始又は拡大に関し,その事業活動を調整することにより中小企業の事業活動の機会を適正に確保することを目的とし、大企業者が事業の開始又は拡大する際の調整、勧告、調査等について定める法律です」(中小企業庁)
つまり、中小企業が多い分野へ大手が参入することを国が調整する法律です。法律の全文を読んでも具体的な対象商品などは指定されていません。ではなぜ中小企業のみがシャンメリーを作っているかというと、全国清涼飲料協同組合連合会と全国清涼飲料工業組合連合会が「中小企業の特有の品種」として宣言した6品種に、シャンメリーが含まれているからです。
宣言されている6品種とは、「ラムネ」「シャンパン風密栓炭酸飲料(シャンメリー)」「びん詰コーヒー飲料」「びん詰クリームソーダ」「ポリエチレン詰清涼飲料」「焼酎割り用飲料」です。
「1977年(昭和52年)以来、大手企業と中小企業との“すみわけ”を図る、慣習的なルールとして業界に理解と協力を要請しています」(全国清涼飲料工業組合連合会)
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「豆腐」も大手は参入できない商品なの?
では、同じように大手は参入できない商品として話題にあがる「豆腐」はどうなのでしょうか。「一般財団法人全国豆腐連合会『全豆連』」の事務局に話を聞きました。
まず現在は、シャンメリーのように「中小企業特有の品種」として豆腐は宣言されていません。しかしスーパーが増えた昭和50年代頃に、大手企業が豆腐の全国規模での展開を目指したときに、中小企業『分野調整法』に基づいて申し入れをおこなったことがあります(国の調整があったわけではありません)。
現在は、豆腐の需要は以前と同じようでありながら、町の豆腐屋さんは減っていて、「そんなことを言っていられない状況」のため、大手も一緒に業界を支えてもらっているとのこと。実際に「森永乳業」も全豆連の会員に名を連ねます(ネット販売のほか、海外での販売を伸ばしています)。
スーパーで豆腐を買う人が増えても、少なくなったとはいえ豆腐製造事業者が国内に約4000ある理由について事務局は「材料はシンプルですが、大豆を水に浸漬して、すりつぶして加熱して凝固して冷やしてと、加工頻度が多いという難しさがあるからではないか」としています。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)
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